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怪指纹:活着的蜡偶人

时间: 2021-08-15    进入日语论坛
核心提示:生ける蝋(ろう)人形 H製糖株式会社取締役川手庄太郎(しょうたろう)氏は、ここ一カ月ほど前から、差出人不明の脅迫状に悩まされ
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生ける(ろう)人形


 H製糖株式会社取締役川手庄太郎(しょうたろう)氏は、ここ一カ月ほど前から、差出人不明の脅迫状に悩まされていた。
拙者(せっしゃ)は貴殿に深き(うら)みを抱くものである。長の年月(としつき)を、拙者は、ただ貴殿への復讐準備の為に(ついや)して来た。今や準備は全く整った。愈々(いよいよ)恨みをはらす時が来たのだ。貴殿一家は間もなく(みなごろし)に会うであろう。一人ずつ、一人ずつ、次々と世にもいまわしき最期をとげるであろう」
 という意味の手紙が、毎日のように配達された。一通毎に筆蹟(ひっせき)が違っていた。ひどく下手な乱暴な書体であった。差出局の消印もその度毎に違っていたし、封筒も用紙も最もありふれた安物で、全く差出人の所在をつきとめる手掛りがなかった。
 脅迫は必ずしも手紙ばかりではなかった。ある時は電話口にえたいの知れぬ声が響いた。
「川手君、久しぶりだなア。僕の声が分るかね、ホホホホホホ。君には美しい娘さんが二人あるねえ。僕はね、()ず手初めに、その娘さんの方から片づけることに()めているんだよ。ホホホホホホ」
 非常に優しい鼻声であった。恐らく電話口で鼻を抑えて物を云っていたのであろう。彼は一言(しゃべ)る度に、ホホホホホホホと女のように笑ったが、その奇妙な笑い声が川手氏を心の底から(ふる)い上らせてしまった。
 無論(むろん)声には聞き覚えがなかった。局に問合せて見ると、自働電話からという答えで、やっぱり相手の正体を掴む手掛りがなかった。
 川手氏は今年四十七歳、無一文から現在の資産を築き上げた人物だけに、事業上の敵などは数知れずあったし、事業以外の関係でも、随分(ずいぶん)むごたらしい目に会わせた相手がないではなかった。だが、それらの記憶を一つ一つ辿って見ても、今度の脅迫者を探し当てることは出来なかった。
()しやあれでは?」
 と思われるものが一二ないではなかったけれど、それらの相手は皆死んでしまっているし、子孫とても残っていないことが分っていた。いくら考えても脅迫者の素性(すじょう)が分らぬだけに、一層不気味であった。前半生にいじめ抜いた相手が、怨霊(おんりょう)となって彼の身辺にさまよっているような、何とも云えぬ恐怖を感じないではいられなかった。
 川手氏は遂に(たま)らなくなって、このことを警視庁に訴え出た。だが警視庁では、所轄警察署へよく話して置くからというような返事をしたまま、一向取合ってくれないので、次には民間探偵を物色し、先ず明智小五郎の事務所へ使(つかい)を出したが、明智氏はある重大犯罪事件の(ため)に、朝鮮(ちょうせん)に出張中で、急に帰らないという返事であった。そこで、今度は明智探偵と並び称せられる宗像博士に犯人捜査を依頼したところ、博士の助手の木島という若い探偵が訪ねて来て、一伍一什(いちぶしじゅう)を聞き取った上、捜査に着手したのであった。
 それから十日余りの昨夜(ゆうべ)、川手氏は突然中村捜査係長の訪問を受け、宗像探偵事務所の木島助手変死の次第を聞かされ、今更(いまさら)のように震え上った。
 そして、その夜は三名の私服刑事が、徹宵(てっしょう)邸の内外の見張りをしてくれることになったが、しかし、この警視庁の好意はもう手おくれであった。
 夕刻から友達を訪問するといって出かけた次女の雪子(ゆきこ)さんが、十時を過ぎ十一時を過ぎ、深夜となっても帰らなかった。友達の家は元より、心当りという心当りを電話や使いで探し(まわ)ったが、友達の家を辞去したのが八時頃と分ったばかりで、その後の消息は(よう)として知れなかった。
 不安の一夜が明けて翌朝、麻布区の高台にある川手邸は、急を聞いて()せつけた親戚知己(ちき)の人々で、広い邸内も一方(ひとかた)ならぬ混雑を呈していたが、その中に、第一号応接室の洋間には、中村捜査係長と宗像博士と主人川手庄太郎氏の三人が、青ざめた顔を見合せて、善後の処置を協議していた。係長と博士とは、事件の報告を受けると、取るものも取りあえず、早朝から川手邸を訪問したのである。
 川手氏は半白の頭髪を五分刈りにして、半白の口髭を貯え、濃い(まゆ)、大きな目、デップリと太った、如何にも重役型の紳士であったが、いつも艶々(つやつや)と赤らんでいる豊頬(ほうきょう)も、今日は色を失っているように見えた。
 同氏は、一年程前夫人に先立たれたまま、後添(のちぞ)いも(めと)らず、二人の娘と水入らずの家庭を楽しんでいたのだが、その愛嬢の一人が、何物とも知れぬ殺人鬼の手中に奪い去られたかと思うと、流石(さすが)の川手氏も狼狽(ろうばい)しないではいられなかった。
