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怪指纹:活埋

时间: 2021-08-15    进入日语论坛
核心提示:生体埋葬 それから十分程のち、川手氏はもうわめくことをやめて、又節穴を喰い入るように覗き込んでいた。 その間に板壁の向側
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生体埋葬


 それから十分程のち、川手氏はもうわめくことをやめて、又節穴を喰い入るように覗き込んでいた。
 その間に板壁の向側で何事が行われたかは、ここに細叙することを差控えなければならぬ。川手庄兵衛なる人物は、それ程残虐であり、夫婦のものの最期は、それ程物恐ろしかったのである。
 いま、節穴の向うには、最早や動くものとては何もなかった。二人の男女は、後手に縛られたまま、グッタリとうつぶせに倒れていた。青畳の上には、池のように真赤なものが流れていた。苦悶と絶叫のあとに、ただ死の静寂があった。丸火屋の台ランプが、風もないのに、さまよう魂魄(こんぱく)を暗示するかの如く、ジジジジと音を立てて、異様に明滅していた。
 暫くすると、一方の(ふすま)が慌しく明けられて、二十五六歳程の召使らしい女が、胸に嬰児(えいじ)を抱きしめ、四五歳の男の子の手を引いて、息せき切って駈け込んで来た。賊に縛られていた繩を、やっと解いて、主人夫婦の安否を確めに来たものに違いない。赤ん坊を抱いているのを見ると、乳母(うば)ででもあろうか。手を引かれている男の子は、アア、これは何としたことだ。川手氏をこの地下室へ導いた、あの不思議な幼児であった。
 乳母らしい女は、一目、座敷の様子を見ると、あまりの恐ろしさに、サッと顔色を変えて立ちすくんだが、やがて気を取り直すと、倒れている二人の側に駈け寄って、涙声を振りしぼった。
「旦那様、奥様、しっかりなすって下さいまし。旦那様、旦那様」
 こわごわ肩に手をかけて、揺り動かすと、主人の山本は、まだことぎれていなかったと見えて、機械仕掛の人形のような、異様な動き方で、ゆっくりと顔を上げた。オオ、その顔! 目は血走り、頬はこけ、紙のような不気味な白さの中に、半ば開いた唇と舌とが、紫色に変っている。しかも、その額から頬にかけてベットリと赤いものが。
「オオ、ば、ばあやか……」
 死人のような唇から、やっとかすれた声が漏れた。
「エエ、わたくしでございます。旦那様、しっかりなすって下さいまし。お水を持って参りましょうか。お水を……」
 乳母は狂気のように、瀕死者(ひんししゃ)の耳もとに口をあてて叫けぶのだ。
「ぼ、ぼうや、ぼうやを、ここへ……」
 血走った目が、座敷の隅におびえている男の子に注がれる。
「坊ちゃまでございますか、サ、坊ちゃま、お父さまがお呼びでございますよ。早く、早くここへ」
 乳母は幼児の手を取るようにして、瀕死の父の膝の前に坐らせ、自分は甲斐甲斐(かいがい)しく、主人のうしろに廻って、繩を解くのであった。
 やっと自由になった山本の右手が、おぼつかなく幼児の肩にかかって、我が子を膝の上に抱き寄せた。
「ぼうや、か、かたきを、討ってくれ。……お父さんを、ころしたのは、かわて、しょうべえだ。……か、かわて、かわてだぞ。……ぼうや、かたきを、とってくれ。……あいつの、一家を、ねだやしにするのだ。……わ、わかったか。わかったか。……ばあや、たのんだぞ。……」
 そして、ギリギリと歯噛みをして、すすり泣いたかと思うと、幼児の肩をつかんだ指が、もがくように痙攣(けいれん)して、ガックリと、そのままうっぷして、山本は遂に息が絶えてしまった。
 ワーッと泣き伏す乳母、火のつくような赤ん坊の泣声、今まで余りの驚きに、泣く力さえなくおびえ切っていた男の子も、俄かに声を立てて泣き入った。
 目もあてられぬ惨状だ。川手氏は又しても節穴から顔を放して、貰い泣きの涙を拭わなければならなかった。
 暫くすると、乳母はやっと気を取り直して、男の子を我が前に引寄せ、決然とした様子で言い聞かせた。
「坊ちゃま。今、お父さまのおっしゃったこと、よくお分りになりまして。坊ちゃまは、まだ小さいから、お分りにならないかも知れませんが、お父さまやお母さまを、こんなむごたらしい目にあわせた奴は、元お店に使われていた川手庄兵衛でございますよ。よございますか。坊ちゃまは、お父さまの遺言を守って、仇討(かたきう)ちをなさらなければなりません。あいつの一家を根絶やしにしてやるのです。
