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決められた以外のせりふ19

时间: 2019-01-08    进入日语论坛
核心提示:アメリカの観客席 ニューヨークのブロードウェイ劇場の、幕間の賑やかなことは、一と通りではない。 一体にブロードウェイの観
(单词翻译:双击或拖选)
 アメリカの観客席
 
 ニューヨークのブロードウェイ劇場の、幕間の賑やかなことは、一と通りではない。
 一体にブロードウェイの観客は、陽気で、屈託がなく、芝居の進行中にも、大声で笑ったり拍手をしたり一斉に歎声を発したりすることを憚らない。憚らないどころか、笑ったり拍手をしたりする機会の来るのを、手ぐすね引いて待ち構えているような感じがする。幕が上るや否や、すぐに反応してしまうこともあって、そういう時には、装置がいいのである。私はそういう経験を、二度した。
 一度は、アーサー・ミラーの新作「価値」の幕明きで、骨董物の家具を山のように積み上げたニューヨークのある屋根裏部屋の、おそろしく写実的な舞台があらわれた時であり、二度目は、イヨネスコの「王様御退場」の幕明き、広大な透明ビニールのカーテンと金属質の玉座だけの、極めて抽象的な装置が出現した時である。二度とも、「ビューティフル!」という歓声が、そこかしこに起り、激しい拍手が、役者のいない舞台を前にして、ひとしきり鳴り止まなかった。
「価値」の幕明きには、その前に、もう一つ、小さなおまけがついた。舞台監督か、表方か、見当がつき兼ねたが、背広姿の中年の男が舞台の下の通路にあらわれて、短い挨拶をした。
「プログラムには、途中に休憩が一回あると印刷してありますが、これは間違いです。申訳ありません。この芝居には幕間がありません。ですから」と、一寸間をおいて、にっこり客席を眺めた後、「幕間にどなたかへ電話をおかけになるおつもりだった方は、今の内におかけ下さい」会釈して歩き出そうとして、振り返り、「電話がおすみになったら、幕を明けます」
 劇場側も心得たものである。スピーカーなんか使わない。いかにも劇場という場所にふさわしい挨拶の仕方である。忽ち拍手と笑声が起った。
 そういう劇場であり、そういう観客だから、幕間のロビーは一段と賑やかになる。賑やかを通り越して、騒がしくなる。
 ふだん着、よそ行き、古風、当世風、冬物、夏物、千差万別の服装の老若男女が、ひしめき合っている。芝居の批評をする、世間話をする、友達を呼ぶ、役者の品定めをする、相談する、議論する、ふざける、笑う、大変である。
 この大変から免れようと思ったら、自分の席へ戻るか、往来へ出てしまうかする他はない。舗道へ出て、煙草をふかしていると、向うの劇場も休憩になって、向うの大変を逃れる客がぞろぞろ出て来たりする。
 ブロードウェイには、十九世紀から二十世紀の初頭へかけて建築された古い劇場が、珍しくない。ヨーロッパの劇場を手本にした、バロック様式の建築が多い。
 そういう古風な劇場が、観客にとっては、ロビーの狭いことさえ別にすれば、一向、不都合でない。客席の奥行が浅く、舞台が低く、一階平土間の傾斜がひどく急に出来ているから、芝居が見易い。二階席、三階席の平面がU字形になった構造は、興行者にとっては経済的でないだろうが、観客にとっては視覚的にも聴覚的にも、はなはだ有利である。客席の数も、せいぜい七百から八百どまりの劇場が多い。舞台の型式は例外なく、イタリア式の額縁舞台である。
 オフ・ブロードウェイへ行くと、元倉庫、元映画館、元レストランといった風情の小さな劇場がたくさんある。定員三十人などというのは、ごく普通で、客席のつづきの同じ床で芝居が始まったりする。
 アメリカで、第二次大戦後に出来た新しい大きな劇場の中には、押出し舞台(スラスト・ステージ)の型式を取っている劇場が、少なくない。三方を客席に囲まれた、能舞台に似た型式で、客席は摺鉢《すりばち》状の階段席になっている。ミネアポリスのタイロン・ガスリー劇場などが口火を切った形だが、四方を客席に囲まれた円形劇場や、古くさい額縁舞台よりも、押出し舞台の方が、演じる側にも見る側にも、はるかに有利だという説をなす劇場人が、ずいぶんいた。舞台と客席との融和、役者の演技の真実性、観客の視点の選択の自由など、挙げればきりがないという調子で、説明されると、よく分りました、と答える他はない。
 押出し舞台は、一部のアメリカの演劇人にとっては、アメリカ演劇の明日のシンボルで、ジャンルとしてのミュージカルが今日のアメリカ演劇をシンボライズしているように、押出し舞台も間もなく、アメリカ演劇独自の舞台様式として完成されることを信じているように見える。古い額縁舞台の擁護論など、到底聞いてもらえるものではない。そういうかれらの打ち込み方は、かれらの演劇的情熱の若々しさを感じさせると同時に、いくらかは、ヨーロッパ演劇に対する裏返しの憧憬をも語っているように、私には思われた。
 ブロードウェイの古い劇場と、オフ・ブロードウェイの小さい劇場と、新型式の大劇場(例えばリンカン・センターのヴィヴィアン・ボーモント劇場は必要に応じて額縁式と押出し式の両方を使い分けることが出来るようになっている)とでは、観客の質に自ずから相違がある。
 しかし、実に種々様々な老若男女がその劇場へ集まってくるという点では全く同じである。
 どの劇場で、何を見るかは趣味の問題かも知れないが、誰でも月に一度か二度、劇場へ行くことは、床屋へ行くことのように、当り前だ、という具合である。今日の東京では、観劇自体が趣味の問題だから、比較にならない話である。
                                               ——一九四四年一月 三田評論——
 
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