 川手氏と宗像博士は初対面であった。川手氏は、木島助手の変死の(くや)みを述べ、遺族に対して出来るだけのことをしたいと申出(もうしい)で、博士の方では、この重大事件を、助手任せにして置いた手落ちを()た。
(うけたま)わると、犯人は妙な三重の渦巻の指紋を持った奴だということですが……」
 川手氏はそれを聞き知っていた。
「そうです。三つの渦巻が上に二つ、下に一つと三角型に重なっているのです。若しや、古いお知合いに、そんな指紋を持っている人物のお心当りはないでしょうか」
 博士が訊ねると、川手氏は(かぶり)を振って、
「それが全く心当りがないのです。指紋などという奴は、いくら親しくつき合っていても、気のつかぬ場合が多いものですからね」
「しかし、これ程の復讐を企てているのですから、あなたに余程深い恨みを持っている奴に違いありません。そういう点で、何かお心当りがなければならないと思うのですが」
 宗像博士は、やはり少し青ざめた顔をして、じっと川手氏を見た。そこから、この資産家の旧悪を探り出そうとでもするように、鋭い目で相手の表情を見つめた。
「イヤ、そりゃ、わたしを恨んでいる人間がないとは申しません。しかし、これ程の復讐を受ける覚えはないのです。そんな相手は全く心当りがないのです」
 川手氏は、博士の疑い深い質問に、少し怒りをあらわして答えた。
「ですがね、恨みという奴は、恨まれる方では左程(さほど)に思わなくても、恨む側には何層倍も強く感じられる場合が、往々あるものですからね」
「なる程、そういうこともあるでしょうね。さすが御商売柄、犯罪者の気持はよく御承知でいらっしゃる。しかし、わたしには、どう考えて見ても、そんな心当りはありませんね」
 川手氏は益々(ますます)不快らしく云い放った。
「あなたの方にお心当りがないとしますと、例の指紋が、今のところ、唯一の手掛りですね。実は昨夜のうちに、警視庁の指紋原紙を十分調べさせたのですが、十五年勤続の指紋主任も、三重の渦状紋なんて見たことも聞いたこともない。指紋原紙の内には、無論そんなものはないということでした」
「化け物だ」
 宗像博士が、何か意味ありげに、低い声で呟いた。それを聞くと、川手氏は(おび)えたように、キョロキョロとあたりを見廻(みまわ)した。さりげなく装っているけれど、心の底では、何者か思い当る人物があるらしく見える。
「中村さん、宗像さんも、何とかして娘を取戻して下さる訳には行かんでしょうか。費用はいくらかかっても、すっかりわたしが負担します。懸賞をつけてもよろしい。そうだ、犯人を発見し、娘を取返して下さった方には、五千円の賞金を懸けましょう。警察の(かた)でも、民間の方でも構いません。娘を安全に取戻して下さればいいのです。わたしは一秒でも早く娘の無事な顔が見たいのです」
 川手氏は感情の激しい性格と見えて、喋っているうちに段々興奮して、遂には半狂乱の(てい)であった。
「なる程、懸賞とはよい思いつきですが、悪くすると手遅れかも知れませんね。……僕はさっきから、あの窓の下に落ちている封筒が気になって仕方がないのだが……」
 宗像博士は一方の窓の下の床を、意味ありげに見つめながら、独言(ひとりごと)のように云った。
 その声に、何かゾッとさせるような(ひびき)がこもっていたので、あとの二人は驚いて、その方へ目をやった。如何にも一通の洋封筒が落ちている。
 それを一目見ると、川手氏の顔色がサッと変った。
「オヤ、おかしいぞ。つい(いま)(がた)まで、あんなものは落ちていなかったのですよ。それに、わたしの家には、あんな型の封筒はなかった(はず)だ」
 云いながら、ツカツカと窓の(そば)へ立って行って、その封筒を拾い上げ、気味悪そうに眺めていたが、いきなり呼鈴(よびりん)を押して女中を呼んだ。
「お前、今朝ここを掃除したんだね。この窓の下にこんなものが落ちてたんだが」
 女中が顔を出すと、川手氏は叱りつけるように聞きただした。
「イイエ、アノ、わたくし、十分注意して掃除しましたけれど、何も落ちてなんかいませんでございました」
「確かかね」
「エエ、本当に何も……」
 若い女中は、いかめしい二人の客の姿におびえて、頬を赤らめながら、しかし、キッパリと答えた。
「誰かが、窓の外から投げ込んで行ったのではありませんか」
 中村警部が不安らしく(またた)きしながら云った。
「イヤ、そんな筈はありません。ごらんの通りこちら側の窓は閉め切ってあります。封筒をさし入れるような隙間もありません。それに、この外は内庭ですから、家のものしか通ることは出来ないのです」
 川手氏は魔術でも見たように、脅え切っていた。
「封筒がここへ入って来た経路は()(かく)として、中を改めて見ようじゃありませんか」
 宗像博士は一人冷静であった。
「お調べ下さい」
 川手氏は、(みずか)ら開封する勇気がなく、封筒を博士の方へさし出した。博士は受取って、注意深く封を開き、一枚の用紙を拡げた。
「オヤ、これは何の意味でしょう」
 そこには、ただ五文字、

