笑府・笑得好
ある人、ズボンを作ろうと思ったが、布が惜しい。仕立屋を呼んで相談したが、わずかしか布を使ってはいけないというので、みんなことわって帰って行く。ところが最後にきた仕立屋が、
「三尺あればできないことはありません」
といったので、その人は大よろこび。さっそく布を三尺だけ渡して作らせることにした。やがて仕立てあがってきたズボンを見ると、片方ぶんだけである。
「これでは、はけないじゃないか」
というと、仕立屋は、
「両足をいっしょに入れてください」
という。両足を入れると動きがとれない。
「窮屈だ。どうして動くのだ」
というと、仕立屋は笑って、
「これだけ節約すれば、動けないのがあたりまえでしょう」