「ただ、おばさんにはどこから手に入れたか、内ない緒しょにして……もっとも考えてみれば、おばさんはもう君たちを魔ま法ほう省しょうに入れることには、そんなに興味がないはずだけど……」
「ハリー」フレッドが何か言おうとした。しかし、ハリーは杖つえを取り出した。
「さあ」ハリーがきっぱりと言った。「受け取れ、さもないと呪のろいをかけるぞ。いまならすごい呪いを知ってるんだから。ただ、一つだけお願いがあるんだけど、いいかな? ロンに新しいドレスローブを買ってあげて。君たちからだと言って」
二人が二の句が継げないでいるうちに、ハリーはマルフォイ、クラッブ、ゴイルを跨またぎ、コンパートメントの外に出た。三人とも全身呪のろいの痕あとだらけで、まだ廊ろう下かに転がっていた。
柵さくの向こうでバーノンおじさんが待っていた。ウィーズリーおばさんがそのすぐそばにいた。おばさんはハリーを見るとしっかり抱き締め、耳元で囁ささやいた。
「夏休みの後半は、あなたが家に来ることを、ダンブルドアが許してくださると思うわ。連れん絡らくをちょうだいね、ハリー」
「じゃあな、ハリー」ロンがハリーの背中を叩たたいた。
「さよなら、ハリー!」ハーマイオニーは、これまで一度もしたことのないことをした。ハリーの頬ほおにキスしたのだ。
「ハリー――ありがと」ジョージがモゴモゴ言う隣となりで、フレッドが猛もう烈れつに頷うなずいていた。
ハリーは二人にウィンクして、バーノンおじさんのほうに向かい、黙だまっておじさんのあとについて駅を出た。いま心配してもしかたがない。ダーズリー家の車の後部座席に乗り込みながら、ハリーは自分に言い聞かせた。
ハグリッドの言うとおりだ。来るもんは来る……来たときに受けて立てばいいんだ。