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妖怪博士-恶魔的真面目(3)

时间: 2021-10-25    进入日语论坛
核心提示: しかし、二十面相は「少年探偵団」の物語の最後で、地下室の火薬のたるに火をつけて、みずから爆死してしまったではありません
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 しかし、二十面相は「少年探偵団」の物語の最後で、地下室の火薬のたるに火をつけて、みずから爆死してしまったではありませんか。死んでしまった二十面相が、どうして蛭田博士や殿村に化けることができたのでしょう。
 中村係長は、そんなばかなことが、といわぬばかりに、聞きかえしました。
「あなたはあの二十面相が、まだ生きているとでもおっしゃるのですか。」
「そうです。生きていたのです。今から考えてみると、ぼくたちは、あいつにまんまといっぱい食わされたのです。
 あの爆発のとき、ぼくらは遠くへ逃げていたのですから、二十面相が死んだのを、直接この目で見たわけではありません。
 あいつは逃げようと思えば、逃げることができたのです。そして、遠くから導火線で火薬を爆発させ、さも自殺したように見せかけることもできたのです。
 そのしょうこに、あとで爆発の場所をしらべてみても、あいつの死がいらしいものは、どこにも見あたらなかったではありませんか。当時は、大爆発のために、粉みじんになってしまったのだろうと考えたのですが、じつはそうではなくて、あいつはわれわれの目をくらまして、こっそり逃げだしていたのです。」
「では、あなたは、さっきの青年の顔に見おぼえがあったのですか。あれが二十面相の素顔だったのですか。」係長は息をはずませて、明智探偵につめよりました。
「いや、見おぼえがあったのではありません。あいつは二十のちがった顔を持つといわれる怪物です。さっきの青年の顔もほんとうの素顔ではないかもしれません。あいつの素顔なんて、だれも知らないのです。」
「じゃあ、あなたは、何をしょうこに?」
「ざんねんながらしょうこはありません。しかし、あらゆる事情が、ぼくの考えを裏書きしているのです。二十面相でなくて、あれほど、とっぴな、ずばぬけた芸当のできるやつが、ほかにあろうとは思われません。ぼくは、確信しているのです。ぼくの長い探偵生活の経験が、それをはっきりぼくに教えてくれたのです。」
 まさか、われわれの名探偵明智のことばに、まちがいがあろうとは思われません。すると、あの希代(きだい)の変装魔二十面相は、やっぱり生きていたのでしょうか。ああ、なんということでしょう。あの怪物が、この東京のまんなかを大手をふって歩いていたなんて。
「二十面相とすれば、なおさらほうってはおけません。ぼくはすぐ警視庁に帰って、そのことを報告し、逮捕の手配をしなければなりません。」係長は、それほどの大物をとりにがしたくやしさに、地だんだをふまぬばかりです。
「いや、いまさらあわててもしかたがありません。相手が二十面相では、一度逃がしてしまっては、きゅうにとらえる見こみはないのですよ。あいつは今ごろは、どこか別のかくれがに身をひそめ、まったくちがった人間に化けて、ぼくらをあざわらっていることでしょう。
 しかし、ご安心なさい。あいつはいつまでもかくれがにじっとしているはずはありません。今にまた、ぼくらに挑戦してきますよ。それだけが、あいつの生きがいなのですからね。ぼくらは、ただあいつが挑戦してくるのを、待っていればいいのです。こんどこそは逃がしませんよ。名探偵明智の名にかけて、きっと、とらえてお目にかけます。」明智は、何か心に期するところあるもののように、力強く言いきるのでした。
 ちょうどそのとき、まるで明智の今のことばを裏書きでもするように、意外なことがおこりました。
「ここに、明智さんとおっしゃる方がおいででしょうか。」夜番小屋の外で、大声にわめいているのが聞こえました。
 明智探偵は、それを聞きますと、何かハッとしたように緊張の色をうかべましたが、急いでガラス戸をひらいて、外のやみをのぞいて見ますと、そこに自動車の運転手らしい若い男が、手に折りたたんだ紙きれを持って立っていました。
「明智はぼくだが。」
「ああ、あなたですか。これをわたしてくれってたのまれたのです。」
 運転手がさしだす紙きれを受けとって、小屋の電灯にかざして見ますと、それは手帳の紙を二枚切りとったもので、鉛筆でつぎのようにおそろしい文句が書きなぐってありました。

 明智君、ひさしぶりだったねえ。
おれが生きていようとは、さすがのきみも意外だったろう。魔術師の腕まえはザッとこんなものさ。ところで、今夜は、きみのためにさんざんのめにあわされたね。ざんねんだが、おれの負けとしておこうよ。だが、最後のどたんばで、きみはあっけなく獲物を逃がしてしまったじゃあないか。明智君、これまでのところは、おれのふくしゅう事業の序幕にすぎないのだぜ。これからほんとうにおそろしいことが始まるのだ。きみも小林も、それから探偵団のチンピラどもも、首を洗って待っているがいい。今におれの知恵のおそろしさを堪能(たんのう)するほど見せてやるから。

生きている二十面相より

 ああ、やっぱり名探偵の推理はまちがっていなかったのです。それをいち早くみてとって、先手を打って名のって出た二十面相も、さすがではありませんか。この好敵手は、たがいにその心中の秘密を、手に取るように読みあっていたのです。
 使いの運転手は、その場から警視庁に連行され、げんじゅうな取りしらべをうけましたが、ただ道で出あったきたないじいさんから、千円の謝礼をもらって、何も知らず手紙をとどけたのだということがわかりました。
 かくして、名探偵と怪盗との知恵くらべのたたかいは、いよいよ本舞台にはいりました。正体をあらわした二十面相は、つぎにはどんなおそろしい悪だくみをするでしょう。ああ、なんだか、少年探偵団員たちの身のうえが、気づかわれるではありませんか。
 前回のできごとがあってから数日後の、ある夕方のことでした。少年探偵団員のひとり、小泉信雄(こいずみのぶお)という小学校六年生の少年が、学校からの帰り道、ただひとり、渋谷(しぶや)のある小さな公園の中を通りかかりました。
 小泉君は学校の野球チームの選手だものですから、その練習のために、こんなに帰りがおそくなったのです。
 ちょうど夕飯時なのと、もう人の顔も見わけられぬほど、うす暗くなっていますので、小さな公園の中はひじょうにさびしく、いつもは幼い子どもで、ウジャウジャしている、すべり台や砂場にも、人の影さえ見えません。
 小泉君は、その公園が近道だものですから、毎日通りぬけるのですが、こんなにさびしいのははじめてでした。あの大ぜいの子どもたちは、どこへかくれてしまったのだろうと、ふしぎに思われるほどでした。
 ところが、公園の中ほどまで歩いていきますと、そこのブランコの前に、五歳ぐらいの、おかっぱの女の子が、つっ立ったまま、両手を目にあてて、シクシク泣いているのに出あいました。
 人っ子ひとりいないうす暗がりの中で、おいてけぼりにでもあったように、さも、さびしそうに泣いている女の子を見ますと、なんだかかわいそうでたまりませんでした。
 小泉君はツカツカとそのそばによって、女の子の肩に手をかけ、そのかわいらしい顔をのぞきこみながら、声をかけました。

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