「お父上は君をどうやっておとなしくさせたのじゃ?」ダンブルドアが聞いた。
「『服従ふくじゅうの呪じゅ文もん』だ」男が答えた。「俺は父に管理されていた。昼も夜も無理やり透とう明めいマントを着せられた。いつも、俺おれはしもべ妖よう精せいと一いっ緒しょだった。しもべ妖精が俺を監かん視しし、世話した。妖精は俺を哀あわれんだ。ときどきは気晴らしさせるようにと、妖精が父を説き伏せた。おとなしくしていたらその褒ほう美びとして」
「バーティ坊っちゃま。バーティ坊っちゃま」ウィンキーは顔を覆おおったまますすり泣いた。「この人たちにお話してはならないでございます。あたしたちは困らせられます」
「君がまだ生きていることを、誰かに見つかったことがあるのかね?」ダンブルドアがやさしく聞いた。「きみのお父上と屋や敷しき妖精以外に、誰か知っていたかね?」
「はい」クラウチが言った。瞼まぶたがまたパチパチした。「父の役所の魔女で、バーサ・ジョーキンズ。あの女が、父のサインをもらいに書類を持って家に来た。父は不在だった。ウィンキーが中に通して、台所に戻った。俺のところに。しかし、バーサ・ジョーキンズはウィンキーが俺に話をしているのを聞いた。あの女は調べに入ってきた。透とう明めいマントに隠れているのが誰なのかが十分想像できるほどの話の内容を聞いてしまった。父が帰宅した。あの女が父を問い詰めた。父は、あの女が知ってしまったことを忘れさせるのに、強力な『忘ぼう却きゃく術じゅつ』をかけた。あまりに強すぎて、あの女の記憶は永久に損そこなわれたと父が言った」
「あの女はどうしてご主人さまの個人的なことにお節せっ介かいを焼くのでしょう?」ウィンキーがすすり泣いた。「どうしてあの女はあたしたちをそっとしておかないのでしょう?」