「どういうことだい?」ロンが聞いた。
「学校の敷しき地ちに入っちゃいけないはずなのに、どうしてあの女が個人的な会話を盗み聞きしたのか、私、突き止めたの」ハーマイオニーが一気に言った。
ハーマイオニーは、ここ数日、これが言いたくてうずうずしていたのだろう。しかしほかの出来事の重大さから判断して、ずっと我が慢まんしてきたのだろう、とハリーは思った。
「どうやって聞いてたの?」ハリーがすぐさま聞いた。
「君、どうやって突き止めたんだ?」ロンがハーマイオニーをまじまじと見た。
「そうね、実は、ハリー、あなたがヒントをくれたのよ」ハーマイオニーが言った。
「僕が?」ハリーは面食らった。「どうやって?」
「盗とう聴ちょう器き、つまり虫よ」ハーマイオニーがうれしそうに言った。
「だけど、君、それはできないって言ったじゃない――」
「ああ、機械の虫じゃないのよ。そうじゃなくて、あのね……リータ・スキーターは」ハーマイオニーは、静かな勝利の喜びに声を震わせていた――「無む登とう録ろくの『動物もどきアニメーガス』なの。あの女は変身して――」ハーマイオニーはカバンから密みっ封ぷうした小さなガラスの広ひろ口くち瓶びんを取り出した。
「――コガネムシになるの」
「嘘うそだろう」ロンが言った。「まさか君……あの女がまさか……」
「いいえ、そうなのよ」ハーマイオニーが、ガラス瓶を二人の前で見せびらかしながら、うれしそうに言った。
中には小枝や木の葉と一いっ緒しょに、大きな太ったコガネムシが一匹入っていた。
「まさかこいつが――君、冗談じょうだんだろ――」ロンが小声でそう言いながら、瓶びんを目の高さに持ち上げた。
「いいえ、本気よ」ハーマイオニーがニッコリした。「病室の窓まど枠わくのところで捕まえたの。よく見て。触角しょっかくの周りの模も様ようが、あの女がかけていた嫌いやらしいメガネにそっくりだから」
ハリーが覗のぞくと、たしかにハーマイオニーの言うとおりだった。それに、思い出したことがあった。