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带电人M-虎穴追踪

时间: 2022-01-30    进入日语论坛
核心提示:小黒人 ちょうどそのころ、桜井さんのガレージのとびらを開いて、ふたりの少年が、中にしのびこんでいました。 二十面相が、黒
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小黒人


 ちょうどそのころ、桜井さんのガレージのとびらを開いて、ふたりの少年が、中にしのびこんでいました。
 二十面相が、黒い怪鳥に抱かれて、空たかく、とびさってから、一時間ほどしたころです。少年のひとりは小林君でした。もうひとりは、頭から足の先まで、まっ黒な、ごく小さい子どもです。
 その子どもは黒いシャツに、黒いズボン、黒い運動靴という、黒ずくめの服装で、頭からスッポリと黒いふくめんをかぶっています。目のところだけ、くりぬいてあって、クリクリした、かしこそうな目がのぞいているのです。
 もう、おわかりでしょう。この小さい黒んぼは、これから冒険にでかけようとするポケット小僧なのです。
 ふたりはガレージにはいると、ピタリと、とびらをしめてから、小林君はガレージのすみにうずくまって、床の鉄板に打ってあるびょうを動かしました。
 すると、鉄板の床全体が、桜井さんの自動車を乗せたまま、電気仕掛で、スーッとさがっていくのです。そして、ガレージの下の、秘密の部屋の床までおりますと、黒んぼ少年は、いさましく、鉄板の外に、とびだしました。
「ポケット君、しっかりやってくれよ。こんどは、いままでにない大仕事だからね。」
「うん、大丈夫だよ。きっと、治郎さんを、捜しだしてみせるよ。」
「それじゃ、ぬかりなくね。」
「うん、わかったよ。小林さんは、もう上がってもいいよ。」
 小林少年は、ポケット小僧に別れをつげて、さっきの鉄板のびょうを、ぎゃくに動かしました。すると、鉄板の床が、エレベーターのように、上がっていくのです。
 鉄板が上がると、下の部屋には電灯がないので、まっくらになりました。黒んぼのポケット小僧は、懐中電灯をつけて、上のガレージよりも、広くなっているがわの、コンクリートのかべを照らしました。
 そして、しばらくの間、なにかを捜していましたが、
「あっ、あれだ。」
と、言いながら、こんどは、ポケットから、小さな銀色の棒を取りだしました。
 それをにぎって、サッと、ふりますと、小さな棒が、一メートル五十センチほどの長い棒になりました。
 それは手品師のつかう魔法の杖で、写真機の足のように、銀のつつが、いくつも重なり合っていて、ちぢめれば二十センチほどになり、のばせば一メートル五十センチにもなるのです。
 これは少年探偵団の七つ道具とは別に、小林少年だけが持っている、便利な道具なのですが、ポケット君は、こんどの冒険のために、それを借りてきたのです。
 その長い棒で、コンクリートのかべの自分の背の二倍もあるような、高いところを、グッと押しました。
 そこに、かべと同じコンクリートの、かくしボタンがあって、それが、秘密の戸を開く、電気仕掛のスイッチになっているのです。
 グッと押したかと思うと、そのスイッチの下のコンクリートのかべに、四角な割れ目ができて、それが、だんだん大きくなっていきます。厚さ二十センチもあるコンクリートのかべが、金庫のとびらのように、向こうへグーッと、開いていくのです。その奥は、まっ暗闇の、トンネルでした。
 明智探偵が、中村警部に、「こっちにも、奥の手がある。」と言ったのは、ここのことでした。このトンネルが、二十面相のかくれがに、つづいているのにちがいありません。
 明智探偵は、さきほど、ガレージの床下にかくれたとき、この秘密戸を見つけたのですが、わざとだれにも言わないでおいて、すばしっこいポケット小僧に、その探検をさせることにしたのです。
 ポケット小僧は、トンネルの中にはいりました。裏がわのスイッチを捜すのに、しばらく手まどりましたが、やがて、それを見つけると、また魔法の杖で押して、厚いかくし戸を、もとのとおりにしめました。
 用心のために、懐中電灯を消したので、あたりは、しんの闇です。その闇の中を、小さな黒んぼが歩いて行くのですから、たとえ、二十面相の部下とすれちがっても、めったに気づかれることはないでしょう。
 右手でトンネルのかべにさわりながら、奥へ、奥へと進んで行きました。恐ろしく、長いトンネルです。右に曲がり、左に曲がり、ときには階段をおりたり、上がったりして、どこまでもつづいているのです。

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