ロンがハリーを小こ突づいて、「日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん」を渡した。二枚あった。最初の記事の見出しは、「バーテミウス・クラウチの不ふ可か解かいな病気」とあり、二つ目の記事は「魔ま法ほう省しょうの魔女、いまだに行方不明――いよいよ魔法大臣自みずから乗り出す」とあった。
ハリーはクラウチの記事をざっと読んだ。切れ切れの文章が目に飛び込んできた。
十一月以来、公おおやけの場に現れず……家に人影はなく……聖せいマンゴ魔ま法ほう疾しっ患かん傷しょう害がい病びょう院いんはコメントを拒きょ否ひ……魔法省は重じゅう症しょうの噂うわさを否定……。
「まるでクラウチが死にかけているみたいだ」ハリーは考え込んだ。「だけど、ここまで来られる人がそんなに重い病気のはずないし……」
「僕の兄さんが、クラウチの秘ひ書しょなんだ」ロンがシリウスに教えた。「兄さんは、クラウチが働きすぎだって言ってる」
「だけど、あの人、僕が最後に近くで見たときは、ほんとに病気みたいだった」ハリーはまだ新聞を読みながら、ゆっくりと言った。「僕の名前がゴブレットから出てきたあの晩だけど……」
「ウィンキーをクビにした当然の報いじゃない?」ハーマイオニーが冷たく言った。
ハーマイオニーは、シリウスの食べ残した鳥の骨をバリバリ噛かんでいるバックビークを撫なでていた。
「クビにしなきゃよかったって、きっと後悔してるのよ――世話してくれるウィンキーがいないと、どんなに困るかわかったんだわ」
「ハーマイオニーは屋や敷しきしもべに取り憑つかれてるのさ」ロンがハーマイオニーに困ったもんだという目を向けながら、シリウスに囁ささやいた。
しかし、シリウスは関心を持ったようだった。
「クラウチが屋敷しもべをクビに?」
「うん、クィディッチ・ワールドカップのとき」ハリーは「闇やみの印しるし」が現れたこと、ウィンキーがハリーの杖つえを握り締めたまま発見されたこと、クラウチ氏が激げき怒どしたことを話しはじめた。
話し終えると、シリウスは再び立ち上がり、洞窟を往いったり来たりしはじめた。