目覚めたとき、あまりに温かくまだとても眠かったので、もう一眠りしようとハリーは目を開けなかった。部屋はぼんやりと灯あかりが点ともっていた。きっとまだ夜で、あまり長い時間は眠っていないのだろうと思った。
そのとき、そばでヒソヒソ話す声が聞こえた。
「あの人たち、静かにしてもらわないと、この子を起こしてしまうわ」
「いったい何を喚わめいてるんだろう? また何か起こるなんて、ありえないよね?」
ハリーは薄うす目めを開けた。誰かがハリーのメガネをはずしたらしい。すぐそばにいるウィーズリーおばさんとビルの姿がぼんやり見えた。おばさんは立ち上がっている。
「ファッジの声だわ」おばさんが囁ささやいた。「それと、ミネルバ・マクゴナガルだわね。いったい何を言い争ってるのかしら」
もうハリーにも聞こえた。誰かが怒ど鳴なり合いながら病室に向かって走ってくる。
「残念だが、ミネルバ、仕方がない――」コーネリウス・ファッジの喚き声がする。
「絶対に、あれを城の中に入れてはならなかったのです!」マクゴナガル先生が叫さけんでいる。「ダンブルドアが知ったら――」
ハリーは病室のドアがバーンと開く音を聞いた。ビルがカーテンを開け、みんながドアのほうを見つめた。ハリーはベッドの周りの誰にも気づかれずに起き上がって、メガネをかけた。
ファッジがドカドカと病室に入ってきた。後ろにマクゴナガル先生とスネイプ先生がいた。
「ダンブルドアはどこかね?」ファッジがウィーズリーおばさんに詰め寄った。
「ここにはいらっしゃいませんわ」ウィーズリーおばさんが怒ったように答えた。
「大だい臣じん、ここは病室です。少しお静かに――」
しかし、そのときドアが開き、ダンブルドアがさっと入ってきた。