 あいつには坊ちゃまよりは少し大きい男の子があるっていうことを聞いております。坊ちゃまは、その子供も決して見逃してはなりませんよ。そいつを、お父さまと同じような目にあわせてやるのです。いいえ、もっともっとひどい目にあわせてやるのです。そうしなければ、お父さまお母さまの魂は決して浮かばれないのです。お分りになりましたか」
 乳母の恨みに燃えるまなざしが、まだ物心もつかぬ幼児の顔を、喰い入るように睨みつけた。すると、男の子は、その刹那(せつな)亡き父親の魂がのり移りでもしたように、幼い目をいからせ、拳を握って、廻らぬ舌で甲高く答えるのであった。
「坊や、そいつ、斬っちゃう。お父ちゃま、みたいに、斬っちゃう」
 それを聞くと、節穴の川手氏は慄然として三度顔を(そむ)けた。アア、何という怨恨(えんこん)、何という執念であろう。無残の最後をとげた父母の魂は、今この幼児の心の中に移り住んだのである。でなくて、幼い子供が、あの様な恐しい目をする筈がない。あのような気違いめいた表情をする筈がない。アア、恐ろしいことだ。
 再び節穴に目を当てると、いつの間にか、台ランプが消えたらしく、そこは墨を流したような闇に変っていた。人声も途絶え、物の動く気配とても感じられなかった。
 だが、あれは何だろう。闇の中に直径一丈程の丸いものが、巨大な月のように、ぼんやりと白んでいた。そして、見る見るそれがはっきりと輝いて行く。
 節穴から目を放していた僅かの間に、正面に白い幕のようなものが垂れ下ったらしく感じられた。その幕の表面に、一丈の月輪(げつりん)が輝いているのだ。
 初めは、その月の中の兎のように見えていた薄黒いものが、光の度を増すにつれて、もつれ合う無数の蛇に変って行った。オオ、そこにはあの無数の蛇が(うごめ)いているのだ。蛇ではない、千倍万倍に拡大されたあの指紋が、……お化のような、あの三重渦状紋が。
「オイ、川手庄太郎、貴様の父親の旧悪を思い知ったか。そして俺の復讐の意味が分ったか」
 どこからともなく、不気味な声が、まるで内しょ話のような囁き声が聞えて来た。
「俺は今、貴様の見た山本の息子、(はじめ)というものだ。貴様の一家を根絶やしにする事を、一生の事業として生きている山本始というものだ」
 声はどこから響いて来るのか見当がつかなかった。前からのようでもあり、うしろからのようでもあり、しかし、その低い囁き声が、地下室全体に轟き渡って、まるで雷鳴のように感じられるのだ、川手氏は全身から脂汗を流しながら、金縛りにでもあったように、身動きさえ出来ない感じであった。
「貴様の父川手庄兵衛は、乳母の訴えによって、間もなく逮捕され、牢獄につながれる身となった。無論死刑だ。しかし、俺の両親の恨みはそんな手ぬるい事で()れるものではない。目には目を、歯には歯をだ。ところが、庄兵衛はその死刑さえ待たないで、牢獄の中で安らかに病死をしてしまった。アア、父母の恨み、俺の恨みは、一体どこへ持って行けばよいのだ。
 俺はその当時、まだ幼かったので、乳母の訴えることを止めて、自分からこの手で復讐するという分別も力もなかった。あとで病死と聞いたときには、俺は泣いてお(かみ)を恨んだが、もうあとの祭だ。そこで俺は、父親の代りに貴様を相手にする事に決めた。子は父の為めに罪を負わなければならないのだ。これが復讐の神の(おきて)だ。
 俺はその準備の為めに、四十年の年月を費した。はやる心を押え押えて、機の熟するのを待った。目には目を、歯には歯をだ。ただ貴様を殺すのはたやすい。しかし、それだけでは父母の魂が浮ばれぬ。貴様にも、父母と同じ苦しみ悲しみを与えなくてはならぬのだ。
 そこで、俺は我慢に我慢を重ねて貴様の立身出世するのを待った。子供を生み、その子が立派に育つのを待った。そして貴様の出世が絶頂に達した今、俺の毒矢は遂に(つる)を離れたのだ。第一()は妹娘を(たお)した。第二矢は姉娘を斃した。そして、第三矢は今、この瞬間、貴様の心臓を射抜こうとしているのだ」
