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怪指纹:魔镜

时间: 2021-08-15    进入日语论坛
核心提示:鏡の魔術 中村捜査係長が制服私服合せて十二名の部下を引連れ、三台の自動車を飛ばして駈けつけたのは、それから二十分程のちで
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鏡の魔術


 中村捜査係長が制服私服合せて十二名の部下を引連れ、三台の自動車を飛ばして駈けつけたのは、それから二十分程のちであった。
 係長は宗像博士から委細を聞き取ると、敏速に兇賊逮捕の陣容を整えた。半数の警官は賊がテントを潜って逃走するのを防ぐ為に、小屋掛けの四方の見張りに立て、残る半数を二隊に分け、小屋の入口と出口とから、綿密な捜査をしながら中心地点に進ませることにした。
 化物屋敷全体を薄暗くしている天井の黒布は、小屋の者に命じて、直ちに取りはずさせることにしたので、見る見る陰鬱な小屋の中が明るくなって行った。それにつれて、場内の魑魅魍魎は、昼間の化物となって、到る所に滑稽なむくろを(さら)しはじめた。
 竹藪の迷路も、行き止りの袋小路が全部切り払われ、どこを通っても出口に達することができるようになった。警官隊と十数名の小屋の若い者とが、隊伍(たいご)を組んで、切り開かれた白昼の藪の間を進んで行った。
 裏口から入った一隊は、無残人形の場面を、一つずつ綿密に捜索しながら、前進したが、天井の黒布が取り払われて見ると、どの場面もいたずらに毒々しく醜怪なばかりで、凄味など殆んど感じられなかった。
 裏口から三つ目の舞台は、例の轢死女の場面であったが、地中に身を潜めた生ける生首は、どこへ逃げ去ったのか、影もなく、その首の生えていた部分に、ポッカリと黒い穴があいていた。
「オイ、あの奥に何だかいるようだぜ」
 一人の警官が同僚を顧みて囁いた。指さすのを見ると、そこには例の模造赤煉瓦のトンネルが真黒な口を開いているのだ。
 天井から光が射すとは云っても、トンネルの中は真暗だし、その辺一体は、竹藪の茂みになっていて、何となく陰気である。
 三人の警官、それに小屋の若者四人、七人の同勢が、手をつながんばかりにして、オズオズと柵を乗り越え、汽車の線路を伝って、転がっている人形の手や足を蹴ちらしながら、トンネルの口に向って近よって行った。
「このトンネルは一間ばかりで行き止りになっているんですから、どこにも逃げ道はありやしませんよ」
 若者が警官達に囁く。
 やがて、人々はトンネルの前二間程に近づくと、暗い穴の中を覗き込んだ。
 トンネルの内部は、すっかり黒い塗料で塗りつぶしてあるのだが、その行き当りの壁の中に、細い二つの目が光っていた。よく見ると、壁と同じ色をした影法師のようなものが、そこに突立っているのだ。
 それを見ると、人々は思わずギョッと立止った。
「危いッ、ピストルを持っているぞッ」
 人々のひるむ前に、黒い怪物は、浮き出すように前進して来た。右手には油断なくピストルを構えながら、クックックッと例の不気味な笑い声を立てながら。
 トンネルを出ると、大胆不敵にも、ジリジリと警官の方へにじり寄って来る。七人の方が却って押され気味である。
 怪物の足が線路を越えた。今度は柵の方へと、(かに)のように横歩きを始める。ピストルは七人の真中に狙いを定めたままだ。
 アッ、柵を越えた。越えたかと思うと、クルリとうしろ向きになった。そして、通路を人なき(かた)へと、矢のように走り出した。
「ウヌ、待てッ」
「逃がすもんか、畜生」
 かけ声だけは勇ましく、逃げる一人を追う七人、すさまじい追っ駈けが始まった。
「クックックッ……」
 怪物は走りながらも、まだ嘲笑をやめなかった。
 無残人形の幾場面を過ぎて、怪物は両側を黒布で張った細い通路へ飛び込んで行った。その正面には、例の鏡の部屋があるのだ。
 その通路も、天井の蔽いが取去ってあるので、怪物の躍るような黒い姿がよく見える。彼はそこを一息に駈け抜けて、行き当りの黒板塀のドアを引きあけ、とうとう鏡の部屋に辷り込んだ。
 七人の追手は忽ちドアの前に殺到したが、そこで又立ちすくんでしまった。ドアが細目に開いて、怪物の白い目がじっとこちらを睨みつけていたからだ。イヤ、目だけではない。ピストルの筒口が、今にも火を吐くぞとばかり、不気味に覗いていたからだ。
