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妖怪博士-怪物

时间: 2021-10-26    进入日语论坛
核心提示:怪物「羽柴君、なんだか深い穴があるようだよ。懐中電灯をかしてごらん。」 小林団長は、羽柴君から、懐中電灯を受けとりますと
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怪物


「羽柴君、なんだか深い穴があるようだよ。懐中電灯をかしてごらん。」
 小林団長は、羽柴君から、懐中電灯を受けとりますと、それで足もとを照らしてみました。そこには、どんな(はば)とびの名人だって、とびこせそうもないような、大きい深い穴があいていて、そのまんなかに、じょうぶな厚い板が、橋のようにかけてあるのです。その板がまだ新しいところをみますと、ごく近ごろだれかが、かけておいたものにちがいありません。
 小林君はその板の下へ、懐中電灯をさし入れて、穴の深さをしらべましたが、その底は電灯の光もとどかないほど深く、下部ほど広くなっていて、耳をすましますと、はるか下のほうから、ゴウゴウと水の流れる音が聞こえてきます。もし足をすべらせて落ちこんだら、むろん助かる見こみはありません。
「みんな、用心するんだよ。ここに深い穴があるから……。」小林君がさけびますと、その声が深い穴に反響して、ガーン、ガーンとひびきましたが、すると、穴の底に向けている懐中電灯の光の中へ、下のやみの中から、何かしら黒い大きなものが、ひじょうな早さで、スーッとうきあがるようにあらわれてきました。
 懐中電灯の弱い光では、とっさに何ものともわかりませんでしたが、何かネズミ色のフワフワしたようなもので、それがみるみる形を大きくしながら、スーッととびあがってきたかと思うと、のぞきこんでいた小林君や羽柴君の目の前を、おそろしい勢いでかすめ通り、向こうのやみの中へ、矢のように消えていってしまいました。羽柴君は、この不意うちにめんくらって、「ワーッ。」と悲鳴をあげながらとびのきましたが、しかし、大きな井戸のような穴の中からとびだしてくるものは、一つだけではなかったのです。
 羽柴君の悲鳴に、おどろいてかけよった少年たちが、たがいに手をにぎりながら、こわごわのぞく穴の底から、つぎからつぎへと、ネズミ色のフワフワしたものが、いくつも重なりあって、うきあがるようにとびだしてくるではありませんか。みょうな風を切るような羽音(はおと)をたてて、まるで地獄の底から悪魔の飛行機がまいあがってくる感じでした。
「アッ、コウモリだ。コウモリがウジャウジャいるんだ。みんな、なんでもないよ。コウモリだよ。コウモリが光におどろいてとびだしてきたんだよ。」小林君が大声にいって聞かせても、少年たちは生きたコウモリを見るのははじめてだったものですから、あまりのきみ悪さに、もうこのまま引きかえして、洞くつの外へ出たいように思うのでした。
「なあんだ。みんないやにびくびくしているじゃないか。探検家がコウモリにおそれをなして逃げだしたなんて人に聞かれたら、もの笑いの種だぜ。さあ、びくびくしないで、もっと奥へ進もう。みんな、足もとに注意するんだよ。」小林君は、またたくうちに洞くつの奥へ消えさったコウモリのむれを見送りながら一同を元気づけるようにいって、羽柴君の手をとると、ぐんぐん板橋をわたりはじめました。少年たちも、そういわれては、あとへ引くわけにいきません。十人はまた一列縦隊になって、たがいに手をつなぎあいながら、橋をわたって、なおも奥へ奥へと進みました。
 それから、せまい道を少し行きますと、とつぜん左右の岩はだが遠のいて、がらんとした感じになりました。第二の広い空洞へ出たのです。
「おや、また広くなったね。さあ、また岩にさわりながら、右のほうへまわるんだよ。」小林君のさしずで、みんながつめたいでこぼこの岩はだをなでながら、大空洞の周囲をまわりはじめたときでした。列のうしろのほうから、
「アッ!」というさけび声がしたかと思うと、何かドサッとたおれるような物音が聞こえました。
「おい、どうしたの? 今さけんだのはだれだい。」小林君の声に、うしろのほうから桂君が答えました。
「篠崎君がつまずいてたおれたんですよ。」
 小林君が懐中電灯をふりてらしながら、列のうしろへもどってみますと、その光の中に、たおれた篠崎少年が、顔をしかめながら、起きあがろうとしているところでした。
「大じょうぶかい。けがはなかった?」
「ウン、けがはしないけれど……。」
「え、けがはしないけど?」
「なんだかへんだよ。」