 川手氏は父の牢死を知っていた。知って()し隠しに隠していた。しかし何の罪によって入牢(じゅろう)したかは、誰も教えてくれなかった。無論これ程の大罪とは知る由もなかったのだ。彼は貧苦と艱難(かんなん)の幼時を女親の手一つに育てられ、努力奮闘、遂に立志伝中(りっしでんちゅう)の人となって現在の地盤を築いたのだが、母はいまわの際まで、我子に父の恐ろしい秘密を語らなかった。何とやら()に落ちぬことが多くて、屡々(しばしば)不審を抱くこともあったが、しかし父がそれ程の極悪非道を行っていようとは夢にも知らなかった。
「川手、何をぼんやり考えているのだ。恐ろしさに気が遠くなったのか、それとも何か腑に落ちぬことでもあるというのか」
 囁き声がもどかしげに聞えて来た。
「腑に落ちぬ」
 川手氏は猛然として、大勇猛心を奮い起し、いきなり怒鳴り返した。
「俺は父の罪を知らぬのだ。今聞くのが初めてだ。証拠を見せろ。俺は信じることが出来ない」
「ハハハハ、証拠か。それは、この俺が、山本始が、四十年を費して貴様に復讐を企てたことが何よりの証拠ではないか。ちっとやそっとの恨みで、人間がこれ程の辛苦に堪えられると思うのか」
「今のは、お芝居をして見せたのだな」
「そうだ。貴様に十分思い知らせる為に、多額の費用を使って地底演劇をやって見せたのだ。あの無残極まる貴様の親父の所業を()のあたり見せたら、いくらぼんやり者の貴様にでも、俺のやり場のない無念さを、悟らせることが出来るだろうと考えたからだ。口で話した位で、あの残虐が分るものではない。
 俺は子供心にも、あの父の断末魔の苦しみと、血の海にもがき廻った両親の苦悶のさまが、目の底に焼きついて、数十年後の今も、昨日のことのようにまざまざと思い出されるのだ。貴様の親父が牢死した位のことで、この恨みが、この悲しみが、消えてしまうと思うのか。俺の父は川手の一家を悉く亡ぼさなくては浮ばれないと遺言した。俺はその遺言を果したいばかりに、今日の日まで生き永らえて来たのだ。俺の生涯は父と母との復讐の為に捧げられたのだ。
 川手、俺の父と母と、俺自身との怨恨がどれ程のものであったかを、今こそ思い知るがいい。俺は貴様一家を皆殺しにするまでは、死んでも死に切れないのだ」
「だが、若し俺が貴様の復讐に応じないといったら、どうするのだ」
「逃げるのか」
「逃げるのではない。立ち去るのだ。俺にはここを立ち去る自由がある」
「ハハハハハ、オイ、川手、それじゃ一つ君のうしろを振返って見たまえ」
 川手氏はそれまで、節穴の向うの巨大な指紋を睨みつけて物を云っていたが、この時初めて、どうやら敵はうしろにいるらしい事に気附いた。そして、ハッと振向くと、淡い蝋燭の光に照らされて、そこに、一間とは隔たぬ目の前に、いつの間に忍び込んだのか、二人の男が立ちはだかっているのを発見して、ギョッと息を呑んだ。
 オオ、あいつらだ。犯罪の行われる毎に姿を現わしたあの二人だ。一人は一方の目に大きな眼帯を当てた、無精鬚(ぶしょうひげ)の大男、一人は黒眼鏡をかけた、痩せっぽちの小男だ。その二人が、小型ピストルを構えて、じっと川手氏に狙いを定めているのだ。
「ハハハハハ、これでも逃げられるというのか。身動きでもして見ろ、貴様の心臓に穴があくぞ」
 大男の方が、今度はハッキリした声で、さも愉快らしく怒鳴った。
 川手氏は、あくまで用意周到な相手に、最早や観念の眼を閉じる外はなかった。
「で、君達は俺をどうしようっていうのだ」
 すると、大男は左手を上げて、静かに地下室の隅を指さした。オオ、そこには、あの薄気味悪い棺桶が、(ぬし)待ち顔に置かれてあるのだ。
「君はこの中へ入るのさ。ちゃんと君の名が書いてあるじゃないか。川手、君はこれまでに、生きながらの埋葬という事を想像して見たことがあるかね。ハハハハハ、ないと見えるね。それじゃ一つ味わって見るがいい。君はこの(かん)の中に入って、生きながら土の底深く埋められるのだ」
 云い放って、二人の男はお互に顔見合せ、さもおかしくて堪まらぬというように、腹を抱えて、ゲラゲラと笑い出すのであった。
 川手氏は立っている力もない程の烈しい恐怖に襲われた。身体中の血液がスーッと引潮のように消えて行って、異様な寒さに、歯の根がガチガチ鳴り始めた。
「だ、誰か、誰か来てくれエ!」
 土気色の顔、紫色の唇から、気違いのような絶叫がほとばしった。
