「変なところに行くなって、僕に説教する資格あるの?」ハリーは少し腹を立てながらシリウスの手紙を折り畳たたんでローブにしまった。「学校時代に自分のしたことを棚たなに上げて!」
「あなたのことを心配してるんじゃない!」ハーマイオニーが厳きびしい声で言った。「ムーディもハグリッドもそうよ! ちゃんと言うことを聞きなさい!」
「この一年、誰も僕を襲おそおうとしてないよ」ハリーが言った。「誰も、なーんにもしやしない――」
「あなたの名前を『炎ほのおのゴブレット』に入れた以外はね」ハーマイオニーが言った。「それに、ちゃんと理由があってそうしたに違いないのよ、ハリー。スナッフルズが正しいわ。きっとやつは時ときを待ってるんだわ。たぶん、こんどの課題であなたに手を下すつもりよ」
「いいかい」ハリーはイライラと言った。「スナッフルズが正しいとするよ。誰かがクラムに『失しっ神しんの呪じゅ文もん』をかけて、クラウチを攫さらったとするよ。なら、そいつは僕らの近くの木陰にいたはずだ。そうだろう? だけど、僕がいなくなるまで何もしなかった。そうじゃないか? だったら、僕が狙いってわけじゃないだろう?」
「禁じられた森であなたを殺したら、事故に見せかけられないじゃない!」ハーマイオニーが言った。「だけど、もしあなたが課題の最中に死んだら――」
「クラムのことは平気で襲ったじゃないか」ハリーが言い返した。「僕のことも一いっ緒しょに消しちゃえばよかっただろ? クラムと僕が決けっ闘とうか何かしたように見せかけることもできたのに」
「ハリー、私にもわからないのよ」ハーマイオニーが弱り果てたように言った。「おかしなことがたくさん起こっていることだけはわかってる。それが気に入らないわ……ムーディは正しい――スナッフルズも正しい――あなたはすぐにでも第三の課題のトレーニングを始めるべきだわ。それに、すぐにスナッフルズに返事を書いて、二度と一人で抜け出したりしないと約束しなきゃ」