ヴォルデモートの復活の夜、ダンブルドアの命を受けてスネイプは何をしたのだろう?
それに、どうして……どうして……ダンブルドアはスネイプが味方だと信じているのだろう? スネイプは味方のスパイだったと、ダンブルドアが「憂うれいの篩ふるい」の中で言っていた。スネイプは「大きな身の危険を冒おかして」スパイになり、ヴォルデモートに対たい抗こうした。またしてもその任務に就つくのだろうか? もしかして、死し喰くい人びとたちと接触したのだろうか? 本心からダンブルドアに寝返ったわけではない、ヴォルデモート自身と同じように、時ときの来るのを待っていたのだというふりをして?
ダンブルドア校長が教職員テーブルで立ち上がり、ハリーは物思いから覚めた。大おお広ひろ間まは、いずれにしてもいつもの別れの宴よりずっと静かだったが、さらに水を打ったように静かになった。
「今年も」ダンブルドアがみんなを見回した。「終りがやってきた」
一ひと息いき置いて、ダンブルドアの目がハッフルパフのテーブルで止まった。ダンブルドアが立ち上がるまで、このテーブルがもっとも打ち沈んでいたし、大広間のどのテーブルより哀かなしげな青い顔が並んでいた。
「今夜は皆にいろいろと話したいことがある」ダンブルドアが言った。「しかし、まずはじめに、一人の立派な生徒を失ったことを悼いたもう。本来ならここに座って」――ダンブルドアはハッフルパフのテーブルのほうを向いた――「皆と一いっ緒しょにこの宴うたげを楽しんでいるはずじゃった。さあ、みんな起立して、杯さかずきを上げよう。セドリック・ディゴリーのために」
全員がその言葉に従った。椅子が床を擦こする音がして、大広間の全員が起立した。全員がゴブレットを上げ、沈んだ声が集まり、一つの大きな低い響ひびきとなった。
「セドリック・ディゴリー」