「ハハハ……、駄目だ、駄目だ。君がいくら大きな声を出したって、ここは山の中の一軒家だぜ。鳥や獣物(けだもの)がびっくりして逃げ出すくらいのものだ。アア、君は(じい)や夫婦が、その声を聞きつけて、助けに来てくれると思っているんだね。フフフ……。
 ところがね、川手君、それは飛んだ当て違いというものだぜ。もうこうなったら、何もかも云ってしまうが、あの婆やというのは、外でもない、今君が見た山本家の乳母だった女なのさ。つまり俺の味方なのだ。爺やの方も、夫婦であって見れば、まさか女房を裏切って、俺の邪魔立てをする筈もなかろうじゃないか。
 ハハハ……、君は不思議そうな顔をしているね。あの爺や夫婦が俺の手下だとすると、そんなところへ、宗像先生が君を連れて来たのは、変だとでもいうのかね。ハハハ……、何も変な事はないさ。宗像大先生は、この俺のためにマンマと一杯食わされたという訳だよ。俺がちゃんとお膳立てして置いたところへ、先生の方で飛び込んで来たのさ。あの三角髯の先生、見かけ倒しのボンクラ探偵だぜ。そんな探偵さんの云うままになった君の不運と(あきら)めるがいい」
 眼帯の大男山本始は、得意らしく種明かしをして、さも面白そうに笑うのだが、川手氏は、その言葉さえ殆んど耳に入らなかった。ただ、あの真暗な「死」が、目の前にチラチラして、恐怖の余り魂も身に添わず、無駄とは分っていても、何かしら訳の分らぬ事を絶叫しないではいられなかった。
「ハハハ……、オイ川手、貴様も実業界では一廉(ひとかど)の人物じゃないか。みっともない、その(ざま)は何だ。オイ黙らんか。黙れというのだ。……まだ泣いているな。往生際(おうじょうぎわ)の悪い奴だ。……よし、それじゃ俺が黙らしてやろう」
 云いながら、大男はいつの間にか川手氏のうしろに廻って、一方の手でギュッと(のど)をしめつけ、一方の手で口を蓋してしまった。川手氏は何の抵抗力もなく、まるで人形のように、されるがままになっている。
 それと見ると、黒眼鏡の小男は、どこからか長い細引(ほそびき)を取出して、素早く川手氏の足元に走り寄り、いきなり足の先からグルグルと巻きつけ始めた。
 足から腰、腰から両手と、見る見る内に、川手氏は無残な荷物のように、身動きも出来ず縛り上げられてしまった。
「よし、お前、足の方を持つんだ。そして、棺の中へ納めてしまおう」
 大男の指図に、小男は無言で川手氏の膝の辺に両手を廻し、力まかせに抱き上げた。
 そうして宙を運ばれながら、生きた心地もない焦慮(しょうりょ)の中で、川手氏は不思議にはっきりと、ある異様な事柄を気附いていた。
 というのは、黒眼鏡の小男が、どうも本当の男性ではないという事であった。膝に巻きついたネットリとしなやかな腕の感触、時々触れ合う胸の辺の肌触り、それに、小刻みな柔かい息遣いなどが、女としか思われないことであった。
 だが、それは、慌しい心の隙間に、一瞬チラッと閃いたばかりで、やがて例の不気味な寝棺の中にドサッと(ほう)り込まれてしまうと、もうそんなことを考えつづけている余裕などある筈もなかった。
「川手、俺はとうとう目的を達したんだ。俺がどんなに嬉しがっているか、君に想像がつくかね。四十年の恨みを、俺の父と母とのあの血みどろの妄執(もうしゅう)を、今こそはらすことが出来たのだ。
 お父さん、お母さん、これを見て下さい。あなた方の(かたき)は、今生きながら棺桶の中へとじこめられようとしているのです。あなた方のあの残酷な御最期にくらべては、これでもまだ足らないかも知れません。しかし、僕は智恵と力の限りを尽したのです。
 一思いに殺すなんて、まるで相手を許してやるのも同然です。と云って、耳を()ぎ鼻を削ぐ一寸だめし五分だめしも、その苦しみの時間は知れたものです。それよりも、何が恐ろしいと云って、生きながらの埋葬ほど恐ろしいものはないと思います。無論、それ程の苦しみを与えても、お父さん、お母さん、あの時のあなた方のお苦しみには、やっと匹敵するかしないかです。でも、僕の智恵では、その上の思案も浮びません。どうかこれで思いをおはらし下さい。
 ところで、川手、この生きながらの埋葬というものの恐ろしさが、君には想像が出来るかね。真暗な土の中へ入ってしまうのだ。そこで、一日も二日も三日も、空気の不足と餓えと渇きとに責められて生きていなければならないのだ。
 いくら藻掻(もが)いたところで棺桶の蓋は()きやしない。君の指の生爪がはがれて、血まみれになるばかりだ。フフフ……、君はその血をさえ、餓鬼のように(むさぼ)(すす)ることだろうて。