「へんって、何がへんなの?」
「ぼく、とんでもないことしてしまったらしいのだよ。」
「エッ、とんでもないことって?」
「ひもが切れたんじゃないかしら。ほら、いくら引っぱっても、手ごたえがないんだよ。引っぱれば引っぱるだけ、いくらでもズルズルとこちらへ寄ってくるんだよ。」篠崎君は、もう泣きだしそうな声をしています。
「エッ、ほんとうかい。見せてごらん。」さすがの小林団長も、それにはギョッとしないではいられませんでした。急いで篠崎君の手からひもの玉をとって引っぱってみますと、ああ、なんということでしょう。
 道しるべのひもは、どこかで切れてしまったらしく、いくらでもたぐりよせることができるのです。それと知った少年たちは、もう胸をドキドキさせながら、小林団長と篠崎君のまわりに集まってきました。
「ひもが切れたんだって? ほんとうかい。」
「チェッ、しょうがないなあ。じゃあ、ぼくたちもう帰れやしないじゃないか。」
「篠崎君、きみがぼんやりしているからだよ。そのひもは、ぼくたちの命の(つな)じゃないか。」
 すると、まだたおれたままの篠崎君が、泣き声で答えました。
「ぼくが悪いんだよ。きみたちぼくをなぐってくれたまえ。いいだけなぐってくれたまえ。ぼくの注意がたりなかったんだよ。」
 それを聞きますと、だれも、もう篠崎君をせめる気にはなれませんでした。みんなだまりこんでしまって、シーンと静まりかえったやみの中に、篠崎君の鼻をすする音だけが聞こえていました。
「おい、みんな、これは篠崎君が悪いんじゃないよ。これを見たまえ。このひもの切り口は、岩かどにすれて切れたんじゃないよ。ほら、ここをごらん。」とつぜん小林団長がみょうなことを言いだしましたので、少年たちがそのそばによってみますと、ひもはすっかり手もとにたぐりよせられ、小林君は、その切り口を懐中電灯の光にかざして、ふしぎそうにながめているのでした。
「ね、これはすり切れたんじゃなくって、たしかにはさみで切った切り口だよ。」
 いかにも、ひものはしは、するどい刃物で切断したような、はっきりした切り口を見せています。
「だって、おかしいなあ。いったいだれがひもを切ったんだろう。この鍾乳洞の中には、ぼくたちのほかに、だれもいないじゃないか。」
「だから、ぼくはふしぎでしようがないんだよ。なぜだろう。なぜひもを切ったんだろう。」
「だれかがこれを切ったとすれば、ぼくらを道にまよわせて、こまらせるつもりにちがいないね。」
「そうだよ。だが、そんなひどいいたずらをするやつがあるはずはないよ。ふしぎだね……。ああ、もしかしたら……。」
「エッ、もしかしたらって?」
 小林君が、それに答えようとしているときでした。とつぜん、洞くつの奥の暗やみから、なんともいえぬおそろしいうなり声が聞こえてきました。それは、大きなけものが、ゴロゴロとのどを鳴らしてでもいるような、形容もできないへんてこな声でした。ハッとして、会話をやめて、聞き耳をたてていますと、そのうなり声は、だんだんはげしくなって、どうやら、こちらへ近づいてくるようすではありませんか。
 少年たちは、思わずポケットのナイフをにぎりしめて、(すみ)を流したようなやみの中をにらみつけました。何かしら大きな動物がいるのです。動物でなくて、あんなうなり声をたてるはずがありません。ひょっとしたら、クマかなんかが、洞くつの中へまよいこんでいたのではないでしょうか。
「みんな、じっとしていたまえ。そして、もし危険のようだったら、ぼくがあいずをするから、順番にもと来た道へ逃げるんだよ。いいかい。」小林団長は、さすがに考えぶかく、一同に注意をあたえておいて、手にしていた懐中電灯の光を、うなり声のする方向へ、サッとさしつけました。
 すると、そのまるい光の中へ、向こうのやみから、何かしらびっくりするほど大きなものが、ニューッと姿をあらわしたのです。少年たちはその姿を一目見ますと、あまりのおそろしさに、ツーンとからだがしびれたようになって、もう身動きさえできなくなってしまいました。
 ああ、この世にこんなおそろしい動物がすんでいたのでしょうか。それはもう、なんともいいようのない、いやらしい、ゾーッとするような化け物でした。
 全身ネズミ色の毛むくじゃらで、あとあしで立っている胴体が、おとなの背よりも高く、その胴体の上に、フクロウの顔を三十倍ほどに大きくしたような、丸い顔がついて、その毛むくじゃらの顔のまんなかに大きなくちばしのようなものがとびだしていて、その上に二つの目がギョロッと光っているのです。
