五分後に、スタンドに人が入りはじめた。何百人という生徒が次々に着席し、あたりは興こう奮ふんした声と、ドヤドヤと大勢の足音で満たされた。空はいまや澄すんだ濃のう紺こんに変わり、一番星が瞬またたきはじめた。ハグリッド、ムーディ先生、マクゴナガル先生、フリットウィック先生が競技場に入場し、バグマンと選手のところへやってきた。全員、大きな赤く光る星を帽ぼう子しに着けていたが、ハグリッドだけは、厚手木綿モールスキンのチョッキの背に着けていた。
「私わたくしたちが迷路の外側を巡回しています」マクゴナガル先生が代表選手に言った。「何か危険に巻き込まれて、助けを求めたいときには、空中に赤い火花を打ち上げなさい。私わたくしたちのうち誰かが救出します。おわかりですか?」
代表選手たちが頷うなずいた。
「では、持ち場についてください!」バグマンが元気よく四人の巡回者に号令した。
「がんばれよ、ハリー」ハグリッドが囁ささやいた。そして四人は、迷路のどこかの持ち場につくため、バラバラな方向へと歩き出した。バグマンが杖つえを喉のど元もとに当て、「ソノーラス! 響ひびけ!」と唱となえると、魔法で拡大された声がスタンドに響ひびき渡った。
「紳士、淑女のみなさん。第三の課題、そして、三大魔法学校対抗試合最後の課題がまもなく始まります! 現在の得点状況をもう一度お知らせしましょう。同点一位、得点85点――セドリック・ディゴリー君とハリー・ポッター君。両名ともホグワーツ校!」
大だい歓かん声せいと拍手に驚き、禁じられた森の鳥たちが暮れなずむ空にバタバタと飛び上がった。
「三位、80点――ビクトール・クラム君。ダームストラング専門学校!」
また拍手が湧わいた。
「そして、四位――フラー・デラクール嬢じょう、ボーバトン・アカデミー!」
ウィーズリーおばさんとビル、ロン、ハーマイオニーが、観客席の中ほどの段でフラーに礼れい儀ぎ正しく拍手を送っているのが、辛かろうじて見えた。ハリーが手を振ると、四人がニッコリと手を振り返した。
「では……ホイッスルが鳴ったら、ハリーとセドリック!」バグマンが言った。
「いち――に――さん――」