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塔上的奇术师-接头地点

时间: 2022-01-15    进入日语论坛
核心提示:金ぴかの部屋 そのあくる日になっても、淡谷スミ子ちゃんのゆくえはすこしもわかりませんでした。警察では八方に手をのばしてし
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金ぴかの部屋


 そのあくる日になっても、淡谷スミ子ちゃんのゆくえはすこしもわかりませんでした。警察では八方に手をのばしてしらべていましたし、明智探偵のほうでも、小林少年が少年探偵団やチンピラ隊をうごかし、できるだけ捜索していましたが、なんの手がかりもつかめないのでした。
 その日、スミ子ちゃんのおとうさんの淡谷庄二郎さんは、ほうぼうのしりあいに電話をかけたり警視庁の中村警部に、捜索のもようを電話でたずねたりしていましたが、おひるすこしまえに、どこからか、電話がかかってきました。淡谷さんが、スミ子ちゃんのゆくえがわかったのかもしれないと、胸をおどらせて受話器をとると、なんだか、みょうにしわがれた男の声が、聞こえてきました。
「淡谷庄二郎さんは、おいでになりますか。」
「淡谷庄二郎はわたしですが、あなたは?」
「おじょうさんのスミ子さんのことで、ちょっとお話したいのです。」
「エッ、スミ子? じゃあ、あの子のゆくえがわかったのですか。」
「わかったのです。」
「あ、ありがとう。で、スミ子はどこにいるのです。あなたはどなたです。」
「わたしが、おあずかりしています。しかし、その場所は、ちょっと、教えられませんよ。」
「エッ、なんですって? いったいあなたは、どなたなんです。」
「わかりませんか。ウフフフ……、わたしですよ。あなたの宝石ばこをぬすみそこなった、あわれな男ですよ。」
 淡谷さんは、ギョッとしました。さては、あいつが、スミ子ちゃんを、さらっていったのでしょうか。
「き、きみは、四十面相だなッ。」
「そうですよ。」
 あいては、おちつきはらっています。
「で、わたしに、なぜ電話をかけてきたのだ。スミ子のみのしろ金でも、ほしいというのか。」
「金はほしくない。宝石がほしいのだ。おれは、一度しくじったら、おなじものを二度とねらわないことにしているが、あの二十四の宝石だけは、あきらめられない。それで、宝石ばことひきかえるために、スミ子さんをあずかったのだ。けっしてひどいめにあわせたりはしない。ちゃんとごはんをたべさせて、あるところにかくまってある。きみのほうで、あの宝石ばこを持ってくれば、いつでもスミ子さんをかえしてやるよ。」
「どこへ持っていくのだ。」
「きみのうちから半キロほど南に、八幡神社(はちまんじんじゃ)の森がある。今夜十時に、あの神社のとりいのところで待っている。きみ自身が宝石ばこを持って、かっきり十時に、あすこへやってくるのだ。けっしてひきょうなまねはしない。きっと、約束をまもる。警察へとどけてもかまわないよ。しかし、きみはひとりでくるんだ。車に乗ってはいけない。歩いてくるのだ。だれかをつれてきたら、この約束はとりけしだ。スミ子さんは、永久に、きみのうちへ帰れなくなるかもしれない。」
「よろしい、わかった。では、十時に八幡神社のとりいのところへ、宝石を持っていく。そこで、スミ子をわたしてくれるのだろうね。」
「そこでではない。刑事なんかが、ものかげにかくれているかもしれないから、きみを、安全な場所へつれていくのだ。そこで、スミ子さんと宝石ばこを、ひきかえにする。」
「よろしい。約束した。」
「念のためにいっておくが、おれがどこから電話をかけたか、しらべてもむだだよ。これは公衆電話だからな。じゃあ、あばよ。」
 そして、電話がきれました。
 淡谷さんは、会社にいっているむすこの一郎青年を、電話で呼びよせ、スミ子ちゃんのおかあさんと三人で相談しましたが、いくら宝石がだいじでも、スミ子ちゃんにはかえられませんから、やっぱり、四十面相のいうとおりにするほかはない、ということにきまりました。