衛生展覧会

 と(しる)してあるばかり、さすがの博士も、その意味を(かい)()ねたように見えた。
「オオ、いつもの封筒です。いつもの用紙です。犯人からの通信に違いありません」
 川手氏が、やっと気附いたように叫んだ。
「犯人の手紙ですって、それじゃこれは……」
「中村君、行って見よう。これからすぐ行って見よう」
 博士は何を思ったのか、中村警部の腕を取らんばかりにして、(あわただ)しく促すのだ。
「行くって、どこへです」
「極っているじゃないか。衛生展覧会へですよ」
「しかし、衛生展覧会なんて、どこに開かれているんです」
「U公園の科学陳列館さ。僕は、あすこの役員になっているので、それを知っているんだが、今衛生展覧会というのが開かれている筈なんです。サア、すぐに行って見ましょう」
 中村係長にも、おぼろげに博士の考えが分って来た。この素人探偵は何という恐ろしいことを考えるのだろうと、(ほと)んどあっけに取られる程であったが、兎も角愚図愚図(ぐずぐず)している場合でないと思ったので、博士と共に、門前に待たせてあった警視庁の自動車に乗り込んで、U公園の科学陳列館へ走らせた。
 川手氏は両人の気違いめいた出発を、あっけにとられて眺めていたが、雪子の行方不明と衛生展覧会とを、どう考えても結びつけることが出来ず、しかし、(わか)らなければ分らないだけに、何ともえたいの知れぬ気味悪さが、黒雲のように心中に湧き起って来て、不安と焦慮(しょうりょ)に、居ても立ってもいられぬ心持であった。
 自動車が科学陳列館へ着くと、宗像博士と中村捜査係長とは、陳列館の主任に事情を話し、その案内で、三階全体を占める衛生展覧会場へ、(あわただ)しく昇って行った。
 早朝のこととて、広い場内には、観覧者の姿もなく、コンクリートの柱、磨き上げたリノリューム、そこに並べられた大小様々のガラス張りの陳列台が、まるで水の底に沈んでいるように、冷えびえと静まり返っていた。
 場内の一半には医療器械、一半には奇怪な解剖模型や、義手義足や、疾病(しっぺい)模型の(ろう)人形などが陳列してある。三人はそれらの陳列棚の間を、グルグルと(いそ)がしく歩き廻った。
 毒々しく赤と青で塗られた、四斗樽(しとだる)ほどもある心臓模型、太い血管で血走ったフットボールほどの眼球模型、無数の(かいこ)が這い廻っているような脳髄模型、等身大の蝋人形を韓竹割(からたけわり)にした内臓模型、長く見つめていると吐き気を催すような、それらのまがまがしい蝋細工の間を、三人は傍目(わきめ)もふらず歩いて行く。目ざすところは、疾病模型の蝋人形なのだ
 何々ドラッグ商会の例の不気味な蝋人形は、もともと衛生展覧会などの蝋人形の効果から思いついたものであった。疾病の蝋人形というものには、それ程のスリルがあるのだ。恐ろしい病毒の吹出物、ニコチンやアルコールの中毒で、黄色くふくれ上った心臓の模型などは、健康者を忽ち病人にしてしまう程の、恐ろしい心理的効果を持っている。
 それらの陳列棚の中に、一際(ひときわ)目立つ大きなガラス箱があった。上部と四方とを全面ガラス張りとした長方形の陳列台である。
