ハリーは大勢の中から、チョウの顔を覗のぞき見た。涙が静かにチョウの頬ほおを伝っていた。みんなと一緒に着席しながら、ハリーはうなだれてテーブルを見ていた。
「セドリックはハッフルパフ寮りょうの特性の多くを備えた、模も範はん的てきな生徒じゃった」ダンブルドアが話を続けた。「忠実なよき友であり、勤勉であり、フェアプレイを尊んだ。セドリックをよく知る者にも、そうでない者にも、セドリックの死は皆それぞれに影響を与えた。それ故ゆえ、わしは、その死がどのようにしてもたらされたものかを、皆が正確に知る権利があると思う」
ハリーは顔を上げ、ダンブルドアを見つめた。
「セドリック・ディゴリーはヴォルデモート卿きょうに殺された」
大おお広ひろ間まに、恐怖に駆かられたざわめきが走った。みんないっせいに、まさかという面持ちで、恐ろしそうにダンブルドアを見つめていた。みんながひとしきりざわめき、また静かになるまで、ダンブルドアは平静そのものだった。
「魔ま法ほう省しょうは」ダンブルドアが続けた。「わしがこのことを皆に話すことを望んでおらぬ。皆のご両親の中には、わしが話したということで驚愕きょうがくなさる方もおられるじゃろう――その理由は、ヴォルデモート卿の復活を信じられぬから、または皆のようにまだ年とし端はもゆかぬ者に話すべきではないと考えるからじゃ。しかし、わしは、たいていの場合、真実は嘘うそに勝ると信じておる。さらに、セドリックが事故や、自みずからの失敗で死んだと取り繕つくろうことは、セドリックの名誉を汚けがすものだと信ずる」
驚き、恐れながら、いまや大広間の顔という顔がダンブルドアを見ていた……ほとんど全員の顔が。スリザリンのテーブルでは、ドラコ・マルフォイがクラッブとゴイルに何事かコソコソ言っているのを、ハリーは目にした。むかむかする熱い怒りがハリーの胃に溢あふれた。ハリーは無理やりダンブルドアのほうに視し線せんを戻した。