 藻掻きに藻掻いて、やっと息が絶えると、待ち構えていた蛆虫(うじむし)が、君の身体中を這い廻って、肉や臓腑を、ムチムチと(くら)い始めるのだ。……」
 川手氏は棺桶の中に身動きも出来ず横わったまま、この無残な宣告を聞いていた。イヤ一語一語を聞き取る程の余裕はなかったけれど、聞かなくても、生埋めの恐ろしさは、彼自身の想像力によって、魂も消えるばかり、ひしひしと思いあたっていた。
 口が自由になっても、もう叫び声さえ出なかった。ただ、自分では何か大声に叫んでいる積りで、血の気の失せた唇を、(こい)のようにパクパク動かしているばかりであった。
「では、もう蓋をしめるぜ、観念するがいい。だが、その前に一言(いちごん)云って聞かせて置くことがある。……それはね、こんな目に会うのは、君が最後ではないということだよ。フフフ……、分らんかね。君は知るまいが、君には一人の妹があるんだ。君の父親があの泥棒をした金で、数ヶ月の間贅沢(ぜいたく)な暮らしをしていた頃、ある女の腹に出来た子供があるんだ。
 俺は川手の血筋は一人残らず、この世から絶やしてしまうという誓いを立てた。だから、どっかに庄兵衛の血筋が残ってやしないかと、どれ程苦心をして探し廻ったか知れない。そして、君さえ知らぬその妹を見つけ出したのだ。
 そいつも、今に君のあとを追って、地獄へ行くことだろう。地獄で目出度(めでた)く兄妹の対面をするがいい。イヤ、地獄といやあ、君の二人の娘も、そこで君を待っているはずだったね。ハハハハ……、久しぶりで、親子の対面も出来るというものだぜ。
 それからね、(ついで)にもう一つ云い聞かせて置くが、ここにいる黒眼鏡の男は、実は男じゃない。女だよ。エ、誰だと思うね。君がさい前覗き穴から見た女だぜ。と云っても、あの頃はまだ乳母に抱かれた赤ん坊だったが、あの赤ん坊がこんなに大きくなったのさ。そして、兄の手助けをして、一生を復讐の為に捧げて来たのさ。
 君の二人の娘も、決して俺一人の手では料理しなかった。この妹にも存分恨みをはらさせたのだ。オイ、お前も今わの際に、こいつに顔を見せてやれ。あのときの赤ん坊が、両親(ふたおや)の断末魔の血を啜って、どんな女に生長(せいちょう)したか、よく顔を拝ませてやれ」
 山本始の指図に従って、男装の女は川手氏の上に顔を近よせ、大きな黒眼鏡を取って見せた。
 川手氏は、蝋燭の光の陰に、眼界一杯にひろがった中年の女の顔を見た。気違いのように上ずった、二つの恐ろしい目を見た。
 女はじっと川手氏の顔を睨みつけて、キリキリと歯噛みをした。そして、いきなり川手氏の顔に(つば)を吐きかけた。
「ホホ……、泣いているわ。顔の色ったらありゃしない。兄さん、あたしこれで胸がせいせいしたわ。サ、早く蓋をして、釘を打ちつけましょうよ」
 妹は兄に輪をかけた狂人であった。この無残な言葉を、まるで日常茶飯事のように、子供の無邪気さで云い放った。亡き山本夫妻の怨霊のさせる業か、この復讐鬼兄妹は、揃いも揃って、精神的不具者としか考えられなかった。その所業の残忍、その計画の奇矯(ききょう)、到底常人の想像し得る所ではなかった。
 やがて、鬼気漂う地底の(あなぐら)に、一打ち毎に人の心を凍らせるような金槌(かなづち)の音が響き渡った。その金槌の音につれて、赤茶けた蝋燭の火が明滅し、ニヤニヤと不気味に笑う男女二匹の鬼の顔が、闇の中に消えたり浮上ったりした。
 釘を打ち終ると、二人は棺桶を吊って窖の外に出た。真暗な廊下を幾曲りして、雨戸を開き、そのまま庭の木立の中へ入って行く。
 大樹の茂みに囲まれた闇の空地、昨日川手氏が自分自身の墓石を見たあの同じ場所に、何時(いつ)の間に誰が掘ったのか、深い墓穴が地獄への口を開いていた。
 二人は小さな蝋燭の光をたよりに、棺桶をその穴の底に落し入れると、その辺に投げ捨ててあった(くわ)とシャベルを取って、棺の上に土をかけた。そして、穴を埋め終ると、その柔かい土の上で、足を揃えて地均(じなら)しを始めた。
 足拍子も面白く、やがて、男女二いろの物狂わしい笑い声さえ加わって、地上に立てたほの暗い蝋燭の光の中に、二つの影法師は、まるで楽しい舞踏ででもあるように、いつまでもいつまでも、地均しの踊りを踊り続けるのであった。

