刺殺された女性のポシェットの中から発見された一枚のはがきが、冷え切った夫婦関係をつづける、三十五歳の夫と、三十二歳の妻を、表面に引きずり出した。
池畔で目撃された男女と、体型がそっくりな夫婦。
果たして、被害者が村松真理三十二歳であり、夜の底へ逃亡した殺人犯が、村松俊昭三十五歳なのであろうか。
村松夫婦の年齢と同時に、村松が出張中という『浅野機器』横浜本社の所在地、電話番号などは、仙台東署の刑事が『ハイツ・エコー』で確認した。
こうした聞き込みの結果は、この夜のうちに、東京へ連絡された。