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怪指纹: 妖魔鬼怪大会

时间: 2021-08-15    进入日语论坛
核心提示:お化け大会 宗像博士が、塵芥車のトリックを発見したのが八時三十分頃、警視庁の中村捜査係長が、おくればせに駈けつけたのが、
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お化け大会


 宗像博士が、塵芥車のトリックを発見したのが八時三十分頃、警視庁の中村捜査係長が、おくればせに駈けつけたのが、それから又十分ほども後であった。
 中村警部は、宗像博士から委細を聞き取ると、捜査手配のために、すぐさま警視庁に引返したが、あらためて全市の警察署、派出署、交番などに、犯人逮捕の指令が飛んだことは云うまでもない。
 今度は犯人と共犯者の風体もよく分っているのだし、その上、塵芥車という大きなお荷物があるのだから、発見は容易である。だが、彼等が逃出してから既に一時間、何しろ魔術師のような素早い奴のことだから、まさか今頃まで、元の掃除人夫の姿で塵芥車を引っぱって、ノロノロ町を歩いている筈はない。恐らくは、邪魔な塵芥車はどこかへ捨てて、風体を変え、妙子さんを攫って、姿をくらましてしまったに違いない。とすると、折角の非常指令もあとの祭である。空っぽの塵芥車でも発見するのが関の山であろう。
 案の定、それから三十分程もすると、主人を慰める為に川手邸に居残っていた宗像博士のところへ、警視庁の中村係長から電話があって、塵芥車が発見されたという知らせである。
 場所は、川手邸から三町とは離れていない、神社の森のなかだという。アア、何ということだ。賊は川手邸を出たかと思うと、もう車を捨ててしまったのだ。では、妙子さんは? まさか森の中へ捨てた訳ではあるまい。一体どうして、どこへ運び去ったというのであろう。
 博士と小池助手とは、()(かく)現場へ行って見ることにした。
 車を呼ぶまでもなく、教えられた道を、走るようにして二つ三つ曲ると、もうそこが神社の森であった。その辺は、麻布区内でも、市中とも思われぬ場末めいた感じで、附近には広い空地などもあり、子供達の遊び場所になっている。
 神社の森の中へ入って見ると、塵芥車はもう警察署へ運び去られたということで、そのあとに目印の小さな杭が立てられ、側に制服の若い警官が立っていた。
 博士は名刺を出して、警官に話しかけた。
「警視庁の中村警部から聞いてやって来たのです。中村君もじきあとから、ここへ来ると云っていました」
「ア、そうですか。お名前はよく承知して居ります。今度の事件には御関係になっているんだそうですね」
 若い警官は、有名な民間探偵の顔を、まぶしそうに見て、丁寧な口を利いた。
「で、塵芥車の(ほか)に何か発見はありませんでしたか」
「さい前から、一通りこの森の中を捜索したのですが、全く何の手掛りもありません。ごらんの通りの石ころ道で、足跡は分りませんし、被害者をどこかへ隠したのではないかということですが、そういう様子も見えません。狭い境内(けいだい)のことですから、土を掘ったりすれば、すぐ分る筈ですし、社殿の中や縁の下なども調べたのですが、これという発見もありませんでした」
「君一人でお調べになったのですか」
「イイエ、署の者が五人程で手分けをして、調べたのです」
「イヤ、有難う。僕はこの辺を少しぶらついて見ますから、中村君が来られたら、そうお伝え下さい」
 博士は警官に挨拶をして、小池助手と一緒に神社を出ると、どこという当てもなく、ブラブラと歩き出した。
「オヤ、小池君、あすこに見世物(みせもの)が出ているようだね」
 暫らく行くと、博士がそれに気附いて、助手を顧みた。
「エエ、そうのようですね。のぼりが立ってますよ。アア、お化け大会と書いてあります。例の化物屋敷の見世物でしょう」
「ホウ、妙なものが出ているね。行って見ようじゃないか。化物屋敷なんて随分(ずいぶん)久し振りだ。東京にもこんな見世物がかかるのかねえ」
「近頃なかなか流行しているんです。昔は化物屋敷とか八幡の藪知(やぶし)らずとか云ったようですが、この頃はお化け大会と改称して、色々新工夫をこらしているそうです」
 話しながら歩く内に、二人は大きなテント張りの小屋掛けの前に来ていた。
 小屋の前面は、張り子の岩組みと、一面の竹藪になっていて、その間から、狐格子(きつねごうし)の辻堂などが覗いている。さも物凄い飾りつけである。上部にはズラッと毒々しい絵看板が並び、それには、ありとあらゆる妖怪変化(へんげ)の姿が、今にも飛びついて来そうに、物恐ろしく描いてある。
 前には黒山の人だかりだ。その群衆の頭の上に、台にのった木戸番の若者の胸から上が見えている。若者は口にメガフォンを当てて、嗄声(しわがれごえ)をふりしぼり、夢中になって客寄せの口上(こうじょう)を呶鳴っている。
 段々近づいて見ると、木戸の上に、大きな貼紙をして、下手な字で、何かゴタゴタと書いてある。

