翌日の夜、ハリーはグリフィンドール塔とうに戻った。ハーマイオニーやロンの話によれば、ダンブルドアが、その日の朝食の席で学校のみんなに話をしたそうだ。ハリーをそっとしておくよう、迷めい路ろで何が起こったかと質問したり話をせがんだりしないようにと諭さとしただけだったと言う。大多数の生徒が、ハリーに廊ろう下かで出会うと、目を合わせないようにして避さけて通ることに、ハリーは気づいた。ハリーが通ったあとで、手で口を覆おおいながらひそひそ話をする者もいた。リータ・スキーターが書いた記事で、ハリーは錯さく乱らんしていて危険性があるということを信じている生徒が多いのだろうと、ハリーは想像した。たぶん、みんな、セドリックがどんなふうに死んだのか、自分勝手な説を作り上げているのだろう。しかし、ハリーはあまり気にならなかった。ロンやハーマイオニーと一いっ緒しょにいるのがいちばん好きだった。三人で他た愛あいのないことをしゃべったり、二人がチェスをするのをハリーが黙だまってそばで見ていたり、そんな時間が好きだった。三人とも、言葉に出さなくても一つの了解に達していると感じていた。つまり、三人とも、ホグワーツの外で起こっていることの何らかの印、何らかの便りを待っているということ――そして、何か確かなことがわかるまでは、あれこれ詮せん索さくしても仕方がないということだ。一度だけ三人がこの話題に触ふれたのは、ウィーズリーおばさんが家に帰る前にダンブルドアと会ったことを、ロンが話したときだった。
「ママは、ダンブルドアに聞きにいったんだ。君が夏休みに、まっすぐ僕んちに来ていいかって。だけど、ダンブルドアは、君が少なくとも最初だけはダーズリーのところに帰ってほしいんだって」
「どうして?」ハリーが聞いた。
「ママは、ダンブルドアにはダンブルドアなりの考え方があるって言うんだ」ロンはやれやれと頭を振った。「ダンブルドアを信じるしかないんじゃないか?」