「マルフォイの潔けっ白ぱくは証明ずみだ!」ファッジはあからさまに感情を害していた。「由ゆい緒しょある家いえ柄がらだ――いろいろと立派な寄付をしている――」
「マクネア!」ハリーが続けた。
「これも潔白! いまは魔ま法ほう省しょうで働いている!」
「エイブリー――ノット――クラッブ――ゴイル――」
「君は十三年前に死喰い人の汚名を濯そそいだ者の名前を繰り返しているだけだ!」ファッジが怒った。「そんな名前など、古い裁判記録ででも見つけたのだろう! 戯たわけたことを。ダンブルドア――この子は去年も学期末に、さんざんわけのわからん話をしていた――話がだんだん大げさになってくる。それなのにあなたは、まだそんな話を鵜う呑のみにしている――この子は蛇へびと話ができるのだぞ、ダンブルドア、それなのに、まだ信用できると思うのか?」
「愚か者!」マクゴナガル先生が叫んだ。「セドリック・ディゴリー! クラウチ氏! この二人の死が、狂気の無差別殺人だとでも言うのですか!」
「反証はんしょうはない!」ファッジの怒りもマクゴナガル先生に負けず劣らずで、顔を真っ赤にして叫んだ。「どうやら諸しょ君くんは、この十三年間、我々が営々として築いてきたものを、すべて覆くつがえすような大混乱を引き起こそうという所しょ存ぞんだな!」
ハリーは耳を疑った。ファッジはハリーにとって、常に親切な人だった。少し怒ど鳴なり散らすところも、尊大なところもあるが、根は善人だと思っていた。しかし、いま目の前に立っている小こ柄がらな怒れる魔法使いは、心地よい秩序だった自分の世界が崩ほう壊かいするかもしれないという予測を、頭から拒否し、受け入れまいとしている――ヴォルデモートが復活したことを信じるまいとしている。