「ママ――ビル!」グリフィンドールのテーブルに着いたロンが驚いて言った。「こんなところで、どうしたの?」
「ハリーの最後の競きょう技ぎを見にきたのよ」ウィーズリーおばさんが楽しそうに言った。
「お料理をしなくていいってのは、ほんと、たまにはいいものね。試験はどうだったの?」
「あ……大丈夫さ」ロンが言った。「小鬼ゴブリンの反逆者の名前を全部は思い出せなかったから、いくつかでっち上げたけど、問題ないよ」
ウィーズリーおばさんの厳きびしい顔をよそに、ロンはミートパイを皿に取った。
「みんなおんなじような名前だから。ボロ鬚ひげのボドロッドとか、薄汚うすぎたないウルグだとかさ。難しくなかったよ」
フレッド、ジョージ、ジニーもやってきて隣となりに座った。ハリーはまるで「隠かくれ穴あな」に戻ったような楽しい気分だった。夕方の試合を心配することさえ忘れていたが、昼食も半ば過ぎたころ、ハーマイオニーが現れて、はっと思い出した。リータ・スキーターのことで、ハーマイオニーが何か閃ひらめいたことがあったはずだ。
「何かわかった? 例の――」
ハーマイオニーは、ウィーズリーおばさんのほうをちらりと見て、「言っちゃだめよ」というふうに首を振った。
「こんにちは、ハーマイオニー」ウィーズリーおばさんの言い方がいつもと違って堅かたかった。
「こんにちは」おばさんの冷たい表情を見て、ハーマイオニーの笑顔が強こわばった。
ハリーは二人を見比べた。
「ウィーズリーおばさん、リータ・スキーターが『週しゅう刊かん魔ま女じょ』に書いたあのばかな記事を本気にしたりしてませんよね? だって、ハーマイオニーは僕のガールフレンドじゃないもの」
「あら!」おばさんが言った。「ええ――もちろん本気にしてませんよ!」
しかし、そのあとは、おばさんのハーマイオニーに対する態度がずっと温かくなった。