ハーマイオニーは五分後に、玄げん関かんホールで、息を弾はずませながらハリーとロンに追いついた。
「ねえ、リータは絶対『透とう明めいマント』を使ってないわ!」ハーマイオニーが、ハリーに聞こえるように、ハリーの片手をヒクヒク耳から引きはがしながら言った。「ムーディは、第二の課題のとき、審しん査さ員いん席の近くであの女を見てないし、湖の近くでも見なかったって言ったわ」
「ハーマイオニー、そんなことやめろって言ってもむだか?」ロンが言った。
「むだ!」ハーマイオニーが頑固に言った。「私がビクトールに話してたのを、あの女が、どうやって聞いたのか、知りたいの! それに、ハグリッドのお母さんのことをどうやって知ったのかもよ!」
「もしかして、君に虫をつけたんじゃないかな」ハリーが言った。
「虫をつけた?」ロンがポカンとした。「何だい、それ……ハーマイオニーに蚤のみでもくっつけるのか?」
ハリーは「虫」と呼ばれる盗聴とうちょうマイクや録音装置についての説明をはじめた。
ロンは夢中になって聞いたが、ハーマイオニーは話を遮さえぎった。
「二人とも、いつになったら『ホグワーツの歴れき史し』を読むの?」
「そんな必要あるか?」ロンが言った。「君が全部暗記してるもの。僕たちは君に聞けばいいじゃないか」
「マグルが魔法の代用品に使うものは――電気だとかコンピューター、レーダー、その他いろいろだけど――ホグワーツでは全部メチャメチャ狂うの。空気中の魔法が強すぎるから。だから、違うわ。リータは盗聴の魔法を使ってるのよ。そうに違いないわ……それが何なのかつかめたらなあ……うーん、それが非合法だったら、もうこっちのものだわ……」
「ほかにも心配することがたくさんあるだろ?」ロンが言った。「この上リータ・スキーターへの復ふく讐しゅう劇げきまでおっぱじめる必要があるのかい?」
「なにも手伝ってくれなんて言ってないわ!」ハーマイオニーがきっぱり言った。「一人でやります!」
ハーマイオニーは大だい理り石せきの階段を、振り返りもせずどんどん上っていった。ハリーは、図書室に行くに違いないと思った。