「ウィンキーが見つかったとき、父は必ず俺がそばにいると知っていた。ウィンキーが見つかった潅かん木ぼくの中を探し、父は俺が倒れているのを触さわって確かめた。父は魔法省の役人たちが森からいなくなるのを待った。そして俺に『服従ふくじゅうの呪文』をかけ、家に連れ帰った。父はウィンキーを解かい雇こした。ウィンキーは父の期待にそえなかった。俺に杖を持たせたし、もう少しで俺を逃がすところだった」
ウィンキーは絶望的な泣き声を上げた。
「家にはもう、父と俺だけになった。そして……そしてそのとき……」
クラウチの頭が、首の上でぐるりと回り、その顔に狂気の笑いが広がった。
「ご主人様が俺を探しにおいでになった……」
「ある夜遅く、ご主人様は下しも僕べのワームテールの腕に抱かれて、俺の家にお着きになった。俺がまだ生きていることがおわかりになったのだ。ご主人様はアルバニアでバーサ・ジョーキンズを捕らえ、拷ごう問もんした。あの女はいろいろとご主人様に話した。三さん大だい魔ま法ほう学がっ校こう対たい抗こう試じ合あいのこと、『闇やみ祓ばらい』のムーディがホグワーツで教えることになったことも話した。ご主人様は、父があの女にかけた『忘ぼう却きゃく呪文』さえ破るほどに拷問した。あの女は俺がアズカバンから逃げたことを話した。父が俺を幽ゆう閉へいし、ご主人様を探し求めないようにしていると、あの女が話した。そこでご主人様は、俺おれがまだ忠実な従者であることが――たぶんもっとも忠実な者であることが――おわかりになった。ご主人様はバーサの情報に基づいて、ある計画を練られた。俺が必要だった。ご主人様は真夜中近くにおいでになった。父が玄げん関かんに出た」
人生でいちばん楽しいときを思い出すかのように、クラウチの顔にますます笑みが広がった。ウィンキーの指の間から、恐怖で凍こおりついた茶色の目が覗のぞいていた。驚きのあまり口もきけない様子だ。
「あっという間だった。父はご主人様の『服従ふくじゅうの呪じゅ文もん』にかかった。こんどは父が幽ゆう閉へいされ、管理される立場だった。ご主人様は、父がいつものように仕事を続け、何事もなかったかのように振ふる舞まうように服従させた。そして俺は解放され、目覚めた。俺はまた自分を取り戻した。ここ何年もなかったほど生き生きした」