「ということは――」
ダンブルドアがハリーの顔から目を離さず、ゆっくりと言った。
「セドリックが何らかの形で現れたのじゃな?」
ハリーがまた頷いた。
「ディゴリーが生き返った?」シリウスが鋭い声で言った。
「どんな呪文をもってしても、死者を呼び覚ますことはできぬ」ダンブルドアが重苦しく言った。「こだまが逆の順序で返ってくるようなことが起こったのじゃろう。生きていたときのセドリックの姿の影が杖から出てきた……そうじゃな、ハリー?」
「セドリックが僕に話しかけました」ハリーが言った。急にまた体が震ふるえ出した。
「ゴースト……セドリックのゴースト、それとも、何だったのでしょう。それが僕に話しかけました」
「こだまじゃ」ダンブルドアが言った。「セドリックの外見や性格をそっくり保っておる。おそらく、ほかにも同じような姿が現れたのであろうと想像するが……もっと以前にヴォルデモートの杖の犠ぎ牲せいになった者たちが……」
「老人が」ハリーはまだ喉のどが締めつけられているようだった。「バーサ・ジョーキンズが。それから……」
「ご両親じゃな?」ダンブルドアが静かに言った。
「はい」
ハリーの肩をつかんだシリウスの手に力が入り、痛いくらいだった。
「杖が殺あやめた最後の犠ぎ牲せい者しゃたちじゃ」ダンブルドアが頷うなずきながら言った。「殺めた順序と逆に。もちろん、杖のつながりをもっと長く保っていれば、もっと多くの者が現れてきたはずじゃ。よろしい、ハリー、このこだまたち、影たちは……何をしたのかね?」
ハリーは話した。杖から現れた姿が、金こん色じきの籠かごの内側を徘はい徊かいしたこと、ヴォルデモートが影たちを恐れていたこと、ハリーの父親の影がどうしたらよいか教えてくれたこと、セドリックの最期の願いのこと。
そこまで話したとき、ハリーはもうそれ以上は続けられないと思った。シリウスを振り返ると、シリウスは両手に顔を埋うずめていた。