「バーティ・クラウチがどこに行ったのか、わからんのじゃが」ダンブルドアがムーディに話しかけた。「しかし、何としても探し出すことが大事じゃ」
「承しょう知ちした」ムーディは唸るようにそう言うと、杖を構え直し、足を引きずりながら禁じられた森へと去った。
それからしばらく、ダンブルドアもハリーも無言だった。やがて、紛まぎれもなくハグリッドとファングの戻ってくる音がした。カルカロフがそのあとから急いでやってきた。滑なめらかなシルバーの毛皮を羽は織おり、青ざめて動どう揺ようしているように見えた。
「いったいこれは?」クラムが地面に横たわり、ダンブルドアとハリーがそばにいるのを見て、カルカロフが叫さけんだ。「これは何事だ?」
「ヴぉく、襲われました!」クラムがこんどは身を起こし、頭を擦こすった。「クラウチ氏とか何とかいう名前の――」
「クラウチが君を襲った? クラウチが襲った? 対たい校こう試じ合あいの審しん査さ員いんが?」
「イゴール」ダンブルドアが口を開いた。しかしカルカロフは身み構がまえ、激怒した様子で、毛皮をギュッと体に巻きつけた。
「裏切りだ!」ダンブルドアを指差し、カルカロフが喚わめいた。
「罠わなだ! 君と魔ま法ほう省しょうとで、わたしをここに誘おびき寄せるために、偽にせの口実を仕組んだな、ダンブルドア! はじめから平等な試合ではないのだ! 最初は、年ねん齢れい制限以下なのに、ポッターを試合に潜り込ませた! こんどは魔ま法ほう省しょうの君の仲間の一人が、わたしの代表選手を動けなくしようとした! 何もかも裏取引と腐ふ敗はいの臭いがするぞ、ダンブルドア。魔法使いの国際連れん携けいを深めるの、旧交きゅうこうを温めるの、昔の対立を水に流すのと、口先ばかりだ――おまえなんか、こうしてやる!」
カルカロフはダンブルドアの足あし下もとにペッと唾つばを吐はいた。そのとたん、ハグリッドがあっという間にカルカロフの毛皮の胸むな倉ぐらをつかみ、宙吊りにしてそばの木に叩たたきつけた。