日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 芥川比呂志 » 正文

決められた以外のせりふ112

时间: 2019-01-08    进入日语论坛
核心提示:西洋のタクシー ニューヨークのタクシーの運転手に、笑われたことがあった。「行かないわけがないじゃないか。乗んなさいよ、早
(单词翻译:双击或拖选)
 西洋のタクシー
 
 ニューヨークのタクシーの運転手に、笑われたことがあった。
「行かないわけがないじゃないか。乗んなさいよ、早く」
 つまり、こちらは、東京のタクシーの乗車拒否で鍛えられているので、つい念の押し方がくどくなるのである。
「ワタシハりんかあん・せんたあへ行キタイノデスガ、連レテ行ッテモラエルデショウネ、アナタ?」というようなことを、探るような目つきをして、妙にゆっくりと言うから、向うは目をぱちくりさせる。
 去年の春から夏へかけて、五カ月ほどの西洋旅行中、乗車拒否をくらったのは、パリで二度か三度だけである。
 アメリカのタクシーの運転手が、向うから話しかけてくる時には、大抵、日本の話で、たとえば、黒いスキー帽に黒い皮のジャンパーを着込んだ肥った赤ら顔の運転手が、バックミラーの中でちょいとウインクしてみせたりしながら、陽気にしゃべり出す。
「私も日本にいたことがあるんだぜ。たった一週間だが、兵隊でね、朝鮮のときさ。何て言ったっけな、あの町? コカフウか? 知らないかい?」
「甲府カナ?」
「コウフ……違うね。ほら、島があるだろう、大きな。キヨトウか?」
「京都ハ町デスヨ」
「はてね。じゃあ、キヨショウか?」
「九州デショウ」
「それそれ、キューシューだ。その島にあるんだ、コカフウは」
「九州ノこかふう? 福岡ダロウ」
「あ、フクオーカだ! やっと思い出した。ほら、知ってるじゃないか、あんた!」
 こんな目にたびたび遇ったのは、むろんアメリカだけである。ヨーロッパのタクシーの運転手とは、とてもこうは行かない。日本のありかさえ定かではないのだから、とてもキヨショウのコカフウまでは手が廻らないのである。
 ローマのタクシーは、緑と黒のツー・トーン・カラーの小型車で、この噴水の多い、樹木の少ない、曲りくねった道のつづく古い大理石の町に、よく似合っており、料金も安いので、気が張らないのが何よりである。
 ベルリンでは、どういう廻り合せか、タクシーを止めると、運転手はかならず、体格のいい老人であった。しかもその殆どが、白髪である。ダブルの背広に中折帽を冠り、真白な口髭をたくわえた運転手の車に乗った時には、自家用車に乗せてもらっているような、妙な気分がした。
 行先を、注意ぶかく聴く。聴き終ると、はっきり頷《うなず》いて、慎重にスタートする。がっしりした両手が、ハンドルに柔らかく置かれている。やや大げさな言い方をすると、この走る機械の主人はまさしく彼であるという感じがする。彼らの風貌には、老工場長や老船長に共通するおだやかな威厳があった。
 パリのタクシーは、ひどく楽しいのがあるかと思うと、がっかりすることもあって、はなはだ変化に富んでいた。
 どういうのが楽しいかというと、たとえば、客席にしゃれた色の毛布が敷いてあったりする。レモン色のカーディガンを着た若い運転手に、声をかけて、振向くのを見ると、女だったりする。昔のフランス映画の俳優、レイモン・コルディによく似た、鳥打帽の運転手が話しかけて来たりする。
「ごらんよ、旦那。デモだよ。学生は威勢がいいね。若い者はいつだって威勢がいいや。それっていうのも、つまりは仕事を持たないからさ。仕事を覚えるってのは、大変なもんだ。早い話が、旦那、どんな小さな、短い横町の名前でもいいから、言ってごらん。パリの町だったら、自慢じゃないが、隅から隅まで知ってるよ」
 しかし、何といっても、最高のタクシーは、ロンドンである。
 オースチンの無骨な大型で、乗り心地は、やや硬く、かならずしも上乗とは言えない。それが、しばらくする内に、かえって頼もしい感じになってくる。
 それというのも、運転手がいいからである。老いも若きもおしなべて、親切で礼儀正しく、地理に精通し、正確丁寧な運転をするからである。「自慢じゃないが」と前置きをするまでもなく、文字通り、ロンドンの町ならば、隅から隅まで知っていないと、免許が取れない仕掛けになっているようである。東京や大阪のように、日々これ新たなる都会では、通用しかねる仕掛けである。
 ワシントンのタクシーの、若い黒人運転手のおしゃべりを思い出す。
「あんた、東京から来たの? すごいね、あそこのタクシー。蛇行運転、割り込み、スピード。アクロバットだね。ヴェトナムからの帰りがけだったけど、ヴェトナムより恐かった。あんた、いつから東京? 生れてからずっと? タクシーの事故は? 一度も? 運がいいんだねえ! でも、でも、日本人、器用なんだな。ハンドルさばきがうまいんだ。だけど」
 と、ちょっと考えて、
「運転手は、責任があるよ。タクシーも、飛行機も、ね」
                                               ——一九六九年五月 小説新潮——
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%