「あの二人、何か知ってるのかしら?」ハーマイオニーが囁ささやいた。「クラウチのこととか、いろいろ」
「いいや」ハリーが言った。「あれぐらい深しん刻こくなことなら、二人とも誰かに話してるはずだ。ダンブルドアに話すだろう」
しかし、ロンは何だか落ち着かない。
「どうしたの?」ハーマイオニーが聞いた。
「あのさ……」ロンが言いにくそうに言った。「あの二人が誰かに話すかどうか、僕、わかんない。あの二人……あの二人、最近金かね儲もうけに取り憑つかれてるんだ。僕、あの連中にくっついて歩いていたときにそのことに気づいたんだ――ほら、あのときだよ――ほら――」
「僕たちが口をきかなかったときだね」ハリーがロンの代わりに言った。「わかったよ。だけど、脅迫きょうはくなんて……」
「あの『悪いた戯ずら専せん門もん店てん』のことさ」ロンが言った。「僕、あの二人が、ママを困らせるために店のことを言ってるんだと思ってた。だけど、真剣なんだよ。二人で店を始めたいんだ。ホグワーツ卒業まであと一年しかないし、将来のことを考えるときだって。パパは二人を援えん助じょできないし、だから二人は、店を始めるのに金貨が必要だって、いつもそう言ってるんだ」
こんどはハーマイオニーが落ち着かなくなった。
「そう。でも……あの二人は、金貨のために法律に反するようなことしないでしょう?」
「しないかなあ」ロンが疑わしそうに言った。「わかんない……規則破りを気にするような二人じゃないだろ?」
「そうだけど、こんどは法律なのよ」ハーマイオニーは恐ろしそうに言った。「バカげた校則とは違うわ……脅迫したら、居い残のこり罰ばつじゃすまないわよ! ロン……パーシーに言ったほうがいいんじゃないかしら……」
「正気か?」ロンが言った。「パーシーに言う? あいつ、クラウチとおんなじように、弟を突き出すぜ」
ロンは、フレッドとジョージがふくろうを放った窓をじっと見た。
「さあ、行こうか。朝食だ」