「スネイプに邪じゃ魔まされなけりゃ」ハリーは悔しそうに言った。「間に合ってたかもしれないのに。『校長は忙いそがしいのだ、ポッター……寝ね呆ぼけたことを!』だってさ。邪魔せずに放っといてくれればよかったんだ」
「もしかしたら、君を現場に行かせたくなかったんだ!」ロンが急せき込んで言った。「たぶん――待てよ――スネイプが禁じられた森に行くとしたら、どのぐらい早く行けたと思う? 君やダンブルドアを追い抜けたと思うか?」
「コウモリか何かに変身しないと無理だ」ハリーが言った。
「それもありだな」ロンが呟つぶやいた。
「ムーディ先生に会わなきゃ」ハーマイオニーが言った。「クラウチさんを見つけたかどうか、確かめなきゃ」
「ムーディがあのとき『忍しのびの地ち図ず』を持ってたら、簡単だったろうけど」ハリーが言った。
「ただし、クラウチが校庭から外に出てしまっていなければだけどな」ロンが言った。「だって、あれは学校の境界線の中しか見せてくれないはずだし――」
「しっ!」突然ハーマイオニーが制した。
誰かがふくろう小屋に続く、階段を上がってくる。ハリーの耳に、二人で口こう論ろんする声がだんだん近づいてくるのが聞こえた。
「――脅迫きょうはくだよ、それは。それじゃ、面倒なことになるかもしれないぜ――」
「――これまでは行ぎょう儀ぎよくやってきたんだ。もう汚い手に出るときだ。やつとおんなじに。やつは自分のやったことを、魔ま法ほう省しょうに知られたくないだろうから――」
「それを書いたら、脅迫状になるって、そう言ってるんだよ!」
「そうさ。だけど、そのお陰でどっさりおいしい見返りがあるなら、おまえだって文句はないだろう?」
ふくろう小屋の戸がバーンと開き、フレッドとジョージが敷しき居いを跨またいで入ってきた。そして、ハリー、ロン、ハーマイオニーを見つけ、その場に凍こおりついた。