「ハリー、来いよ。みんな君を待ってるよ!」
ハリーはまったく当とう惑わくしながら立ち上がった。ダーズリーたちが来るなんて、ありうるだろうか? 大広間を横切り、ハリーは小部屋のドアを開けた。
ドアのすぐ内側にセドリックと両親がいた。ビクトール・クラムは隅すみのほうで、黒い髪かみの父親、母親とブルガリア語で早口に話している。クラムの鉤かぎ鼻ばなは父親譲ゆずりだ。部屋の反対側でフラーが母親とフランス語でペチャクチャしゃべっている。フラーの妹のガブリエールが母親と手をつないでいた。ハリーを見て手を振ったので、ハリーも手を振った。それから、暖だん炉ろの前でハリーにニッコリ笑いかけているウィーズリーおばさんとビルが目に入った。
「びっくりでしょ!」ハリーがニコニコしながら近づいていくと、ウィーズリーおばさんが興こう奮ふんしながら言った。「あなたを見にきたかったのよ、ハリー!」
おばさんは屈んでハリーの頬ほおにキスした。
「元気かい?」ビルがハリーに笑いかけながら握あく手しゅした。「チャーリーも来たがったんだけど、休みが取れなくてね。ホーンテールとの対戦のときの君はすごかったって言ってたよ」
フラー・デラクールが、相当関心がありそうな目で、母親の肩越しに、ビルをちらちら見ているのにハリーは気がついた。フラーにとっては、長髪ちょうはつも牙きばのイヤリングもまったく問題ではないのだと、ハリーは思った。
「ほんとうにうれしいです」ハリーは口ごもりながらウィーズリーおばさんに言った。「僕、一瞬いっしゅん、考えちゃった――ダーズリー一家かと――」
「ンンン」ウィーズリーおばさんが口をキュッと結んだ。おばさんはいつも、ハリーの前でダーズリー一家を批判するのは控ひかえていたが、その名前を聞くたびに目がピカッと光るのだった。