「大丈夫だいじょぶか?」ハグリッドがぶっきらぼうに聞いた。
「うん」ハリーが答えた。
「いや、大丈夫だいじょぶなはずはねえ」ハグリッドが言った。「そりゃ当然だ。しかし、じきに大丈夫だいじょぶになる」
ハリーは何も言わなかった。
「やつが戻ってくると、わかっとった」ハグリッドが言った。
ハリー、ロン、ハーマイオニーは、驚いてハグリッドを見上げた。
「何年も前めえからわかっとったんだ、ハリー。あいつはどこかにいた。時ときを待っとった。いずれこうなるはずだった。そんで、いま、こうなったんだ。俺おれたちゃ、それを受け止めるしかねえ。戦うんだ。あいつが大きな力を持つ前めえに食い止められるかもしれん。とにかく、それがダンブルドアの計画だ。偉大なお人だ、ダンブルドアは。俺おれたちにダンブルドアがいるかぎり、俺はあんまり心しん配ぺえしてねえ」
三人が信じられないという顔をしているので、ハグリッドはボサボサ眉まゆをピクピク上げた。
「くよくよ心配してもはじまらん」ハグリッドが言った。「来るもんは来る。来たときに受けて立ちゃええ。ダンブルドアが、おまえさんのやったことを話してくれたぞ、ハリー」
ハリーを見ながら、ハグリッドの胸が誇ほこらしげに膨ふくらんだ。
「おまえさんは、おまえの父さんと同じぐらい大したことをやってのけた。これ以上の褒ほめ言葉は、俺にはねえ」
ハリーはハグリッドにニッコリ微ほほ笑えみ返した。ここ何日かで初めての笑顔だった。
「ダンブルドアは、ハグリッドに何を頼んだの?」ハリーが聞いた。「ダンブルドアはマクゴナガル先生に、ハグリッドとマダム・マクシームに会いたいと伝えるようにって……あの晩」
「この夏にやる仕事をちょっくら頼まれた」ハグリッドが答えた。「だけんど、秘ひ密みつだ。しゃべっちゃなんねえ。おまえさんたちにでもだめだ。オリンペも――おまえさんたちにはマダム・マクシームだな――俺と一いっ緒しょに来るかもしれん。来ると思う。俺が説得できたと思う」
「ヴォルデモートと関係があるの?」
ハグリッドはその名前の響ひびきにたじろいだ。
「かもな」はぐらかした。
「さて……俺と一緒に、最後の一匹になったスクリュートを見にいきたい者もんはおるか? いや、冗談じょうだん――冗談だ!」
みんなの顔を見て、ハグリッドが慌あわててつけ加えた。