「あいつ、よくも」急ぎ足で湖を通り過ぎながら、ハグリッドが唸った。「ダンブルドアを責せめるなんて、よくも。そんなことをダンブルドアがしたみてえに。ダンブルドアがおまえさんを、はじめから試合に出したかったみてえに。心しん配ぺえなさってるんだ! ここんとこ、ずっとだ。ダンブルドアがこんなに心しん配ぺえなさるのをいままでに見たことがねえ。それにおまえもおまえだ!」
ハグリッドが急にハリーに怒りを向けた。ハリーはびっくりしてハグリッドを見た。
「クラムみてえな野郎と、ほっつき歩いて、何しとったんだ? やつはダームストラングだぞ、ハリー! あそこでおまえさんに呪のろいをかけることもできただろうが。え? ムーディから何を習っちょった? ほいほい進んで、やつに誘おびき出されるたあ――」
「クラムはそんな人じゃない!」玄げん関かんホールの石段を上りながら、ハリーが言った。「僕に呪いをかけようとなんかしなかった。ただ、ハーマイオニーのことを話したかっただけなんだ――」
「ハーマイオニーとも少し話をせにゃならんな」石段をドシンドシン踏ふみしめながら、ハグリッドが暗い顔をした。「よそ者もんとはなるべくかかわらんほうがええ。そのほうが身のためだ。誰も信用できん」
「ハグリッドだって、マダム・マクシームと仲良くやってたじゃない」ハリーはちょっと癇かんに障さわった。
「あの女ひとの話は、もうせんでくれ」ハグリッドは一瞬いっしゅん恐い顔をした。
「もう腹は読めとる! 俺おれに取り入ろうとしとる。第三の課題が何なのか聞き出そうとしとる。へん! あいつら、誰も信用できん!」
ハグリッドの機き嫌げんが最悪だったので、「太った婦人レディ」の前でおやすみを言ったとき、ハリーはとてもほっとした。肖しょう像ぞう画がの穴を這はい登って談だん話わ室しつに入ると、ハリーはまっすぐ、ロンとハーマイオニーのいる部屋の隅すみに急いだ。今夜の出来事を二人に話さなければ。