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塔上的奇术师-寻找暗门

时间: 2022-01-18    进入日语论坛
核心提示:恐ろしい手紙 小林少年と園田丈吉君は、時計塔の機械室にのぼって、身をかくす場所をさがしました。 そこには、大小さまざまな
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恐ろしい手紙


 小林少年と園田丈吉君は、時計塔の機械室にのぼって、身をかくす場所をさがしました。
 そこには、大小さまざまな歯車が、まわっているのですが、その南がわの通路に面した機械の下によこになればはいれるほどの、すきまがあることに気づきました。
 ふたりは、そこへはいこんで、歯車のすきまから、北がわの壁をのぞきましたが、うまいぐあいに、その壁の下のほうが、おおかた見えるようになっていました。
 ふたりは、そこに寝そべって、ときどき、ぼそぼそと、ささやきあいながら、ながいあいだ待ちました。かわりあって、朝ごはんをたべ、昼ごはんをたべ、それから二時間、三時間、四時間、もう夕がたに近づいても、なにごともおこりません。
「きょうは、うちの中へは、あらわれないのかもしれないね。」
 丈吉君が、うんざりして、ささやきました。
「うん、だが、もうすこしがまんしよう。ひょっとしたら、夜になってから、やってくるのかもしれないからね。」
 小林君が、丈吉君をなだめるように、ささやきかえします。
 それから、しばらくして、四時五十分ごろでした。北がわの板ばりの壁の一部が、スウッと動きはじめたではありませんか。
 ふたりは寝そべったまま、ぐっと手をにぎりあって、そのほうを、いっしんに見つめました。
 しばらくすると、北がわの壁に、ぽっかりと、四角いまっ黒な口がひらいていました。はば六〇センチほどのかくし戸が、むこうへひらいたのです。そして、そこから、ヌウッとすがたをあらわしたのは、なんと、園田さんのうちの、山本(やまもと)という書生だったではありませんか。
 のぞいていたふたりは、びっくりしてしまいました。
 いったいこれはどうしたことでしょう。それでは、書生の山本さんが、四十面相のなかまだったのでしょうか。
 いや、そんなはずはありません。いまから十分ほどまえ、小林君が便所へおりていったとき、一階の廊下で山本さんと出あったばかりでした。そして山本さんは、ふたりの少年が、ここにかくれていることをよく知っているのです。
 もし山本さんが、四十面相のなかまだとしたら、小林君たちが見はっているのを知りながら、秘密戸をあけて出てくるはずがありません。
(アッ、わかった。四十面相が化けているんだ。四十の顔をもつ変装の名人だから、山本さんに化けるくらい、なんでもないことだ。)
 小林君は、心の中でそう叫びました。
 書生に化けてしのびこむとは、なんといううまい思いつきでしょう。ほんものの山本さんにさえ出あわないように気をつけていれば、ほかの人は、だれに出あってもへいきなのです。あいては、山本さんだと思って、すこしもあやしまれないからです。
 山本さんに化けた四十面相は、かくし戸をもとどおりにしめて、階段をおりていきました。
「丈吉君、あれ、山本さんじゃないよ。きっと山本さんに変装した四十面相だよ。だって、十分ほどまえ、ぼくは下で山本さんにあったんだもの。そして、山本さんは、ぼくらがここにいることを知っているんだもの。」
「おどろいたなあ。あれが四十面相の変装かしら、山本さんとそっくりだったよ。」
「そりゃ、変装の名人だもの。だれにだって化けられるよ。あいつは、明智先生に化けたことだってあるんだからね。」
 それから、ふたりは、かくれ場所をはいだして、北がわの板壁の前にいって、さっきのかくし戸のあたりを、おしたり、たたいたりしてみましたが、もうかぎがかかってしまったらしく、びくとも動きません。それに、かくし戸と板壁のさかいめさえわかりません。じつに、よくできた秘密戸です。
「あいつが帰ってくるまで、ここに待っていることにしよう。そうすれば、かくし戸のあけかたがわかるよ。それをよくおぼえておいて、あとから、ぼくたちも、あそこへはいっていくのだ。」
 小林少年はそういって、丈吉君といっしょに、また、さっきのかくれ場所へはいこむのでした。
 二十分ほどしますと、小林君のいったとおり、書生に化けた男が、機械室へ帰ってきました。
「さあ、いまだ。あいつ、どうして、かくし戸をひらくのかしら。」
と、目をさらのようにして見つめていますと、男は機械のほうをむいて、そこの歯車の一つを、カチッと動かしたようすです。すると、それがかくし戸をひらくしかけらしく、扉は、スウッと、むこうへひらいていき、男はすばやく、そこから中にはいって、またもとどおり戸をしめてしまいました。