「向うの出口から廻って、はさみ撃ちにしたらどうでしょう」
 一人の若者が囁き声で、妙案を持出した。
「よし、それじゃ、君は向うへ廻って、あちらにいる警官に、この事を伝えてくれ。出口の方を固めてくれるようにね」
 これも惶しい囁き声の指図だ。若者は通路の壁を押し破って、鏡の部屋のうしろ側へ飛び出して行った。
 愈々怪物は袋の鼠となった。彼は今、何も知らないで、戸の隙間から警官達を威嚇(いかく)しているけれど、やがて背後の入口から、別の警官隊が殺到するのだ。腹背(ふくはい)に敵を受けては、いかな兇賊も運の尽きに違いない。若し万一、どうかしてこの鏡の部屋は逃げ出すことが出来たとしても、小屋の外には六人の警官が見張りをしているばかりか、事件を聞きつけて集った弥次馬(やじうま)の大群が、テントのまわりをグルッと遠巻きにして見物しているのだ。その中を、どう逃げ(おわ)せることが出来るものか。
 あとに残った六人の追手は、じっとピストルの筒口を睨みつけながら、息を殺して時の来るのを待ち構えていた。
「クックックッ……」怪物は又笑い出した。アア、何も知らないで、呑気らしく笑っている。
 五秒、十秒、十五秒……追手達の腋の下から冷い汗がジリジリと流れた。突然、鏡の部屋の中に物音がした。何者かが歩き廻っているのだ。咳払(せきばら)いの音が聞える。
 しかし、賊のピストルはこちらを狙ったまま、少しも動かない。どうしたのかしら。オオ、今にも格闘が始まるのではないか。敵も味方も鏡に映る千人の姿となって、何千人の大乱闘が演じられるのではないか。
 手に汗を握って待ち構える人々の前に、鏡の部屋のドアが、静かに開き始めた。オヤッ、おかしいぞ。怪物はやっぱりピストルを構えたままだ。では、早くも計略を悟って、逆にあいつの方から打って出る積りかしら。
 人々はギョッとして、思わずあとじさりを始めた。
 ドアは段々大きく開いて行く。黒い怪物め、愈々(いよいよ)飛び出して来るんだな。逃げ腰になって、じっと見つめている一同の前に、遂にドアはすっかり開け放された。
 すると、オオ、これはどうした事だ。そこに立っていたのは、敵ではなくて味方であった。味方も味方、当の怪物の発見者の宗像博士その人であった。
「オヤ、あなた方何をしているんです。あいつはどうしたのですか」
 博士の言葉に、警官達は開いた口が(ふさ)がらなかった。
「オオ、宗像先生、あなたはその部屋で、曲者をごらんにならなかったのですか。つい今し方まで、そのドアの隙間から、我々にピストルを突きつけていたんですぜ」
「僕もここにあいつが隠れていると聞いたものだから、はさみ撃ちにする積りで、入って来たのだが、入って見ると誰もいないのです。ただ、このピストルがドアの把手にぶら下っていたばかりでね」
 博士はそういいながら、紐で結びつけたピストルを取り上げて、一同に示した。
「あなた方は、このピストルの筒口が覗いているのを見て、あいつ自身が、ここにいるのだという錯覚を起していたのですよ。あいつはピストルをここにぶら下げて、丁度あなた方の方に筒口が向くようにして置いて、素早く逃げてしまったのです」
 人々は余りのことに、それに答える力もなく、呆然として博士の顔を見つめていた。
「しかし、おかしい。僕はもうさい前から、向うの戸口の外にいたんですが、誰もここから逃げ出すものを見かけなかった。ひょっとしたら、鏡の壁に何か抜け穴でも出来ているのじゃないかと思うくらいです」
 怪物の奇怪な消失に、又改めて大捜索が繰返された。人の隠れそうな場所は、悉く打毀(うちこわ)し、迷路の竹藪もすっかり倒してしまって、隅から隅まで、何度となく探し廻った。
 しかし、遂に黒い怪物は、どこにも姿を現わさなかった。と云って、テントの外へ逃げ出さなかったことは、見張りの六人の警官をはじめ、まわりを囲む群集が、何よりの証人であった。
 宗像博士の提案によって、鏡の部屋が取り毀され、大鏡が一枚一枚壁からはずされて行った。しかし、そのあとには、どんな抜け道も、どんな隠れ場所も発見されなかった。
 あの不気味な鏡の部屋は、一人を千人にして見せるばかりでなくて、人間を全く影も形もないように吸い取ってしまう魔力を持っていたのであろうか。
 人々は、六角の鏡の部屋が、奇術師の魔法の箱のように、そこへ入った人間を、先ず粉々に打ちくだき、その目にも見えぬ破片を、六方から、サーッと吸い取って行く光景を幻想して、ゾーッと肌寒くなる思いをしたのであった。

