笑府
徽州(きしゆう)の人には吝嗇家(りんしよくか)が多い。
蘇州に出てきている徽州のある男、塩豆を作って壺へ入れ、箸で一粒ずつつまみあげて、一食に四、五粒以上は食べぬときめていた。ある人がその男に向って、
「あなたはそんなにつましくしておいでだが、ご子息は町で豪遊しておられましたよ」
というと、その男はかっとなり、壺の豆を掌(てのひら)へ一杯あけ、
「ええいっ、伜(せがれ)がそんなことをしているのなら、こっちも思い切って身代つぶしをしてやれ!」
と、全部口の中へ放り込んでしまった。