 宗像博士は、遠くからそのガラス箱を見つけると、真直(まっす)ぐにその方へ近づいて行った。そして、三人はその寝棺(ねがん)のようなガラス箱の前に立った。
 ガラス箱の中には、等身大の若い女が、腰部(ようぶ)を白布に(おお)われて、全裸の姿を(さら)していた。遠い窓からの薄暗い光線では、十分見分けられない程であるが、しかし、何となく生きているような蝋人形である。
「どうして、こんなものを陳列するのですか。別に病気の模型らしくもないじゃありませんか。美術展覧会の彫刻室へ持って行った方が、ふさわしい位だ」
 博士が主任を(かえり)みて訊ねた。すると、主任は如何にも恐縮した体で、オズオズと、
「いつの展覧会にも、こういう完全な人形が一つ位まぎれ込むものです。模型師の道楽なんですね。この人形も今朝暗い内に運び込まれたばかりで、つい(いま)(がた)蔽い布を取って見て驚いた位なんです。()しなんでしたら、別の模型と置き換えることに致しますが」
 と弁解しながら、中村警部をチロチロと横目で眺めた。
「イヤ、それにも及ばないだろうが、しかし、この人形は実によく出来ているね。それに非常な美人だ。この乳のふくらみなんか、職人の仕事とは思われぬ程ですね」
 博士と中村警部とは、熱心にガラス箱の中を覗き込んでいたが、やがて、何を発見したのか、警部が頓狂な声を立てた。
「オヤッ、この人形には産毛(うぶげ)が生えている。ホラ、(あご)のところをごらんなさい。腕にも、(もも)にも」
 ようやく薄暗い光線に慣れた人々は、裸体人形の全身に、銀色に光る、目に見えない程の産毛を見分けることが出来た。
 三人は余りの薄気味悪さに、黙りかえって顔を見交(みかわ)すばかりであったが、宗像博士は、ふと何かに気づいたらしく、ポケットから拡大鏡を取出して、ガラス箱の表面の()る一点を(のぞ)き込んだ。
「中村君、一寸(ちょっと)ここを(のぞ)いてごらんなさい」
 云われるままに、レンズを受け取って、ガラスの表面を覗いた係長は、覗くが(いな)や、はじき返されたように、その側を離れて、(しゃが)れた声で叫んだ。
「アア、三重渦状紋だ」
 如何にも、そのガラスの表面には、昨夜(ゆうべ)幻燈で見たのとソックリのお化け指紋が、まざまざと現われていたのである。
「君、この(ふた)を開けて下さい」
 博士が呶鳴(どな)るまでもなく、主任もそれに気づいて、もう真青(まっさお)になりながら、ポケットの(かぎ)で、ガラス箱の蓋を開いた。
「人形の肌に触ってごらんなさい」
 主任はオズオズと、人差指を人形に近づけ、その腹部に触って見た。触ったかと思うと、悲鳴のような叫び声を立てて、飛びのいた。
 人形の肌は、まるで腐った果物のようにブヨブヨと柔かかったからである。そして氷のように冷たかったからである。

    H制糖股份有限公司董事川手庄太郎最近一个月以来为匿名的恐吓信伤透了脑筋:
 
    鄙人对您怀有深仇大恨。鄙人一心想对您实施报复,为此花费了漫长的岁月。现在已经准备就绪,报仇雪浪的时刻终于来到了。您一家不久将遭杀绝,将一个个地相继结束可恶的一生。
 
