「ダンブルドアも、『例のあの人』が強大になりつつあるって、そう考えてるのかい?」
ロンが囁ささやくように言った。
「憂うれいの篩ふるい」で見てきたことの全部と、ダンブルドアがそのあとでハリーに話し、見せてくれたことのほとんどすべてを、ハリーはもう、ロンとハーマイオニーに伝え終わっていた――もちろん、シリウスにも教えた。ダンブルドアの部屋を出るとすぐに、ハリーはシリウスにふくろう便を送っていた。ハリー、ロン、ハーマイオニーは、その夜、またしても遅くまで談だん話わ室しつに残り、納得のいくまで同じ話を繰り返した。しまいにはハリーは頭がぐらぐらしてきた。ダンブルドアが、いろいろな想いで頭が一杯になり、溢あふれた分を取り出すとほっとすると言った気持が、ハリーにもよくわかった。
ロンは談話室の暖だん炉ろの火をじっと見つめていた。それほど寒い夜でもないのに、ロンがブルッと震ふるえるのを、ハリーは見たような気がした。
「それに、スネイプを信用してるのか?」ロンが言った。「『死し喰くい人びと』だったって知ってても、ほんとにスネイプを信用してるのかい?」
「うん」ハリーが言った。
ハーマイオニーはもう十分間も黙だまり込んだままだった。額ひたいを両手で押さえ、自分の膝ひざを見つめたまま座っている。ハリーは、ハーマイオニーも「憂いの篩」が必要みたいだと思った。
「リータ・スキーター」やっと、ハーマイオニーが呟つぶやいた。
「なんでいまのいま、あんな女のことを心配してられるんだ?」ロンは呆あきれたという口調だ。
「あの女のことで心配してるんじゃないの」ハーマイオニーは自分の膝ひざに向かって言った。「ただ、ちょっと思いついたのよ……『三さん本ぼんの箒ほうき』であの女が私に言ったこと、憶おぼえてる?『ルード・バグマンについちゃ、あんたの髪かみの毛が縮み上がるようなことをつかんでいるんだ』って。今回のことがあの女の言ってた意味じゃないかしら? スキーターはバグマンの裁判の記事を書いたし、『死喰い人』にバグマンが情報を流したって知ってた。それに、ウィンキーもよ。憶えてるでしょ……『バグマンさんは悪い魔法使い』って。クラウチさんはバグマンが刑を逃のがれたことでカンカンだったでしょうし、そのことを家で話したはずよ」
「うん。だけど、バグマンはわざと情報を流したわけじゃないだろ?」
ハーマイオニーは「わからないわ」とばかりに肩をすくめた。
第31章 第三个项目