 少年たちは、みいられたように、目をそらす力もなく、じっと、その怪物とにらめっこをしていましたが、すると、化け物は、ヨタヨタと二、三歩あるいたかと思うと、ギョッとするような大きな物音をたてて、サーッと羽をひろげたではありませんか。羽といっても鳥の羽ではありません。悪魔の羽です。西洋の悪魔の絵にあるような、あのいやらしい羽です。そのはしからはしまでは、五メートルもあるかと思われる、おそろしく大きな羽です。
 はじめのうちは、ただ、とほうもない化け物としか考えられませんでしたが、しかし、じっと見つめているうちに、そのものの正体が、だんだんわかってきました。コウモリなのです。ふつうのコウモリの何百何千倍もあるような、おそろしく大きなコウモリだったのです。さいぜん、ほらあなの中からとびさった、たくさんのコウモリが一つにかたまって、こんな大きなお化けコウモリになったのでしょうか。それとも、あの小さいコウモリたちは、この大コウモリの家来で、こいつは何百年も生きながらえた鍾乳洞のぬしなのでしょうか。
 少年たちは、ただ、もうおそろしい夢にうなされているような気持ちでした。おそろしさに心臓もとまって、このまま死んでしまうのではないかと思われるほどでした。
 怪物はやみの中から、おびえきった少年たちを見すえながら、ヨタヨタと、一歩一歩こちらへ近づいてきます。そして、いっぱいにひろげた羽で、サーッと空気を切って、今にもとびかかってきそうなようすを見せました。
「みんな、ぼくのあとについて走るんだ。」もうがまんができなくなって、小林君は懐中電灯をふりながら、もと来た道へかけこみました。先に立って逃げたわけではありません。懐中電灯が先頭になくては、道がわからないからです。この声に、立ちすくんでいた少年たちも、ハッと正気づいたように、われおくれじとかけだしました。いちばんあとから走っているのは、力じまんの桂君ですが、いくら相撲(すもう)の選手でも、この怪物にはかないっこありません。ゴロゴロとのどを鳴らすようなうなり声が、今にも背中にせまってきそうで、走りながらも気が気ではありませんでした。先頭の小林君は、団員たちが逃げおくれやしないかと、うしろをふりむきふりむき走っていましたが、さいぜんの深いほら穴のあたりまで来ますと、ハッとして立ちどまってしまいました。もう少しで、その井戸のような穴の中へ、すべり落ちるところだったのです。
 ああ、なんということでしょう。さっきまで、そのほら穴の上にかかっていた板の橋が影も形も見えなくなっているのです。橋がなくては、もうこの道を進むことができません。井戸のようなほら穴は道いっぱいにひろがっていて、どこにも通る場所がないからです。といって、とびこせるような小さな穴ではありません。
 やっぱり、この鍾乳洞の中には、少年たちに敵意を持つ人間がかくれているのにちがいありません。そうでなくて、板の橋がひとりで動くはずはないからです。さっき、道しるべのひもが切断されたことといい、今また板の橋がなくなったことといい、これはもう何者かが、少年探検隊をこまらせようとして、たくらんだしわざにちがいありません。
 かわいそうな少年たちは、もう進むことも退くこともできなくなってしまいました。前には魔のほら穴が、少年たちを一口にのんでやるぞとばかりに、まっかな口をあいてひかえています。うしろからは、例の怪物が、のどを鳴らしてせまってきます。
 ああ、もう運のつきです。小林君をはじめ十人の少年探偵団員は、この暗やみの洞くつの中で、助けをさけぶすべもなく、はかない最期をとげてしまうのでしょうか。
 一同がほら穴のふちにうずくまって、息もたえだえにふるえあがっていますと、そのときまたしても、少年たちをギョッとさせるようなおそろしいことがおこりました。うしろのやみの中から、とつじょとして笑い声が聞こえてきたのです。心臓もとまる思いで、懐中電灯をふりむけてみますと、五、六メートル向こうのやみの中に、あの怪物が、あとあしで立ちあがっていました。そして、大きなくちばしをひらいて、ケラケラと笑っています。幼い少女のようなかん高い声で、さもおかしそうに、ケラケラと笑っているのです。
 少年たちは、サーッと背すじに氷の棒をさし通されたような気がしました。ああ、笑うコウモリ! 少女のような声で笑うコウモリ! これがこの世のできごとなのでしょうか。夢ではないでしょうか。やみの中の(まぼろし)ではないでしょうか。それとも、少年たちは洞くつの妖気のために、ひとり残らず、気がちがって、ありもしないもののけの姿を、心にえがいていたのでしょうか。


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