グリフィンドールのテーブルでは、熱ねっ狂きょう的てきな大だい歓かん迎げいを受けた。みんなが赤と金色で装よそおっていた。しかし、ロンの意気は揚あがるどころか、大だい歓かん声せいがロンの士し気きを最後の一滴いってきまで搾しぼり取ってしまったかのようだった。ロンは、人生最後の食事をするかのように、一番近くのベンチに崩くずれ込こんだ。
「僕、よっぽどどうかしてた。こんなことするなんて」ロンはかすれ声で呟つぶやいた。「どうかしてる」
「バカ言うな」ハリーは、コーンフレークを何種類か取り合わせてロンに渡しながら、きっぱりと言った。「君は大丈夫。神しん経けい質しつになるのはあたりまえのことだ」
「僕、最低だ」ロンがかすれ声のまま言った。「僕、下へ手たくそだ。絶対できっこない。僕、いったい何を考えてたんだろう」
「しっかりしろ」ハリーが厳きびしく言った。「この間、足でゴールを守ったときのことを考えてみろよ。フレッドとジョージでさえ、すごいって言ってたぞ」
ロンは苦痛に歪ゆがんだ顔でハリーを見た。
「偶然ぐうぜんだったんだ」ロンが惨みじめそうに呟いた。「意図的にやったんじゃない――誰も見ていないときに、僕、箒ほうきから滑すべって、なんとか元の位置に戻ろうとしたときに、クアッフルをたまたま蹴けったんだ」
「そりゃ」ハリーは一いっ瞬しゅんがっくりきたが、すぐ立ち直った。「もう二、三回そういう偶然ぐうぜんがあれば、試合はいただきだ。そうだろ」
ハーマイオニーとジニーが二人の向かい側に腰掛こしかけた。赤と金色のスカーフ、手袋、バラの花飾はなかざりを身につけている。
「調子はどう」
ジニーがロンに声をかけた。ロンは、空からになったコーンフレークの底に少しだけ残った牛乳を見つめ、本気でその中に飛び込こんで溺おぼれ死んでしまいたいような顔をしていた。
「ちょっと神しん経けい質しつになってるだけさ」ハリーが言った。
「あら、それはいい兆ちょう候こうだわ。試験だって、ちょっとは神経質にならないとうまくいかないものよ」ハーマイオニーが屈託くったくなく言った。