「だけど、本当かどうか、私たちにはわからないのよ」ハーマイオニーが急いで言った。
「ご主人さまには必要なのです――ヒック――このウィンキーが!」妖よう精せいは涙声で言った。「ご主人さまは――ヒック――一人では――ヒック――おできになりません……」
「ほかの人は、自分のことは自分でできるのよ、ウィンキー」ハーマイオニーは厳きびしく言った。
「ウィンキーは――ヒック――ただ――ヒック――クラウチさまの家事だけをやっているのではありません!」ウィンキーは怒ったようにキーキー叫さけび、体がもっと激はげしく揺れて、シミだらけになってしまったブラウスに、バタービールをボトボトこぼした。「ご主人さまは――ヒック――ウィンキーを信じて、預けています――ヒック――いちばん大事な――ヒック――いちばん秘ひ密みつの――」
「何を?」ハリーが聞いた。
しかし、ウィンキーは激はげしく頭を振り、またまたバタービールをこぼした。
「ウィンキーは守ります――ヒック――ご主人さまの秘密を」反はん抗こう的てきにそう言うと、ウィンキーはこんどは激しく体を揺すり、寄り目でハリーを睨にらみつけた。「あなたは――ヒック――お節せっ介かいなのでございます。あなたは」
「ウィンキーはハリー・ポッターにそんな口をきいてはいけないのです!」ドビーが怒った。
「ハリー・ポッターは勇ゆう敢かんで気高いのです。ハリー・ポッターはお節介ではないのです!」
「あたしのご主人さまの――ヒック――秘密を――ヒック――覗のぞこうとしています――ヒック――ウィンキーはよい屋や敷しきしもべです――ヒック――ウィンキーは黙だまります――ヒック――みんながいろいろ――ヒック――根ね掘ほり葉は掘ほり――ヒック――」