大懸賞

本お化け大会入口より出口まで無事御通過なされしお客様には、入場料金を全部返却の上、賞金五円を贈呈致します。

「オヤ、変な見世物だねえ。五十銭の入場料で、五円の賞金を出していたんじゃ、興行主は損ばかりしていなけれゃなるまい」
 博士が思わず独言のように云うと、群衆の中の一人の老人が、それを聞きつけて、話しかけた。
「それが、そうじゃねえんですよ。座元は丸儲(まるもう)けでさあ。ホラ、ごらんなさい。入口からああしてゾロゾロ見物が出て来るでしょう。みんな中途で引返すんでさあ。
 あっしゃ、昨日から気をつけて見ているんだが、無事に出口まで辿りついた客は一人もねえ。よっぽどおっかない仕掛けがあるんですぜ。中途で引返(ひきかえ)した人の話じゃ、中は八幡の藪知らずで、どこをどう歩いていいかさっぱり見当がつかない上に、全く思いもかけないところから、ヒョイヒョイとおっそろしい化物や幽霊が飛び出して来る。イヤ、化物ばかりならいいんだが、もっと気味の悪いものがあるって云いますよ。死人(しびと)ですよ。汽車に()かれて、手足がバラバラになって転がっているんだとか、胸を(えぐ)られて、(くう)を掴んで、口から血をタラタラと流して、今息を引取ろうとしているんだとか、怖いよりも胸が悪くなって、(とて)も見ちゃいられねえっていうんです」
 江戸っ子らしい老人は、ひどく話好きと見えて、聞きもしないのに、ベラベラと喋るのだ。
「で、お爺さんは中へ入って見ないんですか」
 小池助手がからかい顔に訊ねると、老人は顔の前で手を振って見せた。
「御免、御免、五貫も出して胸の悪い思いをするこたあねえからね。何なら、お前さん方御見物なすっちゃどうだね」
 すると、宗像博士は何を思ったのか、その言葉を引きとるように、
「どうだ、小池君、一つ入って見ようじゃないか」
 と、笑いもしないで云うのである。
「エ、先生お入りになるんですか」
 犯人の捜索はどこへ行ったのだ。それを捨てて置いて、子供みたいにお化けの見世物を見たがるなんて、先生はどうかしたんじゃないかしら。小池助手はあっけに取られて、博士の顔をまじまじと見つめた。
「少し思いついたことがあるんだよ。……マア、黙ってついて来たまえ」
 博士はそう云ったかと思うと、群衆を押し分けて、もう木戸口の方へ歩き出していた。

    宗像发现垃圾车的骗术是在八点三十分左右,警视厅的中村侦查股长事后赶到是在那以后又过了十分钟左右。
 
    中村警部从宗像博士那里听完详情以后,为了部署搜查又立即返回了警视厅,当然逮捕犯人的指令再一次传到了全市的警察署、派出所等地方。
 
    这次犯人和同案犯的模样也清楚了,而且有垃圾车这个大行李,所以发现是容易的。但他们逃走以后已经一个小时了,是两个像魔术师一样神速的家伙,所以决不会直到现在还是原来那副清洁工的装束,拉着垃圾车慢吞吞地走在大街上。大概一定是把累赘的垃圾车丢到了什么地方,然后改变模样,拐走妙子,销声匿迹了。若是那样,好不容易下达的紧急指令也错过时机了,大概至多只能发现空空如也的垃圾车什么的。
 
    果然,半个小时以后,为安慰主人而留在川手公馆的宗像博士接到了警视厅中村股长打来的电话,通知他说垃圾车已被发现。
 
 
 
 
    听说场所是在离呼公馆不到三百米的树林里。啊,多狡猾呀!贼刚离开川手公馆就丢了车子。那么妙子呢?决不会是丢在树林中吧。究竟运到什么地方去了呢?
 
