「学校はなつかしいよ」ビルが小部屋の中を見回した(「太った婦人レディ」の友達のバイオレットが、絵の中からビルにウィンクした)。「もう五年も来てないな。あのいかれた騎き士しの絵、まだあるかい? カドガン卿きょうの?」
「ある、ある」ハリーが答えた。ハリーは去年カドガン卿きょうに会っていた。
「『太った婦人レディ』は?」ビルが聞いた。
「あの婦人レディは母さんの時代からいるわ」おばさんが言った。「ある晩、朝の四時に寮りょうに戻ったら、こっぴどく叱しかられたわ――」
「朝の四時まで、母さん、寮の外で何してたの?」ビルが驚いて母親を探るような目で見た。
ウィーズリーおばさんは目をキラキラさせて含み笑いをした。
「あなたのお父さんと二人で夜の散歩をしてたのよ」おばさんが答えた。「そしたら、お父さん、アポリオン・プリングルに捕まってね――あのころの管理人よ――お父さんはいまでもお仕置きの痕あとが残ってるわ」
「案内してくれるか、ハリー?」ビルが言った。
「ああ、いいよ」三人は大おお広ひろ間まに出るドアのほうに歩いていった。
エイモス・ディゴリーのそばを通りすぎようとすると、ディゴリーが振り向いた。
「よう、よう、いたな」ディゴリーはハリーを上から下までじろじろ見た。「セドリックが同点に追いついたので、そうそういい気にもなっていられないだろう?」
「何のこと?」ハリーが聞いた。
「気にするな」セドリックが父親の背はい後ごで顔をしかめながらハリーに囁ささやいた。「リータ・スキーターの三さん大だい魔ま法ほう学がっ校こう対たい抗こう試じ合あいの記事以来、ずっと腹を立てているんだ――ほら、君がホグワーツでただ一人の代表選手みたいな書き方をしたから」