向こうのスリザリンのテーブルでは、マルフォイ、クラッブ、ゴイルがハリーに向かって、ゲラゲラ笑い、頭を指で叩たたいたり、気味の悪いばか顔をして見せたり、舌を蛇のようにチラチラ震ふるわせたりしていた。
「あの女、『占うらない学がく』で傷きず痕あとが痛んだこと、どうして知ってたのかなあ?」ロンが言った。
「どうやったって、あそこにはいたはずないし、絶対あいつに聞こえたはずないよ――」
「窓が開いてた」ハリーが言った。「息がつけなかったから、開けたんだ」
「あなた、北きた塔とうのてっぺんにいたのよ!」ハーマイオニーが言った。「あなたの声がずーっと下の校庭に届くはずないわ!」
「まあね。魔法で盗聴とうちょうする方法は、君が見つけるはずだったよ!」ハリーが言った。「あいつがどうやったか、君が教えてくれよ!」
「ずっと調べてるわ!」ハーマイオニーが言った。「でも私……でもね……」
ハーマイオニーの顔に、夢見るような不思議な表情が浮かんだ。ゆっくりと片手を上げ、指で髪かみを梳くしけずった。
「大丈夫か?」ロンが顔をしかめてハーマイオニーを見た。
「ええ」ハーマイオニーがひっそりと言った。もう一度指で髪を梳すくように撫なで、それからその手を、見えないトランシーバーに話しているかのように口元に持っていった。ハリーとロンは顔を見合わせた。
「もしかしたら」ハーマイオニーが宙を見つめて言った。「たぶんそうだわ……それだったら誰にも見えないし……ムーディだって見えない……それに、窓の桟さんにだって乗れる……でもあの女は許されてない……絶対に許可されていない……間違いない。あの女を追い詰めたわよ! ちょっと図書室に行かせて――確かめるわ!」
そう言うと、ハーマイオニーはカバンをつかみ、大おお広ひろ間まを飛び出していった。