 ふたりの少年は、しばらく待ってから、かくれ場所を出て、むこうがわにまわり、山本さんに化けた男がさわったらしい歯車を、あちこちといじくっていますと、カタンとかるい音がして、うしろのかくし戸が、スウッとひらいたではありませんか。
 しかしふたりは、いますぐ、かくし戸の中へはいる気はありません。さっきの男がなにをしにやってきたか、それをたしかめてからでも、おそくはないのです。
 そこで小林君は、あきかけた戸に手をかけて、こちらへグッとひきますと、そのまま、ぴったりしまって、もう、おしてもたたいても、ひらかなくなりました。
「さあ、これで、秘密のぬけ穴はわかった。これから下へおりて、あいつがなにをしていったか、しらべてみよう。」
 そういって、丈吉君といっしょに階段をおりていきました。
 一階におりて、園田さんの部屋のそばへいきますと、そこのえんがわにヨシ子ちゃんが立っていて、庭の土の上を、じっと見つめています。
「オヤッ、なにをしているんだろう。……ヨシ子、なにを見ているんだい?」
 丈吉君がよびかけますと、ヨシ子ちゃんはギョッとしたようにこちらをむいて、かすれた声で、
「あれ、なんだか字みたいだわね。」
といって、庭をゆびさすのです。
 庭は、夕もやにつつまれていましたが、よく注意して見ると、庭の土の上に、なにか、かたいものできずをつけたようなあとが、いちめんについていました。その一つ一つが、字のように見えるのです。
 小林少年は、地面をしばらくにらんでいましたが、やがて、それをゆっくり読みはじめました。
「あすは九月二十日だ。ここのうちに、恐ろしいことがおこる。それでもなお、このうちにがんばっていると、第二、第三の恐ろしいことがおこり、ついに、園田家の全員が、この世からすがたを消してしまうであろう。」
 庭の土に、ぼんやり、あらわれている大きな字が、そんな恐ろしいことを、書きつづっていたのです。
 丈吉君は、すぐに、おとうさんの園田さんに、このことをつたえましたので、園田さんもえんがわに出て、そのきみのわるい字を読みました。
「こんどは、庭へ手紙を書いていったんだな。それにしても、四十面相はどこからはいってきたんだろう?」
「それは、こういうわけですよ。」
 小林君が、機械のぬけ穴のこと、四十面相は、書生の山本に化けてやってきたことなどを、くわしく話しました。
「ふうん、そうですか。だから、だれも気がつかなかったんだな。しかし、恐ろしいことというのは、いったい、なにをするつもりなんだろう。」
「ヨシ子ちゃんが、あぶないかもしれません。」
「エッ、ヨシ子が?」
 園田さんは、顔色をかえて小林君を見つめました。
「でも、あすまではだいじょうぶです。四十面相は、けっして約束をたがえませんからね。そのあいだに、ぼくは警察や少年探偵団にこのことを知らせて、いろいろ、じゅんびをします。そのために、ちょっと外へ出ます。一時間半ぐらいで、帰ってくるつもりです。だいじょうぶだとは思いますが、ヨシ子ちゃんから、目をはなさないようにおねがいします。」
 小林君は、そういって外へ出ていきましたが、約束どおり、一時間半ほどすると、にこにこして帰ってきました。
「警察にも連絡しました。それから、チンピラ隊を動員しました。もうだいじょうぶですよ。ぼくは、これから、ぬけ穴へはいります。そして、それが、どこに通じているかをたしかめるのです。」
 そうことわって、小林君は自分の部屋にはいり、着がえをしました。
 ぴったりと身についた、灰色のシャツの上下、灰色の覆面(ふくめん)、灰色の手ぶくろ、灰色のくつ下、灰色のズックぐつ。夕やみと見さかいのつかぬような、全身灰色の変装です。変装をおわると、小林少年は丈吉君をとらえて、あとのことをたのむのでした。
「ぼくが、塔の上のかくし戸から、ぬけ穴にはいって、一時間しても帰ってこなかったら、警官に助けにきてくれるように、たのんでくれたまえ。そのころには、警視庁の中村警部が、大ぜいの警官をつれて、ここへやってきているはずだからね。」
「だいじょうぶかい。警官がくるまで待って、警官といっしょに、ぬけ穴にはいったほうがよくはないのかい?」
 丈吉君が心配そうにいいますと、小林君は、にこにこ笑って、
「だいじょうぶだよ。ぼくひとりのほうがいいんだ。おとなが、どかどかはいっていったら、すぐわかってしまうからね。安心したまえ、ぼくはこういうことには、なれているんだから。」
 そして小林君は、塔の機械室にのぼり、あのかくし戸をひらいて、まっ暗なぬけ穴の中へはいっていくのでした。

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