「だから言ったんだ!」ハーマイオニーが手をかばいながら急いで大おお広ひろ間まから出ていくのを見ながら、ロンが言った。「リータ・スキーターにはかまうなって、忠告しただろ! これを見ろよ……」
ロンはハーマイオニーが置いていった手紙の一つを読み上げた。
「『あんたのことは『週しゅう刊かん魔ま女じょ』で読みましたよ。ハリーを騙だましてるって。あの子はもう十分に辛つらい思いをしてきたのに。大きな封筒が見つかり次第、次のふくろう便で呪のろいを送りますからね』たいへんだ。ハーマイオニー、気をつけないといけないよ」
ハーマイオニーは「薬やく草そう学がく」の授業に出てこなかった。ハリーとロンが温室を出て「魔ま法ほう生せい物ぶつ飼し育いく学がく」の授業に向かうとき、マルフォイ、クラッブ、ゴイルが城の石段を下りてくるのが見えた。その後ろで、パンジー・パーキンソンが、スリザリンの女子軍団と一いっ緒しょにクスクス笑っている。ハリーを見つけると、パンジーが大声で言った。
「ポッター、ガールフレンドと別れちゃったの? あの子、朝食のとき、どうしてあんなに慌あわててたの?」
ハリーは無む視しした。「週しゅう刊かん魔ま女じょ」の記事がこんなにトラブルを引き起こしたなんてパンジーに教えて、喜ばせるのは嫌いやだった。
ハグリッドは先週の授業で、もう一角獣ユニコーンはおしまいだと言っていたが、今日は小屋の外で、新しい蓋ふたなしの木箱をいくつか足あし下もとに置いて待っていた。木箱を見てハリーは気落ちした――まさかまたスクリュートが孵かえったのでは?――しかし、中が見えるくらいに近づくと、そこには鼻の長い、ふわふわの黒い生き物が何匹もいるだけだった。前脚がまるで鋤すきのようにペタンと平たく、みんなに見つめられて、不思議そうに、おとなしく生徒たちを見上げて目をパチクリさせている。