笑府
ある人が下男に、楓橋(ふうきよう)へ行って麦の値段を調べてくるようにいいつけた。下男が楓橋へ行ってみると、
「うどんをどうぞ」
と呼んでいる者がいたので、ただだろうと思って二杯食べ、そのまま立ち去ろうとしたところ、
「もしもし、お代を」
といわれた。
「金は持っておらんよ」
というと、いきなり頬を六つ打たれた。
下男は急いで家に帰って、主人にいった。
「麦の値段はわかりませんでしたが、うどんの値段がわかりました」
「いくらだった」
「一杯がびんた三つでした」