    每天都寄来这种意思的情,每次笔迹都不相同。字体潦草,很蹩脚。发信邮局的邮戳每次都不同,信封和信笺也都是极其常见的便宜货,所以完全没有线索查明寄信人的下落。未必都是写信恐吓,有时候电话里响起了莫名其妙的声音。“川手君,久违啦。知道我的声音吧,呵呵呵呵呵呵。你有两个漂亮的女儿吧,我呀,决定首先从这两个女儿开始收拾。呵呵呵呵呵呵。”
 
    非常和善的鼻音,恐怕是在电话机附近捂着鼻子说话的。他每说一句话就像女人似地呵呵呵地笑几下,但这奇怪的笑声却使川手胆战心惊。
 
    当然声音不觉得耳熟。讯问电话局,回答说是从公用电话打的,依然没有线索了解对方的真相。
 
    川手今年四十七岁,是个从手无分文奠定现在这般资产的人物,所以不仅事业上的敌人不计其数,而且事业以外也使好多人吃尽了苦头。可是,即使他逐个逐个地追寻这些记忆也未能想到这次的恐吓者。
 
    虽然木是没有一两个可疑的人,但这些人都已经死了,连子孙都没有留下。正因为无论怎么考虑都不知道恐吓者的来历,所以格外使人感到可怕。他不由地感到一种无法形容的恐惧,仿佛自己前半生虐待过的人变成了冤魂在他身边徘徊。
 
 
 
 
    川手终于忍受不了,将这件事告到了警视厅。但警视厅只回答他说他们会好好跟所管辖的警察署说的,之后便根本不予答理,所以他后来物色民间侦探,先打发人去了一下小五郎的事务所,但那边回话说:小五郎因一起重大犯罪案件正在朝鲜出差,一下子还回不来。所以这回他委托了与小五郎侦探齐名的宗像博士侦查犯人,博士的助手,一名叫木岛的年轻侦探便找上门来听取了事情的详细经过,随后便开始了侦查。
 
    十几天后的一个傍晚,中村侦查股长突然访问了川手,跟他讲了宗像侦探事务所的木岛助手死于非命的经过,川手更心惊胆战起来。
 
    当晚将有三名便衣刑警通宵看守往宅内外,但警视厅的这一好意为时已晚。
 
    傍晚时说去拜访朋友而出门的二女儿过了十点、十一点,甚至到了深夜还没有回来。不用说是朋友家,所有能想到的地方都打电话或是派人去找遍了,但只知道她告辞朋友家是八点左右,其后的情况就完全不知道了。
 
    令人惴惴不安的一夜结束了。翌晨,座落在麻布区高田的川手公馆里挤满了闻讯而来的亲朋好友,大宅内一片混乱,其中第一会客室的西式房间内,中村侦查股长、宗像博士和脸色苍白的主人川手在太郎三人正凑在一起,协商着善后措施。股长和博士是一接到案件报告便匆匆忙忙一清早赶来访问川手公馆的。
 
    川手把半白的头发理成了平头,蓄着花白的胡须,浓眉大眼,胖墩墩的,很像是董事一类的绅士,但平素红光满面的丰盈的面颊今天看去好像失去了光泽。
 
 
 
 
    他一年前就失去了夫人,至今没有续弦,父女三人享受着天伦之乐,但一想到其中一个爱女落在不知是哪个别子手的手中,川手不禁惊慌失措。
 
    川手和宗像博士是第一次见面!川手对木岛助手死于非命表示哀悼,提出想为他的遗属做些力所能及的事,博士对自己把这一重大案件托给助手的过失表示了歉意。
 
    “听说犯人是个有奇怪的三重涡状指纹的家伙……”
 
    川手已经闻知这件事。
 
    “是的,三个旋涡成三角形相叠,上面两个,下面一个。请问,您的老熟人里有没有这种指纹的人?”
 