    十多分钟以后,川手不再喊叫,又目不转睛地张望着节孔。
 
    那板墙的对面进行了什么事,这里就不细叙了。康庄兵卫此人是那样凶残,夫妇俩死得又是那样凄惨。
 
    现在,节孔对面已经没有一个动着的东西了。男女俩人睑朝下倒在地板上,双手依然反绑着。新草席上像他于一样淌着鲜红的东西。在痛苦地喊叫以后,只有死一般的寂静。一丝风也没有,但罩着圆灯罩的煤油灯却像暗示那到处徘徊的鬼魂似的,吱吱地发着声音,奇怪地忽亮忽灭着。
 
    过了一会儿,一侧的门被急匆匆地打开了,一个二十五六岁女佣模样的女人胸前抱着一个婴儿,拉着一个四五岁的男孩的手,气喘吁吁地跑了进来。她一定是好不容易解开被强盗绑住的绳子,前来弄清东家夫妇是否平安的。从她抱着婴儿来看,大概是保姆吧。啊,这是怎么回事呢?被拉着手的男孩就是把川手领到这地下室来的那个不可思议的小孩。
 
    保姆模样的女子看了一眼屋子里的情形就吓得刷地变了脸色,呆立不动了,过了一会儿才重振精神跑到倒着的两人旁边,扯着嗓子喊起来:
 
    “老爷,太太,挺起来!老爷、太太……”
 
    她提心吊胆地把手放到肩上一摇,东家山本好像还没有断气,像一个有机器装置的偶人似地慢慢抬起了头。啊,那张脸!眼睛红红的,面容憔悴,在令人毛骨悚然的纸一样的白色中,半张着的嘴唇和舌头变成了紫色。
 
    “懊,是保姆吗……”
 
    从死一般的嘴唇里好容易发出嘶哑的声音。
 
    “是的,是我。老爷,您要挺住啊?我替您拿水来吧。拿水…-”
 
    保姆发了疯似地把嘴贴在濒于死亡的人的耳畔,喊道。
 
    “把宝、宝宝、宝宝带到这儿……”
 
    发红的眼睛注视着躲缩在房间角落里的男孩。
 
    “把少爷也带来吗?来,少爷,你爸爸在叫你呢。快,快到这儿来!”
 
    保姆把着幼儿的手让他坐在快要死的父亲的股前,自己手脚麻利地绕到东家的后面解着绳子。
 
    好容易自由的山本右手晃晃悠悠地摘到幼儿的肩上,把自己的孩子抱到大腿上。
 
    “宝宝,你要替我报、报仇……杀死爸爸的是川手庄兵卫……是从川手、川手……宝宝,替我报仇…——要把那家伙的一家连根除掉……懂、懂了吗……,宝宝托给你了……
 
    “说着刚嘎吱嘎吱地咬着牙抽泣了几声,谁知抓着幼儿肩膀的手指便挣扎似地痉挛起来,随即就那样趴在铺席上了。山本终于断气了。
 
 
 
 
    哇地一声俯身痛哭的保姆。发狂地嚎哭的婴儿的哭声。刚才由于过分惊慌而连哭的力气都没有、害怕到了极点的男孩也突然放声哭了起来。
 
    一副目不忍睹的惨状卜;川手又不得不让脸离开节孔,搭去同情的眼泪。
 
    再次将眼睛贴在节孔一看,不知什么时候煤油灯好像已经熄灭,那里漆黑一片。听不见人声,感觉不到有什么动静。
 
    可那是什么呢?在黑暗中一个直径一丈左右的圆圆的东西像巨大的月亮似的模模糊糊地发着亮光,而且眼看着清晰地闪烁起来。
 
    就在他眼睛离开节孔的一忽儿时间里,正面像是垂下了白幕一般的东西。在那幕的表面,直径一丈的一轮明月闪着光芒。
 
    起初看去像是那月亮中的兔子的发黑的东西随着光度的增加,渐渐变成了缠绕在一起的无数条蛇。啊,那里有无数条蛇在蠕动。不,不是蛇,是放大成千万倍的指纹…——哪像妖怪一样的三重涡状纹在蠕动!
 
    “喂,川手庄太郎,你知道你父亲过去干的坏事了吧?明白我复仇的意思了吧?”
 
    不知道从哪里传来了令人毛骨悚然的喃喃细语的声音。
 
    “我就是你看到的山本的儿子阿始,是把铲除你一家作为毕生事业而活着的山本始!”
 
    弄不清声音是从哪儿传来的,像是从前面,又像是从后面,但整个地下室都响着这喃喃细语声,犹如雷鸣一般。川手浑身流着虚汗,像是被紧紧地绑着似的不能动弹了。
 
    “你的父亲川手庄兵卫根据保姆的告发不久就被捕坐牢了,当然是死刑,但我父母的仇不是这样宽大的处罚所能报得了的。以限还眼,以牙还牙嘛!可是,庄兵卫没有等到死刑就在监狱中安祥地病死了。啊,父母的仇、我的仇究竟要等到什么时候才能报呢?!当时我还年幼,既没有思考力也没有力量劝阻保姆起诉,自己亲自报仇。后来听到川手病死时我哭了,很死了官府,但已经错过时机了。于是我决定用你来代替你父亲。儿子必须为父亲担罪,这是复仇之神的戒律。为了准备这行动,我花费了四十年的岁月。抑住急切的心情,等待时机成熟。以眼还眼,以牙还牙,只杀死你,那是太简单了,但这样的话父母就死不瞑目了,必须让你也遭受与我父母同样的痛苦和悲伤!于是我忍耐又忍耐,等待你出人头地,等待你生孩子,这孩子又成长成为出色的人。就在你飞黄腾达到了顶点的今天,我的毒箭终于离弦了。第一箭射倒了你的小女儿,第二箭射倒了你的大女儿,而且这第三箭即将在一瞬间射穿你的心脏。”
 
 
 
 
    川手知道父亲死在牢里,他一直秘而不宣。但谁也没有告诉他父亲是由于什么罪而坐牢的,当然他无法知道父亲犯的罪是如此大罪。在他贫苦和艰难的幼时是靠母亲一个人抚育的,他努力奋斗,终于成了一个白手起家的人,建立起了现在这块地盘儿,但母亲直到临终都没有跟他说父亲这可怕的秘密。虽然有的地方总使人难以理解,有时也有一些疑问,但他做梦也没有想到父亲会干这等穷凶极恶的事。
 
    “川手,你在呆呆地想什么?是吓得发昏了呢,还是有什么不懂的事?”
 
