「この女は、三さん校こう対たい抗こう試じ合あいが今年ホグワーツで行われると話してくれた。俺様が連れん絡らくを取りさえすれば、喜んで俺様を助けるであろう忠実な死し喰くい人びとを知っているとも言った。いろいろ教えてくれたものだ……しかし、この女にかけられていた『忘ぼう却きゃく術じゅつ』を破るのに俺様が使った方法は強力だった。そこで、有益な情報を引き出してしまったあとは、この女の心も体も、修復しゅうふく不能なまでに破は壊かいされてしまっていた。この女はもう用済みだった。俺様が取り憑くこともできなかった。俺様はこの女を処分した」
ヴォルデモートはゾクッとするような笑みを浮かべた。その赤い目は虚うつろで残虐ざんぎゃくだった。
「ワームテールの体は、言うまでもなく、取り憑くのには適していなかった。こやつは死んだことになっているので、顔を見られたら、あまりに注意を引きすぎる。しかし、こやつは肉体を使う能力があった。俺様の召めし使つかいにはそれが必要だったのだ。魔法使いとしてはお粗末なやつだが、ワームテールは俺様の指示に従う能力はあった。俺様は、未発達で虚弱きょじゃくなものであれ、曲りなりにも自分自身の身体を得るための指示をこやつに与えた。真の再生に不可欠な材料がそろうまで仮の住すみ処かにする身体だ……俺様が発明した呪まじないを一つ、二つ……それと、かわいいナギニの助けを少し借り」――ヴォルデモートの赤い目があたりをぐるぐる回り続けている蛇へびを捕らえた――「一角獣ユニコーンの血と、ナギニから絞しぼった蛇の毒から作り上げた魔法薬……俺おれ様さまはまもなくほとんど人の形にまで戻り、旅ができるまで力を取り戻した」
「もはや賢けん者じゃの石を奪うことはかなわぬ。ダンブルドアが石を破は壊かいするように取り計らったことを俺様は知っていたからだ。しかし俺様は不死を求める前に、滅めっする命をもう一度受け入れるつもりだった。目標を低くしたのだ……昔の身体と昔の力で妥だ協きょうしてもよいと」
「それを達成するには――古い闇やみの魔ま術じゅつだが、今こ宵よい俺様を蘇よみがえらせた魔法薬には――強力な材料が三つ必要だということはわかっていた。さて、その一つはすでに手の内にあった。ワームテール、そうだな? 下しも僕べの与える肉だ……」