 それから淡谷さんは明智探偵に電話をかけて、いそいでおいでくださいとたのみましたので、明智探偵は小林少年をつれて、自動車で、かけつけてきました。
 淡谷さんはふたりを書斎にとおして、三十分ほども、ひそひそと、相談していましたが、やがて、三人は、明るい顔になって、書斎を出てきました。
 なにか、うまい計画がたてられたらしいのです。
 さて、その夜の十時、淡谷さんは、宝石ばこのつつみを小わきにかかえて、ただひとり、八幡神社まで歩いていきました。
 神社はふかい森につつまれ、ところどころにあわい電灯がついているだけですから、人のすがたが、やっと見わけられるほどの暗さです。
 淡谷さんは、とりいの前に立って、しずかにあたりを見まわしました。いま、ちょうど十時なのです。
 すると、森の中から、ひとりの男が、スウッと近づいてきました。黒い背広に、黒い鳥打ち帽をかぶっているので、まるで、やみの中から、やみが浮きだしてきたような感じです。それが四十面相だったのです。
「では、こちらへ来てください。車を待たせてあります。」
 黒い男は、ささやくようにいって、淡谷さんの手をとりました。
 ひかれるままについていきますと、神社のうらての森の外に、一台の自動車がヘッドライトを消してとまっていました。
 四十面相と淡谷さんが、まだ森の中を歩いているころ、その自動車の下から、小さな人かげがあらわれ、こそこそと、やみの中に消えていきました。
 自動車には運転手が乗っていましたが、じっと前を見ていたので、車の下のうしろから、小男が出てくるのを、すこしも気づかなかったのです。
 この小男は、いったいなにものでしょう。かれは車の下にもぐってなにをしていたのでしょう。小男といえば、みなさんは、なにか思いあたることがありませんか。
 小男のように見えても、それは少年だったかもしれません。黒い服をきた少年が、自動車の下で、なにかやっていたのです。少年探偵団のものがたりのどこかに、これと同じような場面があったことを思いだしてください。
 さて、四十面相は、淡谷さんといっしょに自動車に乗ると、ポケットから大きな黒いふろしきのようなものをとりだしました。
「目かくしをするよ。これからいく場所を、きみに知られたくないのでね。」
 そういって、淡谷さんの目からあたまのうしろにかけて、その黒いきれを、しっかりくくりつけてしまいました。
 自動車は右に左に、いくつも町かどをまがって、三十分も走ったころ、やっととまりました。
「さあ、ここだ。まだ、目かくしをとってはいけない。すこしあぶない道だが、おれが手をひいてやるから、だまってついてくるのだ。」
 淡谷さんは、車からおりると、宝石ばこをしっかりかかえて、手をひかれるままに、ついていきました。
 ぼうぼうと草のはえた道をとおってから、あぶなっかしい石段をおりました。井戸の中へでもはいっていくような気持ちです。
「ははあ、地下への階段だな。すると、いく先は地下室なのだろうか。」
 淡谷さんは、心の中でそんなことを考えながら、おりていきました。
 階段がおわると、平地になりましたが、やっぱり、せまいトンネルの中のような感じです。
 その道は、いくつもまがりかどがありましたが、やがて、ドアのひらく音がして、一つの部屋にはいりました。
「さあ、目かくしをとるよ。」
 四十面相が、黒いきれを、ほどいてくれました。
 淡谷さんは、目をパチパチやって、あたりを見まわしましたが、その部屋が、あんまりりっぱなので、びっくりぎょうてんしてしまいました。
 壁も天井も、テーブルもいすも、みんな金色に光りかがやいているのです。天井からは、何百という水晶の玉のついたシャンデリアがさがって、キラキラと美しく光っています。
 一方の壁には、りっぱなガラス戸だなが、ずらっとならび、その中に、彫刻だとか、ふるい西洋の(つぼ)などが、いっぱいおいてあり、宝石をちりばめた箱だとか、胸かざり、腕わなども、たくさんならんでいます。なかでも、ひときわめだつのは、どこかの国の王冠でした。黄金のだいに、無数の宝石をちりばめた、その王冠のみごとさ! 淡谷さんは、目もくらむように思いました。

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