    二十分钟以后,中村搜查股长才率领制服、便衣总计二十名部下分乘三辆汽车赶来。
 
    股长从宗像博士那儿听取了事情的经过,旋即迅速地部署了逮捕凶贼的阵容。大多数警察为了防备凶贼钻过帐篷逃出,所以在杂耍场四面放哨,让剩下的一半人分成两队,从杂耍场进出口边仔细搜查边向中心地点前进。
 
    整个凶宅的顶棚遮暗的黑布,杂耍场的人被命令立即取了下来,所以眼看着阴沉的屋内渐渐明亮起来。场内的妖魔鬼怪随即成了白天的妖怪,开始到处现出滑稽的身躯。
 
    竹丛里的盘阳路也全部撤掉了尽头的死胡同,走哪里都能到达出口了。警察和十几名杂耍场的年轻人排着队在白天的竹丛间向前推进。
 
    从后面进来的一队人,是一边-一仔细搜查那些目不忍睹的偶人的场面,一边前进的,但天棚的黑布一经拆除,那个场面都尽是丑八怪,几乎感觉不到畏惧什么的。
 
    从后面起第三个舞台是那个轧死女人的场面。将身子藏在地下的活的头大概逃到什么地方去了,连影踪都没有,只是那生着头的部分突然裂开了一个黑洞。
 
    “喂,那里面好像有什么东西呀!”
 
    一个警察回头看了看同事,低声说。一看他指着的地方,只是那里仿造的红砖隧道张着黑乎乎的大口。
 
    虽说有光线从顶棚上照下来,但隧道中漆黑一团。那一带是茂密的竹丛,总觉得阴森森的。
 
    三个警察加上杂耍场的四个年轻人一行七人几乎手拉手地提心吊胆地跨过栅栏,沿火车的路轨一边踢散着浪在那儿的偶人的手脚,一边向隧道口接近。
 
    “这隧道大约有两米多长,是无处可逃的。”
 
    年轻人向警察们前咕道。
 
    不一会儿,他们靠近到隧道前三、四米的地方,往里瞧了一下黑乎乎的洞。
 
    隧道的内部全用黑色涂料涂盖着,但尽头的墙壁中有两只小眼睛在闪光。仔细一看,只见那里叉腿挺立着颜色与墙壁相同的人影般的东西。
 
    人们一见那东西就情不自禁地愣住了。
 
    “危险!那家伙有手枪!”
 
    看到大家胆怯,黑色的怪物向这边过来了。右手警惕地持着手枪,妹妹地发出着那种令人毛骨悚然的笑声。
 
    一出隧道,竟然胆大包天地步步向警察方向逼近过来,七个人这边反倒像是被他压倒了似的。
 
    长怪的脚越过了路轨,这回开始像螃蟹似地横着走向栅栏,手枪依然瞄准着七人的正中间。
 
    只见他刚跨过栅栏就急速转过身去,像箭似地沿着通道朝没有人的方向跑开了。
 
    “你这东西,站住!”
 
    “哪能让你跑了!富生!”
 
