「その忠実なる下僕はホグワーツにあり、その者の尽力により今夜は我らが若き友人をお迎えした……」
「そーれ」ヴォルデモートの唇くちびるのない口がニヤリとめくれ上がり、死喰い人の目がハリーのほうにサッと飛んだ。「ハリー・ポッターが、俺おれ様さまの蘇よみがえりのパーティにわざわざご参加くださった。俺様の賓客ひんきゃくと言ってもよかろう」
沈ちん黙もくが流れた。そしてワームテールの右側の死喰い人が前に進み出た。ルシウス・マルフォイの声が、仮面の下から聞こえた。
「ご主人様、我々は知りたくてなりません……どうぞお教えください……どのようにして成し遂げられたのでございましょう……この奇跡を……どのようにして、あなた様は我々のもとにお戻りになられたのでございましょう……」
「ああ、それは、ルシウス、長い話だ」ヴォルデモートが言った。「その始まりは――そしてその終わりは――ここにおられる若き友人なのだ」
ヴォルデモートは悠ゆう々ゆうとハリーの隣となりに来て立ち、輪わの全員の目が自分とハリーの二人に注がれるようにした。大だい蛇じゃは相変わらずぐるぐると円を描いていた。
「おまえたちも知ってのとおり、世間はこの小僧が俺様の凋落ちょうらくの原因だと言ったな?」ヴォルデモートが赤い目をハリーに向け、低い声で言った。ハリーの傷きず痕あとが焼けるように痛みはじめ、あまりの激痛にハリーは悲ひ鳴めいを上げそうになった。「おまえたち全員が知ってのとおり、俺様が力と身体を失ったあの夜、俺様はこの小僧を殺そうとした。母親が、この小僧を救おうとして死んだ――そして母親は、自分でも知らずにこやつを、この俺様にも予想だにつかなかったやり方で護った……俺様はこやつに触ふれることができなかった」ヴォルデモートは、蒼あお白じろい長い指の一本を、ハリーの頬ほおに近づけた。
「この小僧の母親は、自みずからの犠ぎ牲せいの印をこやつに残した……昔からある魔法だ。俺様はそれに気づくべきだった。見み逃のがしたのは不覚だった……しかし、それはもういい。いまはこの小僧に触れることができるのだ」ハリーは冷やりとした蒼白い長い指の先が触れるのを感じ、傷痕の痛みで頭が割れるかと思うほどだった。ヴォルデモートはハリーの耳元で低く笑い、指を離した。そして死し喰くい人びとに向かって話し続けた。