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带电人M-黑魔聚会

时间: 2022-01-30    进入日语论坛
核心提示:黒んぼ会議 また、うす暗い廊下です。二十面相は、そこを右に曲がり、左に曲がり、歩いて行きます。このへんは、コンクリートの
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黒んぼ会議


 また、うす暗い廊下です。二十面相は、そこを右に曲がり、左に曲がり、歩いて行きます。このへんは、コンクリートの床で、リノリウムの自動廊下ではありません。
 廊下は、狭いトンネルのようになり、そのつきあたりに、上にのぼるコンクリートの階段が見えてきました。
 二十面相は、それをのぼって行きます。ポケット小僧の小さな黒んぼのような姿も、そのすぐあとから、ついて行きます。
 階段をのぼりきると、コンクリートのかべで、ふさがれていましたが、二十面相は、どこかのボタンを押して、それを開きました。コンクリートの重いふたが、スーッと、上の方へ、開いていくのです。
 そこを出ると、空いっぱいに、星が輝いていました。
「おやっ、もう地下から、外に出たんだな。」
 ポケット小僧は、やれうれしやと思いました。外に出てしまえば、事務所へ帰るのは、わけはないからです。
 そこは、公園などにある野外音楽堂のようなところでした。星の光で、ぐるっと、まるくとりまいたベンチの列が、かすかに見えています。
 それらのベンチは、うしろの方ほど高くなっていて、ちょうど学校の理科実験室を、何倍にも広くしたようなかんじです。それらのベンチには、あちこちに、黒いお化けみたいなものが、腰かけていました。そのお化けは、みんなで五十人ぐらいのようでした。
 二十面相の電人Mは、ベンチでかこまれた、まんなかのあき地に置いてある椅子に、こしかけました。
 その椅子の横に、まっ黒な大入道のようなものが、ニューッと立っています。丸い顔が、いくつもある、でっかい化け物です。
 しばらくすると、ベンチのどこからか、
「みんな、そろいました。」
という声がきこえました。
 それを聞くと、まんなかの二十面相は、すっくと、椅子から立ちあがりました。黒い大入道と電人Mとが、不気味な姿を、ならべたのです。しかしその大きさは、まるでちがいます。顔のいくつもある大入道のほうは、電人Mの十倍もある巨人です。
「諸君!」
 電人Mが、恐ろしい声で、どなりました。どこかに、ラウド・スピーカーをつけているのかもしれません。
「これから、一週間にいちどの金曜日の会議を開く。いつも言っていることだが、ここにあらためて、われわれの団体の目的をのべる。
 われわれは世界の美術品を集めることを目的とする。買いいれるのではなく、盗みとるのだ。そして二十面相大美術館を造るのが、おれの一生の目的だ。
 金銭を盗むこともあるが、それが目的ではない。おれと諸君の暮らしをたてるためだ。諸君には十分の金をあたえている。諸君はひとりひとりが、相当の金持だ。
 われわれは、どんなことがあっても、人を殺さない。人を傷つけない。おれは血をみることが、大嫌いだ。このおきては、堅く守ってもらいたい。
 いまおれは、遠藤博士の大発明を、おれのものにしようと考えている。そのためには、博士の助手に住みこんだりして、ずいぶん、骨をおったが、どうしても秘密がわからない。そこで、やむをえず、博士の子どもの治郎君をかどわかして、われわれのすみかにかくした。大切にあつかうつもりだ。ただ、博士が秘密を打ち明けるまでは、ぜったいに返さないというだけだ。
 遠藤博士の発明は、やがて、おれのものになる。そうなれば、おれは天下無敵だ。世界を敵に回しても、こわくないぞ。おれの知恵と、おれの二十のちがった顔と、博士の恐ろしい発明と、これだけそろえば、おれは、思う存分のことができる。だから諸君はこのうえとも、治郎君を逃がさないように、よく注意するのだ。あの子が、大発明を手に入れるかぎだからな。
 おれはいまは二十面相ではなくて、電人Mだ。おれがどんなに大仕掛な地下の電気の国を造ったかは、諸君がよく知っている。諸君が、それぞれの持ち場を、ひきうけてくれたおかげだ。
 ああ、電気の国! おれたちは、地球だけではない。宇宙を相手にしているのだ。宇宙人を造りだしているのだ。その秘密も、諸君はよく知っている。
 これで、おれの話は終わる。諸君のうちに、なにか意見があったら、遠慮なく、ここで言ってもらいたい。」
「異議なし!」「異議なし!」
 ベンチの方ぼうから、声が起こりました。
 ベンチにかけていた黒いお化けはみんな人間だったのです。二十面相の部下だったのです。黒シャツに黒ふくめんをつけて、目のところだけをくりぬいたありさまは、ポケット小僧と、そっくりです。
 かれらは、そのとき、そろって立ちあがりました。
「電人Mばんざーい。」
「電気の国ばんざーい。」
 みんなの声が、星空の下にとどろきわたりました。
 ポケット小僧は、ますます驚きました。二十面相の電人Mは五十人の部下をもっているのです。そして、毎日、毎日、日本じゅうの美術品を、いや、世界の美術品を、集めているのです。
 遠藤博士の発明を盗むのも、電人Mに化けたのも、みんなその目的を達するためらしいのです。なんという大がかりな盗賊団でしょう。
「だが、こっちには明智先生がいる。小林団長がいる。なあに、いまに、あっといわせてやるぞ。」
 ポケット小僧は、明智事務所に帰るために、みんなのそばから、離れていきました。
 しかし、このひろっぱの回りには、高いコンクリートの塀が、めぐらされていて、どこにも出口のないことがわかりました。これは、どこかの屋敷の中でしょうか。それとも……? ああ、ここは一体、どこなのでしょう。

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