「我が父の骨。当然それは、ここに来ることを意味した。父親の骨が埋まっているところだ。しかし、敵かたきの血は……ワームテールは適当な魔法使いを使わせようとした。そうだな? ワームテールよ。俺様を憎んでいた魔法使いなら誰でもいい……憎んでいる者はまだ大勢いるからな。しかし、失脚のときより強力になって蘇るために使わなければならないのはただ一人だと、俺様は知っていた。ハリー・ポッターの血がほしかったのだ。十三年前、我が力を奪い去った者の血がほしかった。さすれば、母親がかつてこの小僧に与えた護りの力の名残が、俺様の血管にも流れることになるだろう……」
「しかし、どうやってハリー・ポッターを手に入れるか? 自分自身でさえ気づかないほど、この小僧はしっかり護られている。その昔、ダンブルドアが、この小僧の将来に備える措置を任されたときに、ダンブルドア自身が工夫したある方法で護られている。ダンブルドアは古い魔法を使った。親しん戚せきの庇ひ護ごの下にあるかぎり、この小僧は確実に保護される。こやつがあそこにいれば、この俺様でさえ手出しができない……しかし、クィディッチ・ワールドカップがあるではないか……そこでは親戚からも、ダンブルドアからも離れ、保護は弱まると俺様は考えた。しかし、魔ま法ほう省しょうの魔法使いたちが集結しているただ中で誘ゆう拐かいを試みるほど、俺様の力はまだ回復していなかった。そのあとになると、この小僧はホグワーツに帰ってしまう。そこでは朝から晩まで、あの鼻曲りのマグル贔屓びいきのばか者の庇ひ護ごの下だ。それではどうやってハリー・ポッターを手に入れるか?」
「そうだ……もちろん、バーサ・ジョーキンズの情報を使う。ホグワーツに送り込んだ、我が忠実な死し喰くい人びとを使うのだ。この小僧の名が『炎ほのおのゴブレット』に入るように取り計らうのだ。我が死喰い人を使い、ハリーが試合に必ず勝つようにする――ハリー・ポッターが最初に優ゆう勝杯しょうはいに触ふれるようにする――優勝杯は我が死喰い人が移動ポートキーに変えておき、それがこやつをここまで連れてくる。ダンブルドアの助けも保護も届かないところへ、そして待ち受ける俺様の両腕の中に連れてくるのだ。このとおり、小僧はここにいる……俺様の凋落ちょうらくの元になったと信じられている、その小僧が……」
ヴォルデモートはゆっくり進み出て、ハリーのほうに向き直った。杖つえを上げた。
「クルーシオ! 苦しめ!」