    博士一问,川手立即摇摇头说:
 
    “我心里一点也没有数。指纹这东西,很多场合即使亲密相处也是不注意的嘛。”
 
    “可是,策划这样的报复,一定是对您怀有深仇大浪的家伙。从这点来说,我想您一定会有什么线索的……”
 
    宗像博士也是脸色苍白,目不转睛地看着川手,像是要从那里找出这资本家旧时的罪恶似地用犀利的目光凝视着对方的表情。
 
    “啊,这我不能说没有恨我的人,但我相信不会受到如此报复。”
 
    川手有点不快似地回答了博士的疑问。
 
    “可是,仇恨这东西,往往被憎恨的一方不以为然,但憎恨的一方却会感到强好几倍。”
 
    “您说的对,大概也有那种情况吧。您毕竟是干这一行的,犯罪者的心情知道得一清二楚,但我怎么考虑,心里都没有数哪。”
 
    川手益发不高兴地一口断定说。
 
    “如果您心里没有数,那么那个指纹目前是唯一的线索修。说实在的,昨晚我们让人充分查了一下警视厅的指纹蜡纸,但据说连续干了十五年的指纹主任也从未见到和听到过什么三重涡状纹,指纹蜡纸里当然没有那种东西。”
 
    “是妖怪。”
 
    宗像博士像是有什么用意似地自言自语道。一听这话,川手立即惊恐地朝四下里张望了一下。
 
    虽然装着一副若无其事的样子,但看上去心里好像想起了一个人。
 
    “中村君,宗像君,你们不能设法替我把女儿夺回来吗?费用不管花多少,都由我来负担。也可以悬赏。对了,给管我发现犯人、夺回女儿的人五千元赏金吧,不管是警察署的还是民间的,只要安全地替我夺回女儿就行。我想早点见到我女儿安然无恙的脸孔,哪怕是早一秒钟也好。”
 
    川手看上去是个感情激昂的人,说着说着就渐渐兴奋起来,终于露出了一副疯疯癫癫的样子。
 
    “悬赏的确是个好主意,但说不定为时已晚啦……我从刚才起心里老是牵挂着掉在那窗户下的一封信……”
 
    宗像博士一面若有所思似地凝视着一恻窗下的地板,一面自言自语道。
 
    那声音听起来让人寒毛凛凛,所以其余两人都吃惊地朝那方向看去。的确窗户下掉着一封西洋式信封。
 
    只看了一眼,川手的脸色就刷地变了。
 
    “哎呀,奇怪!直到刚才都没有见那里掉着那种东西呀!况且我家是没有那类信封的。”
 
    他边说边站起来走到窗户分拣起了那封信,惊惧地看了一会儿,随后突然按了一下电铃叫来了女佣人。
 
    “你早晨打扫这儿了吧,这窗子下掉着这种东西……”女佣人一露面川手就训斥般地这样询问道。
 
    “没有。这个…俄充分注意地打扫的,没有什么东西掉在那里。”
 
    “真的吗?”
 
    “是的,真的什么也……”
 
    年轻的女佣人虽然在严肃的客人面前有些胆怯而红着脸,但回答得十分干脆。
 
    “会不会是谁从窗户外面扔进来的呢。”
 
    中村警部不安地眨着眼睛说道。
 
    “不,哪会呢。正如您看到的,这边的窗户关着,也没有缝隙投进那种信封,而且这外面是院子,所以只有家里人才能通过。”
 
    川手像是见了魔鬼什么的吓得要命。
 
    “信封到这儿来的途径姑且不谈,查一下里面的东西好吗?”
 
    唯独宗像博士很冷静。
 
    “清查吧。”
 
    川手没有勇气亲自拆封,把信封递给了博士。博士接到手里后小心翼翼地拆开信封,打开了一张信笺。
 
    “哎呀,这是什么意思呢?”
 
    上面只写着“卫生展览会”五个字,好像连博士也难解其意。
 
    “哦,是往常的信封,往常的信笺,一定是犯人来的信。”
 
    川手这才发觉似地喊道。
 
    “犯人来的信?那么这是……”
 
    “中村君,我们去看看吧,这就去看看吧。”
 
    不知道博士想到什么,他几乎要换中村警部的胳膊似地匆匆催促道。
 
    “你说去,是去哪儿呀?”
 
    “那还用说,是去卫生展览会呗!”
 
    “可卫生展览会在哪儿呢?”
 