    又慢腾腾地传来了啼啼细语声。
 
    “不懂!川手猛然间鼓起勇气,突然嚷道,“我不知道我父亲的罪,现在第一次听说,拿出证据来!我不能相信。”
 
    “哈哈哈哈,证据吗?我这个山本始花了四十年计划对你进行报复,这不是最好的证据吗?你以为一个人因为一星半点的仇恨就能经受这般心酸吗?!”
 
    “刚才你是在做戏给我看吧?”
 
    “是的,为了让你充分知道,我花了一大笔钱演了这场地底的戏给你看,因为我想要是在眼前给你看了你父亲极其残忍的行径,即使你这个糊涂蛋也能明白我那无处发泄的仇恨吧。靠嘴里说说是不明白那残忍的。虽然当时我还幼小,但我父亲那临终的苦痛和父母在血海中来回挣扎折腾的情景还印在眼底,在几十年以后的今天仍记忆犹新,就好像是昨天的事一样。哪能因为你父亲死在牢里,这仇恨、这悲伤就况灭了?!我的父亲留下遗言说:若不把川手的一家连根除掉就死不瞑目。正因为我想实现这遗言,所以活到了今天。我把一生献给了为父母报仇的事业。川手,你现在应该知道我父母和我的冤仇是多么深呀。我在杀绝你一家之前是死木瞑目的!”
 
    “如果我说我不答应你的报复呢?”
 
    “想逃吗?”
 
    “不是逃,是离开。我有离开这儿的自由。”
 
    “哈哈哈哈哈,喂,川手,那你回过头去看看!”
 
    川手在这以前一直瞪着节孔对面的巨大指纹说话,这时才察觉敌人好像在背后。他猛地回过头去,发现在微弱的蜡烛光下,不知是什么时候溜进来的两个男子叉着双腿站在不到两米远的眼前,不由得倒抽了一口冷气。
 
    啊,是那些家伙!是那两个每次作案时都露面的人。一个是一只眼睛上戴着眼罩的满脸胡子的大个子,另一个是戴着墨镜的瘦瘦的小个子。两个人都举着小型手枪,一动不动地瞄准着川手。
 
    “哈哈哈哈,这还能逃走吗?你动弹一下试试!保管你心脏穿个洞?”
 
    大个子这回用清晰的声音快乐地嚷道。
 
    面对着准备得如此周到的对手,川手只好听天由命地闭起了眼睛。
 
    “那么,你想把我怎么样?”
 
    于是大个子举起左手,慢慢地指了一下地下室的角落。啊,那里像是等着主人似地放着那口令人毛骨悚然的棺材!
 
    “你进这里面去!不是清清楚楚地写着你的名字吗?川手,你过去想象过活埋这事吗?哈哈哈哈哈,好像没有吧,那你就尝尝味道好了。你进到这棺材里面去,将活着被深埋在地底下。”
 
    说罢两人互相看了一眼,好像是可笑得不得了似地捧着肚子哈哈大笑起来。
 
    川手害怕得连站着的力气都没有了。浑身的血液像是退潮似地一下子消失了,由于一种奇怪的寒冷,牙根开始格格地响起来。
 
    “来、来人呀……”
 
    川手面如土色。从紫色的嘴唇里进出了发疯一般的叫喊声。
 
    “哈哈哈哈哈,没有用,没有用。不管你发出多大的声音,这里可是山中的独所房子,只是鸟和野兽会吓得逃走罢了。啊,你以为老夫妇听到那声音会来救你吧,呵呵呵呵……
 
    可是呀,川手君,那你完全估计错了。事到如今,我什么都跟你说吧,那老太太不是别人,正是你刚才看到的山本家的保姆,就是说,是我一伙的。那老头既然是夫妻俩,他也决不会出卖老伴,故意找我的麻烦吧。哈哈哈哈哈,看你一副惊奇的样子,像是要说假若那老夫妇是我手下的人,那么宗像先生把你带到这儿来就有点奇怪了,是吧?哈哈哈哈哈,没有什么可奇怪的。宗像大先生可是上了我的大当吵!正好我准备停当的时候,先生他自己来了。那个三角胡子的先生是个虚有其表的糊涂侦探。你听任这种侦探随意摆布,就自认晦气好了。”
 
 
 
