笑府
ある金持が、威張って貧乏人にいった。
「誰でも皆わたしにへつらうのに、君はどうしてへつらわないのだね」
すると貧乏人がいった。
「君が金持だろうと何だろうと、わたしには何の関係もないことだ。それなのになぜへつらわなければならんのだ」
「もしわたしが君に財産を半分わけてやったら、君はへつらうかね」
「半分くれたら、君もわたしも同じ金持じゃないか。なぜへつらわなければならんのだ」
「それじゃ、もしわたしが君に財産を全部やったら、君はへつらうかね」
「そうすれば君は一文なしになり、わたしは大金持になる。わたしが君にへつらうことはないじゃないか」