「なかなかやるじゃないか、グレンジャー」ドラコ・マルフォイだった。
クラッブとゴイルがその後ろに立っている。三人とも、これまで以上に自信たっぷりで、傲ごう慢まんで、威い嚇かく的てきだった。
「それじゃ」マルフォイはおもむろにそう言いながら、コンパートメントに少し入り込み、唇くちびるの端はしに薄うす笑わらいを浮かべて、中を見回した。「哀あわれな新聞記者を捕らえたってわけだ。そしてポッターはまたしてもダンブルドアのお気に入りか。結構なことだ」
マルフォイのニヤニヤ笑いがますます広がった。クラッブとゴイルは横目で見ている。
「考えないようにすればいいってわけかい?」マルフォイが三人を見回して、低い声で言った。「何にも起こらなかった。そういうふりをするわけかい?」
「出ていけ」ハリーが言った。
ダンブルドアがセドリックの話をしている最中に、マルフォイがクラッブとゴイルにヒソヒソ話していたのを見て以来、ハリーは初めてマルフォイとこんなに近くで顔を合わせた。ハリーはジンジン耳鳴りがするような気がした。ローブの下で、ハリーは杖つえを握り締めた。
「君は負け組を選んだんだ、ポッター! 言ったはずだぞ! 友達は慎重しんちょうに選んだほうがいいと僕が言ったはずだ。憶おぼえてるか? ホグワーツに来る最初の日に、列車の中で出会ったときのことを? 間違ったのとはつき合わないことだって、そう言ったはずだ!」
マルフォイがロンとハーマイオニーのほうを顎あごでしゃくった。
「もう手遅れだ、ポッター! 闇やみの帝てい王おうが戻ってきたからには、そいつらは最初にやられる! 穢けがれた血やマグル好きが最初だ! いや――二番目か――ディゴリーが最――」
誰かがコンパートメントで花火を一箱爆発させたような音がした。四方八方から発射された呪じゅ文もんの、目の眩くらむような光、バンバンと連続して耳を劈つんざく音。ハリーは目をパチパチさせながら床を見た。
ドアのところに、マルフォイ、クラッブ、ゴイルが三人とも気を失って転がっていた。
ハリー、ロン、ハーマイオニーの三人とも立ち上がって、別々の呪のろいをかけていた。しかもやったのは三人だけではなかった。