    博士和小油助手决定先去现场看看。
 
    无需叫车子了,沿着告诉的道路奔跑似地拐过两三个弯,那里就已经是神社的树林了。那一带虽说是在麻布区内,但使人感到像是偏僻地方,难以设想是在城市中。附近也有宽阔的空地,是孩子们的娱乐场所。
 
    走进神社的树林一看,听说垃圾车已经被运到警察署,原来放车的地方立着一极作标志的小桩,旁边站着穿制服的年轻警官。
 
    博士掏出名片,跟警官说:
 
    “我是从警视厅的中村警部那儿听到这情况后赶来的。中村君说他也马上来这儿。”
 
    “啊,是吗?久闻大名。听说您也在侦查这次的案件,是吗?”
 
    年轻的警官眯缝着眼睛看着这位有名的民间侦探的脸,恭恭敬敬地说道。
 
    “那么除了垃圾车以外还有其它什么发现吗?”
 
    “刚才把树林里搜查了一遍,但毫无线索。正如您看到的,这是石子路,脚印看不出来,听说可能把被害者藏到了什么地方,但也看不到那种迹象。院落很小,要是挖了上什么的,马上就会知道的。神殿里和地板下也都检查了,也没有什么特别重要的发现。”
 
    “是您一个人检查的吗?”
 
    “不,是署里的五个人分头检查的。”
 
    “啊,谢谢。我在这附近稍蹈跳一下,中村君来了,请您转告他。”
 
    博士向警官行了一个礼,随后和小油助手一起走出神社,漫无目标地蹈跳起来。
 
    “哎呀,小池君,”那儿好像在演杂耍呀。”
 
    走了一会儿,博士发觉以后回头看了一下助手,说道。
 
    “嗯,好像是的,还竖着旗帜呢。啊,写着‘妖魔鬼怪大会’。大概是那‘凶宅’的杂耍吗?”
 
    “哦,演出这种怪东西呀?去看看吧。‘凶宅’什么的,好久看不到啦,东京也演这种杂耍吗?”
 
    “最近相当流行。从前好像叫‘凶宅’啦、‘迷宫’什么的,可最近听说改称为‘妖魔鬼怪大会’,想了好多新办法。”
 
    边说边走之中,两人已经来到搭着大帐篷的戏棚前。
 
    戏棚前面是纸糊的假山石和一片竹林,从那中间露出了棋盘格纹结构的小佛堂等。好气派的装饰!上部排着一溜儿浓艳刺目的广告画,上面画着所有的妖魔鬼怪,样子十分可怕,似乎就要扑过来似的。
 
    前面围着黑压压的一大群人。在那人群的头上面,可以看到登在高台上的看门年轻人胸以上的部位。年轻人嘴边贴着话筒,声嘶力竭地拼命嚷着一些揽客的言词。
 
    渐渐靠近一看,只见入口处贴着一张很大的字条儿,上面用蹩脚的字体乱七八糟地写着几行字:
 
    大悬赏
 
    本妖魔鬼怪大会向自入口处至出口处通过会场的客人除归还入场费以外,另赠送赏金壹千元。
 
    “哎呀,这杂耍真奇怪。要是收一百元的入场费付一千元的赏金,举办人就得尽亏损吧。”
 
    博士不由得自言自语道,于是人群中一位老人听到这话后搭话说:
 
    “不是那么回事,老板全赚啦!你瞧,从入口处那样成群地走出许多观众来吧,都是中途返回的。我从昨天起就注意观察了,平安地到达出口的观众一个也没有。有相当可怕的招数吧!听中途返回的人说,里面是迷宫,简直弄不清自己在什么地方,而且会从根本想不到的地方纵身跳出可怕的妖俊和幽灵来。不,光是妖怪倒还好,听说还有更叫人毛骨悚然的东西,是死人呀,听说有的被火车轧了,手脚七零八落地倒在地上;有的被剜了心,从嘴里直滴着鲜血,眼看就要断气了。那样子可怕极了,更叫人恶心,怎么也看不下去。”
 
    像是东京人的老人看来很爱说话,也没有问他,可他滔滔不绝地说个没完。
 
    “那么,大叔你不进去看看吗?”
 
    小油助手一逗,老人立即在他脸前摇了摇手:
 
    “不干,不干,哪有出一百元钱去买恶心的呢!要是不怕的话,你们去游览一下怎么样?”
 
    于是,宗像博士或许是想到了什么,接过这话板着脸说:
 
    “怎么样,小池君,进去看看吧?”
 
    “啊?先生您要进去吗?”
 
    搜索犯人的事忘了吗?怎么丢下这件事像孩子一样想去看妖怪的杂耍儿,先生不是有点儿不大正常吧?小油助手目瞪口呆地凝视着博士的脸。
 
    “是想到了一些事呀……哎,你别做声,跟我来!”
 
    博士说罢便分开了人群,朝入口处走去。
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