日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页

塔上的奇术师-原形毕露

时间: 2022-01-15    进入日语论坛
核心提示:ふたりの一郎青年 こちらは淡谷さんの書斎です。いま置時計が十時をうちました。四十面相が、宝石ばこをぬすみ出してみせると予
(单词翻译:双击或拖选)

ふたりの一郎青年


 こちらは淡谷さんの書斎です。いま置時計が十時をうちました。四十面相が、宝石ばこをぬすみ出してみせると予告した時間です。
 その書斎には、主人の淡谷さんと、一郎青年(これがにせものであることは、読者諸君はごぞんじです。しかし、淡谷さんは、まだすこしも気づいていないのです。)と、小林少年の三人が、テーブルのまわりにこしかけて、壁にはめこみになっている金庫を、にらみつけていました。
「なにごともなかったじゃないか。いくら四十面相でも、こんなに厳重にみはられていては、どうすることもできないからね。」
 淡谷さんが、安心したようにつぶやきました。
「いや、あいつはきっと約束をまもります。ひょっとしたら、もう、ぬすみ出してしまったかもしれませんよ。」
 一郎青年が、まるで四十面相のみかたのようないいかたをしました。
「なにをいうんだ。そんなばかなことがあるもんか。われわれ三人が、ずっと見はりをつづけていたじゃないか。」
「三人がですか。」
 一郎青年が、おとうさんをあざけるようにいいました。
「三人だよ。」
「ところが、そうじゃないのですよ。さっき小林君が食事にいったときは、あなたとぼくと、ふたりきりでした。そして、あなたは、ぼくをひとりぼっちにして、手あらいへいったじゃありませんか。」
 どうもへんな口のききかたです。一郎青年は、おとうさんのことを、あなたとよんでいるのです。いつもこんなよびかたをしたことはありません。」
「そのあいだ、おまえがひとりでいた。そのときに、なにかあったというのか。」
 淡谷さんが、へんな顔をして、ききかえします。
「ええなにかあったのです。」
「なぜ、それを早くいわないのだ。いったい、なにがあったのだ。」
「金庫をあけてごらんなさい。わかりますよ。」
 一郎さんが、にくにくしげにいうのです。
 淡谷さんは、それを聞くと、なにかしらギョッとしました。大いそぎで金庫の前にいき、ダイヤルを回して、そのとびらをひらきました。ひらいたかとおもうと、
「アッ、ない。宝石ばこがなくなっているッ。」
と叫んで、その場にたちすくんでしまいました。
 その声に、小林少年も一郎青年も立ちあがりましたが、だれも、ものをいうものがありません。部屋の中は、しいんとしずまりかえってしまいました。
 しばらくしてから、淡谷さんが、一郎青年をにらみつけて、どなりつけました。
「おまえ、それをなぜいわなかったのだ。四十面相がはいってきて、宝石ばこを持っていくのを、だまって見ていたのかッ。」
 一郎青年は、にやにや笑いました。
「ピストルをつきつけられたので、どうすることもできなかったのです。それに、あいつは金庫の暗号も知っていました。」
「あいつとはだれのことだ。」
「むろん、怪人四十面相です。こうもりのようなやつでしたよ。」
 一郎青年は、ぬけぬけとうそをいっています。小林少年はたまらなくなって、つかつかと、一郎青年の前に近よりました。
「うそだッ、それはみんなうそだッ。怪人四十面相は、まだ逃げだしていない。この部屋の中にいる。」
といって、一郎青年をにらみつけました。
「ワハハハ……。小林君、なにをいっている。四十面相が、この部屋にいるんだって?」
 一郎青年は、さもおかしそうに笑いだしました。
「どこにいるんだね?」
「そこに!」
「そことは?」
 小林少年は、一郎青年の顔に、人さし指をさしつけました。
「きみだッ! きみが怪人四十面相だッ!」
「ワハハハハ……。なにをねぼけているんだ。ぼくは、ここのうちのむすこの一郎だよ。しっけいなことをいうなッ!」
 そのときです。入口のドアがパッとひらいて、そこから、ほんものの一郎青年が、つかつかとはいってきました。そのうしろから、スミ子ちゃんが、にいさんのかげにかくれるようにして、はいってきます。
 そして、ふたりの一郎青年がむかいあって、部屋のまん中につっ立ったのです。ほんもののほうが、四十面相のきていた服をつけ、にせもののほうが、一郎さんの服をきているので、どちらがほんものとも、見わけがつきません。かえってにせもののほうが、ほんとうの一郎さんらしく見えるくらいです。
 淡谷さんは、あっけにとられて、このふしぎな光景を見つめていました。スミ子ちゃんは、おとうさんのそばによって、そのうでにつかまっています。
 この異様なにらみあいは、一分間ほどもつづきました。いくら服があべこべでも、にせものが、ほんものに勝てるわけはありません。にせものの顔色がだんだんわるくなり、そのからだが、ゆらゆらとゆれてきました。
「そのにせものを、いちばんはじめに発見したのは、そこにいるスミ子ちゃんです。ぼくはそれを聞いたので、ほんとうの一郎さんを、助けだしてきたのです。こいつが四十面相です。こいつが警視庁の刑事に化けて、一郎さんを時計やしきにとじこめ、一郎さんに化けて、ここへやってきたのです。」
 小林少年が、叫ぶようにいいました。
 それを聞いて、淡谷さんにも、だいたいことのしだいがわかりました。
 四十面相も、それはいま聞くのがはじめてですから、小林少年のきびんな活動に、舌をまいておどろきました。もう、いっこくも、ぐずぐずしてはいられません。
「ワハハハ……。それじゃ、あばよ!」
といったかとおもうと、四十面相は、パッと窓のところへとんでいって、手ばやくガラス戸をひらき、まっ暗な庭へとびだしてしまいました。
 しかしその庭には、刑事たちが、見はりをしているはずです。いや、もっと恐ろしい敵が、待ちかまえているかもしれません。
 四十面相は、どうしてそれをきりぬけるつもりなのでしょう。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: