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妖怪博士-少年探险队

时间: 2021-10-26    进入日语论坛
核心提示:少年探検隊 それ以来、明智探偵はもちろん、警察でも、ねっしんに捜索をつづけたのですが、二十面相はどこへかくれてしまったの
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少年探検隊


 それ以来、明智探偵はもちろん、警察でも、ねっしんに捜索をつづけたのですが、二十面相はどこへかくれてしまったのか、まったくゆくえがわからなくなってしまいました。かならず、少年探偵団員のぜんぶにふくしゅうしてみせると、あれほど広言しておきながら、まるでものわすれでもしたように、どこかへ消えうせてしまったのです。
 では、二十面相は、もうふくしゅうはあきらめたのでしょうか。そして、捕縛(ほばく)されるのがこわさに、東京から逃げだしてしまったのでしょうか。いやいや、ゆだんはできません。相手は、何しろ魔法使いのような怪物です。ふくしゅうをあきらめたと見せかけて、そのじつは、この東京のどこかのすみに身をひそめ、じっと時機のくるのを待っているのかもしれません。そして、こんどこそ、世間の人をアッといわせるようなおそろしい、計画をたてているのかもしれません。
 二十面相が姿をかくしてから二十日ほど後のことでした。ちょうど日曜日と祭日とがつづいて、お休みが二日つづいたので、少年探偵団員たちは、うちそろってハイキングに、出かけることになりました。
 少年たちは、二十面相が、ちっとも姿をあらわさないものですから、たいくつでしかたがなかったのです。それに、春もおわりに近い、ハイキングにはもってこいの好季節です。元気な団員たちは、なんだかじっとしていられないような気持ちでした。探偵の仕事がなければ、せめて山登りでもして、思うぞんぶん、はねまわってみたかったのです。
 少年たちは、一週間もまえから、こんどの二日つづきのお休みには、どこへ出かけようかと、楽しい相談をはじめていましたが、団員の(かつら)正一君と篠崎始(しのざきはじめ)君とが、奥多摩(おくたま)鍾乳洞(しょうにゅうどう)を探検しようじゃないかと、ねっしんに主張しました。
 桂君と篠崎君とは、同じ中学校の一年生でしたが、同級生に、ごく最近、大学生のにいさんにつれられて、その鍾乳洞へ出かけたものがあって、その少年が洞くつの中のものすごさを、いろいろと話して聞かせてくれたものですから、ふたりはもうむちゅうになってしまったのです。
 少年探偵団員たちは、深さも知れない洞くつの探検と聞いて、大喜びで賛成しました。冒険が何より好きな少年たちのことですから、むりもありません。そして、お休みのハイキングは、奥多摩のN鍾乳洞と一決したのでした。
 少年たちのハイキングには、少し道のりが遠いのですけれど、同勢(どうぜい)十人のうえ、おとなもおよばぬ、しっかりものの小林芳雄君が、団長としてつきそっていくのですから、団員のおとうさまおかあさまたちも、安心して、このハイキングをおゆるしになりました。当日の日曜日の朝は、みな暗いうちから大さわぎをして、リュックサックをせおい、水筒をさげ、おとうさまの古ステッキなどを持って、登山姿りりしく、新宿(しんじゅく)駅に集合しました。
 中央線で一時間ほど、それから支線に乗りかえて、また一時間あまり、その終点でおりますと、こんどは川ぞいの道をバスにゆられて、約三十分、それから先は、もう車の通らない細い山道です。
 自動車をおりた少年探検隊は、小林団長を先頭に、総勢十一人、足にまといつくくまざさをわけて愛国行進曲を合唱しながら、勇ましく進んでいきました。
 いっぽうは見あげるばかりの若葉の山、いっぽうは深い谷川です。その谷川をへだてて、向こうがわには、やはりモクモクと若葉のしげった山がそびえています。足の下には、ごうごうとひびく水音、その水音をぬうようにして、たえまのない小鳥のさえずり、ウグイスの鳴き声、一点の雲もなく晴れわたった空からは、木々の若葉をとおして、まだ午前中の日光が、さんさんとふりそそいでいます。
「ワッ、おどろいた。なんだかぼくの足のそばからとびだしていったよ。」
「ワッ、ウサギだ。ほら、あすこ、あすこ、ああ、もう見えなくなった。」
「ほんとうかい。」
「うそなもんか。ネズミ色の耳の長いやつが、ピョンピョンとんでいったんだよ。このへんにはウサギの穴があるのかもしれないねえ。」
「ウサギならいいけど、クマが出やしないかなあ。」
「大じょうぶだよ。こんなところへクマなんか出るもんか。」
「フン、クマ公が出たら、ぼくが金太郎のように角力(すもう)をとって、いけどりにしてやるんだがなあ。」相撲選手の桂正一君がじょうだんを言いますと、十一人が声をそろえて、ワアワアと笑い興じるのでした。
 歌ったり、とんだり、はねたり、元気な少年たちのことですから、十キロあまりの山道を、少しもつかれないで、お昼すぎには、もうN鍾乳洞の前についていました。鍾乳洞の入り口の少してまえに、一軒のきたない山小屋がたっていて、その軒先に果物やお菓子やラムネなどが少しばかりならべてあります。少年たちがそこを通りかかりますと、家の中から、モンペをはいた山男のようながんじょうなじいさんが、ニコニコしながら出てきました。
「おめえさん方、鍾乳洞を見物に来ただか。」じいさんは日に焼けた赤銅色(しゃくどういろ)の顔を、しわだらけにして、少年たちに呼びかけました。
「ええ、そうです。きょう、ぼくたちより先に、見物に来た人がありますか。」小林少年がやはりニコニコして、じいさんにたずねました。
「いいや、ひとりも来ねえだよ。鍾乳洞はこのごろさびしがっているだ。おめえさん方、学校の遠足かね。子どもばっかりで、こんな山の中へよくやってきただな、道でモモンガに出っくわさなかっただか。」
「ハハハ……、モモンガってなんです。山のお化けですか。そんなもの、ぼくたちの威勢におそれて、向こうで逃げていきますよ。ぼくたちは少年探検隊なんですからね。」茶目(ちゃめ)の桂君が肩をいからせて、いばってみせますと、じいさんも声をたてて笑いました。
「おじいさん、こんなところに、お菓子なんかならべておいて、買う人があるんですか。」大野敏夫君がぶえんりょにたずねますと、おじいさんは、あけっぱなしの山小屋の中を指さしながら答えました。
「ハハハ……、そんなもんで商売にゃならねえよ。あれを見な。ほらあすこに鉄砲がかけてある。あれがおらの本職だ。おらは猟師(りょうし)だよ。」
「ああ、猟師なの。何をとるんですか。クマですか。イノシシですか。」
「ハハハ……、そんなものは、もっと奥へ行かなきゃあ、このへんにはいねえ。だが、今年の正月にゃ、この奥山で、でっけえクマを一ぴきとったぞ。おめえたちに見せてやりたかったなあ。」
「ヘェー、ほんとうですか。おじいさんは名人なんだね。」
「ウン、四十年前から猟師をやっているんだからね……。おめえ方、弁当持ってるだか。ウン、そんなら穴へはいるまえに、腹をこしらえておくがいい。穴の中はずいぶん深えだから、弁当がすんだら、おらが案内してやるだ。」
「じゃあ、おじいさんは、鍾乳洞の案内人もやっているんですか。」
「ウン、春秋にゃ、それがおらの内職だよ。」
「でも、ぼくたちはいいんですよ。鍾乳洞の内部のことは、本で読んでしらべてきましたし、それに、ぼくたちはいろいろ探検の道具を用意してきたんです。百メートル以上もあるひもの玉も三つも持っているんです。それを入り口の岩にくくりつけて、ひもをのばしながらはいっていけば、道にまようことはありませんからね。そのほかに、懐中電灯を三つ持っていますし、磁石だとか、ナイフだとか、すっかりそろっているんです。ぼくたちは探検隊ですから、案内人なんかあっちゃあ、かえっておもしろくないんですよ。」小林少年が説明しますと、おじいさんもうなずいて、
「そんなにいうなら案内はしめえ。穴の中は枝道がいくつもあって、はじめてのものはおっかながるが、なあに、グルグルまわっているうちにゃ、入り口へもどってくるよ。それに、そんな長えひもを持ってるなら、大じょうぶだ。まあ、腹でもこしらえて、ゆっくり見物してくるがええだ。」と、たのもしそうに、元気な少年たちをながめていましたが、一同がそのへんの岩の上に腰をおろして、リュックサックの中から、竹の皮包みを取りだし、申しあわせた日の丸弁当をぱくつきはじめますと、じいさんはなおもじょうだんを言いながら、山小屋の中へ姿を消してしまいました。

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