    “U公园的科学陈列馆呗。我是那儿的干事,所以知道。现在应该在举行卫生展览会。走,去看看吧。”
 
    中村股长也模模糊糊地明白了博士的想法,他几乎愣住了,心想这业余侦探考虑的事多可怕啊。总之这时候不该磨磨蹭蹭,于是与博士一起乘上了等候在门前的警视厅的汽车,让它开到了U公园的科学陈列馆。
 
    两人疯癫癫地出发了,川手目瞪口呆地望着他们。无论怎么考虑都不能把雪子下落不明与卫生展览会联系在一起,但正因为不明白,所以心里像是乌云似地涌起了一种莫名其妙的恐惧。不安和焦虑使他坐立不安。
 
 
 
 
    汽车一到科学陈列馆,宗像博士和中村侦查股长就向陈列馆的主任说明了情况,在他带领下急匆匆地上了占据整个三楼的卫生展览馆。
 
    因为是清早,所以偌大的场内看不到一个参观者,混凝土的柱子、擦得通亮的亚麻油毡块以及排列在那儿的大大小小的玻璃陈列台都像沉在水底似的冰冷而又寂静。
 
    场内一半陈列着医疗机械,另一半陈列着奇怪的解剖模型、假手假腿以及疾病模型的蜡偶人等。三人在这些陈列架之间来回转着。
 
    用浓重的红色和蓝色涂起来的足有四斗酒桶那么大的心脏模型、布满粗血管的有足球般大的眼球模型、像无数条蚕在蠕动的脑髓模型、把真人大小的蜡偶人劈成两半的内脏模型。三人在这些望久了就会觉得恶心的令人讨厌的蜡制工艺品之间,紧盯着前方向前走去。目标是疾病型蜡偶人。
 
    XX药品商会的那令人毛骨悚然的蜡偶人原来就是从卫生展览会的蜡偶人的效果想到的。疾病蜡偶人这东西就有这般使人战栗的力量。可怕的病毒小疮、因尼古丁和酒精等中毒而黄肿的心脏模型等具有把健康人立即变成病人的可怕的心理效果。
 
    这些陈列架中有一个格外引人注目的大玻璃箱。那是一个把上部和四面全用玻璃围起来的长方形陈列台。
 
    宗像博士从远处一发现那玻璃箱就径直向那边走了过去,不一会儿三人便站到了那卧棺一般的玻璃箱前面。
 
    玻璃箱里面躺着一个真人大小的年轻女子。虽然靠从远处的窗户射来的暗淡的光线无法辨清,但总觉得是一个活着的蜡偶人。
 
    “为什么陈列这种东西呢?也并不像疾病的模型呀,倒是拿到美术展览会的雕刻室去要更合适一些。”
 
    博士回头看了一眼主任,问道。于是,主任显出惶恐的样子,一面怯生生地辩解一面直盯盯地斜眼看着中村警部:
 
    “每次展览会上都要混进一个这种完整的偶人,这是模型师的一种乐趣嘛。这偶人也是今天早晨趁天未亮刚运来的,方才取掉遮布一看都吃了一惊。要是不合适的话我就决定与别的模型替换一下……”
 
    “不,那不必了吧,可这偶人做得真好啊,而且又是个美人儿,都难以想像是手艺人的活计啦!”
 
    博士和中村全神贯注地看着玻璃箱里面,过了一会,不知是发现了什么东西,警部突然狂叫起来:
 
    “哎呀,这偶人长着汗毛!瞧下巴那地方,胳膊上也有。”
 
    好容易习惯了暗淡光线的三人在裸体偶人的全身看清了闪着银光、不太显眼的汗毛。
 
    三人由于过分惊惧而只是默默地面面相觑,但宗像博士好像突然发觉了什么,从口袋里掏出放大镜,俯身看着玻璃箱表面上的一点。
 
    “中村君,请看一下这儿。”
 
    依着吩咐,拿过放大镜看了一下玻璃表面的股长刚一看就好像被弹回来似地离开那旁边,用嘶哑的嗓音喊道:
 
    “啊,是三重涡状纹!”
 
    玻璃表面的确清晰地显露着与昨晚在幻灯中看到的一模一样的妖怪指纹。
 
    “喂,请把这盖打开。”
 
    无须博士大声喊叫主任就察觉了,他已经脸色苍白地用口袋里的钥匙打开了玻璃箱的盖子。
 
    “你摸一下偶人的皮肤。”
 
    主任战战兢兢地将食指靠近偶人,触了一下她的胳膊。刚触上去就发出惨叫般的喊声闪开了。
 
    偶人的皮肤像腐烂的水果一样软绵绵的,而且像冰一样凉。
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