    只是哈喝声勇猛。一场可怕的追踪开始了——啼啼啼’——“”
 
    妖怪虽在跑,但还没有停止嘲笑。
 
    通过几个场景后,妖怪窜进了两侧用黑布拉起来的小通道。那正面就是那间镜子房。
 
    那通道也因为拆掉了顶棚上的遮布,所以能清晰地看到妖怪蹦跳的身影。他一口气跑出那儿,用力拉开了尽头板壁的门,终于溜进了镜子房。
 
    七个追踪的人立即拥到门前,但在那里又呆上不动了,因为门打开着一道小缝,妖怪的白眼目不转睛地瞪着这一边。不,不只是眼睛,而且令人可怖地露着手枪的枪口,好像马上就要喷出火来似的。
 
    “绕到对面的出口处,两面夹攻怎么样?”
 
    一个年轻人低声地提出了一个绝妙的主意。
 
    “好!那你绕到那头去,把这事告诉那边的警察,叫他们加强守卫出口那地方。”
 
    妖怪快要成为瓮中之鳖了。他现在一无所知,从门缝里恐吓着警察们,但过了一会儿别的警察将从背后的入口处拥来。如果腹背受敌,任何凶贼也插翅难逃。如果万一能想方设法从这镜子房里逃走,不仅杂耍场外面有六名警察监视着,而且听到事件后汇拢来的一大群看热闹的人也远远地围在帐篷周围观看着。在这中间他怎能逃之夭夭呢?
 
    剩下的六名追捕者一面目不转睛地瞪着枪口,一面屏着气等待着时机的到来。
 
    “啼、妹妹……”
 
    怪物又笑起来了,那样一无所知悠闲自得地笑道。
 
    五秒、十秒、十五秒……从追捕者们的腋下渐渐冒出了冷汗。突然在镜子房中发出了声响。不知是谁在走来走去。传来了咳嗽声。
 
    但凶贼的手枪依然瞄准着这边,一动也没有动。怎么回事呢?啊!不是马上就要开始格斗了吗?不是马上就要演出一场敌我都映在镜子里的几千人的格斗吗?
 
 
 
 
    在手里捏着一把汗等待着的人们面前,镜子房的门轻轻地开始打开。哎呀,奇怪!妖怪依然持着手枪。那么,是那家伙早就察觉到了计策,想倒过来向这边出击吗?
 
    人们倒抽了一口冷气,不由得开始退缩。
 
    门渐渐开大,黑色的怪物就要跑出来了吧。在想要跑掉,定睛望着妖怪的一行人面前,门终于洞开了。
 
    哎呀,这是怎么回事?!站在那里的不是敌人,而是自己人,而且这自己人又是发现这妖怪的宗像博士。
 
    “哎呀,你们在干什么?那家伙怎么啦?”
 
    听着博士这话,警察们都目瞪口呆了。
 
    “喂,博士先生,您在那屋子里没有看到坏人吗?刚才他还从那门缝里向我们伸出着手枪呢!”
 
    “我也听到那家伙躲在这里,所以打算两面夹攻他,于是跑了进来,但进来一看,一个人也没有。只是这手枪挂在门的把手上呀。”
 
    博士边说边取下用绳子缚着的手枪给大家看了一下。
 
    “你们是看到露着这手枪的枪口,所以产生错觉啦,以为那家伙本身就在这里。那家伙把手枪挂在这里,让枪口刚好对着你们,随后就迅速逃跑了。”
 
    由于事情过于突然,人们连回答的力气都没有了,只是呆若木鸡地凝视着博士的脸。
 
    “但真怪。我老早就在对面门外了,可没有看到有人从这里逃出去。我想说不定镜子壁上有什么暗道吗。”
 
    妖怪奇怪地消失了,大规模的搜索重新开始。看上去凡是人能躲藏的地方都找遍了,连迷宫中的盘阳路也都来回搜查了好几次。
 
    但那黑色的怪物终于没有出现在任何地方。可是,他也没有逃到帐篷外面去,这看守的六名警察和围在四周的人群是最好的证人。
 
    根据宗像博士的建议,镜子房被拆除了,大镜子被一面面地从壁上取了下来,但在取下镜子的地方没有发现任何暗道和任何隐匿处。
 
    难道那令人毛骨悚然的镜子房不仅能把一个人变成人,而且有着一种魔力,能把人无影无踪地吸进去吗?
 
    人们想象着六角形的镜子房像魔术师的魔箱一样将进入里面的人先打得粉碎,然后从六面一下子将那些连眼睛都看不到的碎片吸进去的光景,不禁打了个寒战。
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