 
    戴眼罩的彪形大汉山本始得意扬扬地亮出底来,高兴地笑了,但川手连他的话都没有听进去,只是那漆黑的“死”不时浮现在眼前,由于过分恐怖,他魂不附体,虽知道没有用,但还是禁不住地大声喊叫着一些莫名其妙的话。
 
    “哈哈哈哈哈,喂,川手,你不是实业界中相当了不起的人物吗?真丢人,你这成什么样子!喂,还不住嘴呀?你住嘴!还在哭呀。不死心的家伙……好吧,那我来让你住嘴吧。”
 
    大个子说着不知什么时候绕到了川手身后,用一只手紧紧卡住他的喉咙,用另一只手捂住了他的嘴。川手毫无抵抗力,像偶人似地任其摆布。
 
    一看到这些,戴墨镜的小个子不知从什么地方拿来了长长的细麻绳,迅速跑到川手跟前,突然开始从脚尖一圈圈地缠绕起来。
 
    “好,你抬脚,把他装进棺材吧。”
 
    在大个子的指使下,小个子默默地把双手绕到川手的大腿处,使尽全身力气把川手抱了起来。
 
    在这样被抬着吓得魂不附体的焦虑之中,川手不可思议地清晰地察觉到了一件奇怪的事。
 
    这就是戴墨镜的小个子好像不是真正的男人。绕在大腿上的柔软的手臂的触感、不时互相接触胸脯时的感觉以及细细的柔和的川手吸都只能认为她是个女人。
 
    但这想法只是在心间闪了一下,当不久被扑通一声扔进那令人毛骨悚然的卧棺中时,他当然已经没有余力继续考虑那种事情了。
 
    “那就盖上盖子了,你就认命了吧。不过在这以前有件事要说给你听……这就是,尝尝这种苦头的,你不是最后一个。呵呵呵呵呵,不明白吗?可能你不知道吧,你有一个妹妹,在你父亲用偷来的钱数月里过着穷奢极欲的生活时,一个女人的肚子里怀上了他的孩子。我发誓要把川手的后嗣一个不留地除掉,所以我不知道花了多少苦心来回寻找,看哪里还有留着庄兵卫的后嗣,最后终于发现了连你都不知道的妹妹。那家伙早晚也会跟着你去地狱的。你们兄妹在地狱团圆好了,不,说到地狱,你的两个女儿也应该在那里等你呐。哈哈哈哈哈,你们父女也能久别重逢。另外,顺便再给你说一件事,在这里的戴墨镜的男人其实不是男人,是女人。嗯,你以为是谁?是你刚才从节孔中看到的女人。不过当时还是一个保姆抱着的婴儿,现在已经长成这么大啦,而且为了帮助哥哥复仇贡献出了一生。你的两个女儿也决不是我一个人干掉的,也让这个妹妹尽情地雪了很。喂,你也在这家伙临终的时候给他看一下脸,让他好好看看当时的婴儿吮吸父母临终时的血长成了一个什么样的女人!”
 
    男装的女人听从山本始的指示,把脸凑到川手的上面,取下了大墨镜。
 
    川手背着蜡烛光看到了展现在自己整个视野里的中年女人的脸,看到了两只像疯子一般兴奋的可怕的眼睛。
 
    女人目不转睛地瞪着川手的脸。嘎吱嘎吱地咬着牙齿,并且猛然间朝川手的脸上吐了口唾沫。
 
    “呵呵呵呵,他在哭呀,再也没有比这脸色更难看的了!哥,我这下心里痛快了。来,快盖上盖,钉上钉子吧!”
 
    妹妹是个比哥哥还厉害的狂人,竟然像天真的孩子犹如家常便饭似地说出这种残酷无情的话。也许是无辜的山本夫妻的怨敢让他们练就的功夫吧,这对兄妹复仇狂都只能认为是精神病者。正因为是精神病患者,正因为是狂人,所以其所作所为之残忍、其计划之奇特是普通人所难以想象的。
 
    过了一会儿,在阴气逼人的地底的黑暗中响彻了锤子的声音,每钉一次仿佛都要叫人的心冻结一下似的。随着锤子声,发红的蜡烛火忽明忽暗,令人害怕地啼啼笑着的男女两张鬼脸在黑暗中时而消失时而浮现。
 
    一针完钉子两人就抬着棺材来到室外,沿着漆黑的走廊拐了几个弯,随后拉开木板套窗,径直走进院子的树丛里。
 
    在一块四面都是树丛黑暗的空地,即川手昨天看到自己的墓碑的那地方、不知是谁什么时候挖的,有一个深深的墓穴张大着通向地狱的口。
 
    两人靠小小的烛光将棺材一放入那穴底,立即拿起扔在那儿的镐和铁铲将上盖到棺材上,并且一理好坑就在松软的土上步调一致地开始平整地面。
 
    脚打的拍子也十分有趣,过了一会儿甚至添进了男女两种疯狂般的笑声。在地上昏暗的烛光里,两个人影像是跳欢乐的舞蹈似地久久地、久久地跳着平整地面的舞蹈。
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